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ⅠAⅡBは立ち技、Ⅲは総合格闘技、ジャンルが違う認識を持つべき

高校数学の新課程カリキュラム

高校数学は、数学という教科の中で複数の教科書に分かれています。具体的には、現行課程で数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、A、Bという5つになります。

現高校1年生からスタートした新課程においてはこれに数学Cを加えた6つの教科書を3年間で学習することになります。
(数学Cは現行課程から単純に1冊増えたわけではなく、分量調整をして主に数学ⅢやBから分離させて1冊にしています。)

通常のカリキュラムの場合は、1年でⅠとA、2年でⅡとB、3年でⅢとCを学習します。

当然ながら、進学校の場合はそのペースだと受験に支障をきたすため一般的な進学校で高3の秋ぐらいまでには数学ⅢCが終わるように設定されています。

理系のみが学習する数学Ⅲ

この6冊の中で、いわゆる理系の生徒のみが学習するのが「数学Ⅲ」です。
(「数学C」に関しては共通テストの関係上、ベクトルのみは文系の生徒が学ぶことになる学校が多いようです)

そのため、数学ⅡやBまでとは異なり大学で数学や物理などを学習する人のための基礎的な知識の習得という認識で学習内容が設定されています。

当然、教科書もそれを前提とした編集がなされており、それまでのⅠAⅡBの4冊とは内容的にも、説明の分量や用語、論理展開なども詳しくされています。
(あくまでも、高校レベルにしては、です。大学での専門内容とはまた差があります。)

数学Ⅲで学ぶ内容

数学Ⅲで学ぶものを列挙すると以下のとおりです。

  • 極限(Ⅲ)

  • 微分法(Ⅲ)

  • 積分法(Ⅲ)

平面上の曲線と複素数平面が現行課程の数学Ⅲからの移行になります。

これらのラインナップを見ると、明らかに数学Ⅲで取り扱う内容は大学の教養課程における「微分積分学」の下地となる知識の習得になるように作られていることが分かります。

極限と無限大の概念の学習

ⅠAⅡBの数学と大きく違うのは、極限(限りなく近づける)の概念と、無限大の扱いです。

簡単に言えば、ⅠAⅡBまでの数学はその中だけでかろうじて説明がきちんとできています。

三角関数やそれ以外の関数も、導入から応用に至るまで説明がかなり厳密に成されています。

しかし、数学Ⅲにおいては扱う内容の説明や証明が明らかにぼかしてあり、学習者も厳密に理解するというよりは、ニュアンスや数学で書かれた科学世界の文法を肌で体感する感覚に近いです。

授業をしていても、明らかに同じ教科を教えている感覚が薄いように毎年感じています。

あたかもジャンルが違うスポーツのように思うのです。

ⅠAとⅡBは立ち技、Ⅲは総合格闘技

私はそれほど格闘技に詳しいわけではありません。

ただ、理系は男子が多いこともあり数学Ⅲの学習にあたって年度当初のガイダンスでその内容に関して、格闘技の例を用いて説明することがあります。

ⅠAは「ボクシング」、ⅡBは「キックボクシング」の関係に近い印象です。

別の競技であるが、共通部分も多く、ⅠAの方が無駄を削ぎ落としたシンプルな戦い方、ⅡBの方が複雑化して戦い方の幅が広がるイメージです。

それと比較するとⅢは総合格闘技のような印象です。

これまで通り立ち技も使うが、使っていなかった寝技的な技術を一から学び直すことで、それまでなかった方向からの攻防を想定する、立体的に戦うイメージを持っています。

Ⅲ(新課程はⅢC)の学習からスタートして、復習に戻る学習法

以前の記事で「分かったと仮定」して先に進み、戻る学習法、について書きました。

これに近い形で、数学Ⅲから学習をはじめて、分からないところや不十分なところがある程度まとまってからⅠAⅡBに戻るやり方も有効です。

特に、一通り学校で授業を受けているが受験学習まで入っていないような場合、頭からⅠAⅡBに戻るよりも、実戦的な数学Ⅲを一度しっかり学習し、理解を出来ていない部分を洗い出して戻って補強する方が効率的だと思います。

さしずめ、総合格闘技の練習で浮かび上がった体の基本的な動かし方の課題、パンチやフットワークの基礎、足技の基本をボクシングやキックボクシングのトレーニングでやり直す、といったところでしょうか。

ちなみにですが、ボクシング、キックボクシング、総合格闘技の競技に優劣があるとは思っていませんので、格闘技ファンの方はご容赦ください。

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