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読書記録「あめつちのうた」
こんばんは。敬愛してるというわけでもなく(投稿自体は面白かった)、たまにアップされる記事を楽しみにしていた方が、過去の投稿を削除されていました。時々訪問しては、投稿を読んでいたのに。もう投稿しないのかなー。まあ自分の文章がインターネットに残されるのが嫌だったのかもしれない。そんなニュアンスのことを書いておられた。
そんなこといったら、YouTubeの動画は延々と残されるではないか? 面白くてバズった動画を削除するのは勿体ない気もしないでもない。
あと、私は毎日駄文を垂れ流していますが、コメントをしにくい内容ばかりでごめんなさい。いつか「ごめんなさい」を言わないといけないと思ってました。
朝倉宏景「あめつちのうた」(講談社)
夏の甲子園の頃、この本を挫折したことを思い出して、オンラインで順番待ちをして借りました。一昨日半分くらいまで読み、今日最後まで読み終えました。
某SNSで感想を探したら、スマホで読めるマンガにもなってるようで、その切り取られ方が「野球マンガ」だった。主な舞台の阪神甲子園球場は、野球をする場所ではありますが(冬になると甲子園ボウルが開催されることも初めて知った)、単なる野球小説ではないと思いました。
感想は人それぞれあると思いますが、答えはひとつなのか? 自分は間違ってたことを発信してるのではないのか? 「この本を読んだけど、yukina*さんとは違う受け止め方をした」と言われたら、「そういう解釈もあるね」と答えます。
高校卒業後、東京から遠く離れて甲子園球場を整備する阪神園芸に入社した、主人公の雨宮大地。3歳下の弟とは違い運動神経が絶望的になく、高校時代は野球部のマネージャーをしていた。
幼少時、キャッチボールで父親を絶望させ、野球の希望はすべて弟の傑(すぐる)に向けられていた。
大地はグラウンドキーパーのプロになると意気込んだものの、持ち前の絶望的な運動神経もあって先輩方に迷惑をかけまくる。その先輩に、かつて甲子園で活躍した長谷騎士(はせ ないと)もいた。かつて長谷は甲子園の決勝戦で肘を痛めて、野球を断念し、今では阪神園芸でグラウンドキーパーをしている。
甲子園球場でビールの売り子をしながら歌手を目指す真夏、大地とともに甲子園に出たエースの一志など、大地の周りの人々の描写が繊細で素晴らしく、これは単なる「野球小説」ではないと思った。
季節がめぐるごとに、登場人物のストーリーが移り変わり、「真夏は明るい曲を書ける日がくるのだろうか」「長谷は野球を嫌いになったわけではなさそう」と、いろいろ想像を膨らませながら読み進めた。
あと大地の母という人は明るい人だけれど、父親は何を考えているのかよくわからない。野球をやっていたから、キャッチボールができない大地よりも、飲み込みの早い弟の傑のほうに期待をしていたのはわかる。大地とどうコミュニケーションを取ったらいいのか、わからなかったのかもしれない。
大地は高校を卒業して阪神園芸に入社したので、まだ10代だ。青春だなあと思う。阪神園芸がどうやって甲子園球場をベストコンディションにしているかにも、突っ込んで書かれている。甲子園の土と人の心を、随所にうまく絡ませている。そこが面白い。
家族の関係って難しい。身近な距離なだけ余計にそう思う。