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手引書:中高生のための資料/文献(参考文献)の探し方&集め方&書き方

『次の休みの宿題は、○○についてレポート提出です。必ず、参考文献までつけて提出すること』

きっと全国で探究という授業が展開されつつある今、全国の中高でこういう課題が課されることが多々でてきたと思う。

そうはいっても、中高生にはそのハードル(文献を集めなさい)は高すぎる。

大学院で専門教育まで修めた先生ならイメージは分かるが、それを中高生にどう伝える?

『図書館に行って本を借りなさい』
『ネットで論文を探すんだよ』

そんな指導では、正直、子どもたちは何をしていいか分からない。できたとしても、選んできた文献は、果たして正統なものですか?参考に値する文献ですか?

文献探しについては、最初の1歩(方向性)を間違えれば、かなりの時間をロスする。それを右往左往するのも良い経験だとは思うが、もう少し、分かりやすい手順で、取り組んで欲しい。

そんな願いから、中高生のための文献(参考文献)の探し方と集め方と書き方をまとめて、中高の教育で活かしていきたい。

①大前提と、まずはネットで話題を知る。

インターネットに載っている情報は、全て正しいとは限らない。何でも引用できるわけではない。参考文献には信頼性が大事。次の表にあるようなイメージをもちましょう。参考文献として利用できるのは信頼性の高いもののみです!

傾向はあくまでも一般的な傾向(ChatGPTさん作成)

かといって、最初から信頼性の高い物をみても、とっても専門的な内容になるので、間違いなく内容が分からなくなる。専門的な用語も多い。

だからこそ、信頼性は低いが、まずは話題性に着目して、SNSやGoogleのニュース検索を利用して、自分が理解できる範囲で、何が問題でどういう話題になっているかを知りましょう

【SNSで検索】

TickTockでもXでもInstagramでも何でも構いません。調べたいテーマについて、どんな発信があるか見てみましょう。

例:インスタで教育格差と検索すると、こういう画面になる。

【Googleのニュース】

教育格差で検索して、ニュースのタブを押すと、ニュース一覧がでてくる。

この2つの方法だけでも、何が問題になっているかがみえてくる。どういう問題が話題になっているかを知りたい時は、この方法を試しましょう!!

【重要】
この段階では、情報を集めることが目的です。簡単でいいので問題をまとめて、引用されているもの(記事、論文、出版物)をメモにまとめておきましょう。また、信頼性が確保できて、レポートなどで使用するならみたページのurlは必ずおいておきましょう。

【メモ例】(携帯でするならメモ機能やスクショを利用しよう。)
問題・話題になっていることはなに?
⇒ 
引用や紹介されていて、もっと知りたいのは?

どのページ
⇒スクショやお気に入り保存


②いよいよ参考文献になるものを集める

①でSNSやネットニュースをみていると、著名な方(研究者)や新書、また公的機関の情報が引用されたりしていると思います。ニュースやSNSでは、その引用が1部だけなので、今度はそのオリジナルにあたりましょう。

例:さきほどのインスタ画面に新書の写真あり
⇒ その本をamazonで検索

そうすると、ほら読んでみようと思うものがでてきます!

このあたりになってから、学校や地域の図書館に行って本を探したり、借りたりするのがお勧めです。思い切って、司書さんに相談するのもありです。


また文部科学省の全国学力調査によると~的なのがあるなら、検索すると、さっとでてくるので、そちらを見る。

公的機関や専門機関って何?
政府や世界的な組織が、出している情報のことです。こういう機関の情報は信頼度が高く、参考文献として利用できます。


中学生~高校1年生のレポートなら、ここまで情報を集められてまとめて、引用できたら合格。高校2年生以降は、もう1つステップをあげる。

③学術レベルのものにあたる。

ネットで話題になっているものを知り、ある程度、その問題が分かった。その後、公的機関や新書などを数冊よみ、知識を得た。そのレベルになったら、次の段階。

いよいよ、学術論文や研究論文をみていきましょう。

【大事】知識なしにいきなり学術論文を見るのではなく、まずは、周辺的な知識を得ましょう。あくまでも、ある程度知識をつけた後から、このレベルにうつりましょう。

【Google Scholar(論文検索サイト)】

https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

教育格差で検索すると、こういう形。

このようにすると、学術論文までたどり着けます。ただし、やみくもに論文を読んでいくのではなく、次の2つの視点をもって、見ていきましょう。

①被引用数の数
その論文が他の論文で引用された回数の数=その分野でも信頼度がある論文

②年代
新しいものは引用数が少なくても、今の話題のものが多い。

この2つの視点で検索して、みていくいと色んな情報を得ることができます。

【CiNii(論文検索サイト)】

教育格差で調べると

④【参考文献】リストの書き方

レポートや小論文を作成して引用したなら、以下のように書きましょう。色んな書き方がありますが、今はこういう形でまとめておきましょう。大事なのは、読み手がみてその資料にあたれるかどうかです!何か指示がある場合は、そちらに基づいて作成しましょう。

① 書籍
著者名『書名』出版社、発行年
例)篠原弘樹『松蔭GS・GLのプログラム』松蔭出版、2022 年

② 論文
著者名「論文タイトル」『雑誌名』巻号数、発行年、ページ
例)篠原弘樹「オンライン英会話を用いた英語授業」『教育研究』第 8 号、2023年、pp.24-36

③ Web サイト
著者名「ページタイトル」『Web サイト名』〈URL〉(参照日)
例)松蔭中学校・高等学校「GS→GLの6年間」『松蔭中学校・高等学校』〈https://shoin-jhs.ac.jp/jhs_courses/gsgl/〉(参照日:2024年1月14日)

順番は著者名をあいうえお順にならべましょう。

⑤最後に中高生の皆さんへ

きっとこの方法で、参考文献としてかける資料まではたどり着けるはずです。しかしレポート作成で最も大事なのは、参考文献の内容や量ではなく、

何をどう考えたか

の皆さんの意見の部分です。今のデジタル社会だと、ありとあらゆる情報が携帯やPCで入手可能です。情報量が多すぎてまとめきれないこともきっとあると思います。

だからこそですが、ネットや文献で周辺的な知識や問題を知った後は、そのテーマを

より具体的なテーマになるまで絞り込んでいく

ことを忘れないでください。

教育格差を今回、例として出していますが、それだけだと漠然としすぎています。例えば、都市と地方における教育格差、収入による教育格差など、より具体的にして考えていくことを忘れずに!!

【中高教員の先生方へ】

私は私学中高の英語科教員であり、探究のプログラムを設計しています。中高生に小論文やレポート課題が、求められつつある今の時代になり、その指導についても1から作り上げる状況になってきました。

ただ時代の流れは分かったとしても、そう簡単に指導法が確立できるわけでもなく、何か教員や中高生にとって分かりやすい考え方や指標のようなものがあれば、もっと効率よく教育活動を行える&時短できるのではないかと思う次第です。

今回の記事は、松蔭中高GS・GL生の学力レベルにたち、今の中高生たちに分かりやすく伝えるために&参考になるページになるよう作成しました。

全国の学校でもきっと同じ部分(文献の探し方やあたり方)で、悩まれることがあると思います。

文献を探す初期指導のファーストステップとして、ご参考になれば幸いです。


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