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「進学ガイダンス」に見る、オンラインの弱点
本日、私の勤務校の高校3年生は業者主催の進路ガイダンスに参加しました。
これは就活時の合同説明会のように、各大学や専門学校がブースで個別相談会を行うというものです。
ここ数年は感染症の影響であまりきちんと実施されていませんでしたが、今回は数年ぶりに大規模な実施がありました。
やや無理矢理に参加を促した
私の担任のクラスの生徒には半ば強制的に参加を勧めていました。
なぜならば、現在の高校3年生はオープンキャンパスなどにほとんど参加できていないからです。
そのため、彼らの大学選びはオンラインの説明会やホームページ、SNSの評判などでしかなかったのです。
そこで、実際に大学の担当者(おそらくは事務、広報関係の方でしょう)に直接話しを聞く機会があればよいと考え、あまり乗り気ではない生徒にも「パンフレットをもらって帰るだけでよいから」という言葉で参加を促しました。
個別相談で直接に話をする効果
こうした相談会では非常に熱心な説明をしていただけます。パンフレットを利用した大学の概要や就職状況、大学内での生活や入試に関する内容まで答えられる範囲で丁寧に教えてもらうことが出来ます。
生徒の中には志望大学でない説明会でもあり、興味が無い素振りを見せていましたが、以外にも志望大学でない説明を聞いた生徒に良い影響がありました。
「話を聞くまでは受験予定の候補にすら入れていなかった大学でしたが、受験を前向きに考えて調べてみます」という感想を残す生徒が多かったのです。
もちろん、担当者の方にうまく乗せられたという側面はあるでしょう。しかし、どうやら学部の内容そのものにも興味をもった生徒も多いようでした。
オンラインで調べる弱さ
私は基本的にオンラインで大半のことを終わらせることに好意的な人間です。
自分自身が人付き合いが得意ではない上に、動画視聴や音楽鑑賞など趣味もオンラインでのサービスを利用する事が多いからです。
しかし、今回のようなイベントを見るとやはり直接会って話をする効果と、オンラインでの情報収集の欠点を強く感じました。
オンラインでの情報収集は、調べ手の能動性に情報の分量や情報の偏りが依存しがちです。現時点での興味分野以外を見る機会が減少するため、調べたことに対する横幅がどうしても不足しがちになるのでしょう。
これは、紙の辞書と電子辞書、アマゾンとリアル書店との違いに近い関係かもしれません。
検索性や専門性、深さには優れていても、幅の広さや総覧性に劣る側面があるようです。
あるいは、完全リモート型に移行せず、一部リアルオフィスを残す企業とも共通点があるのかもしれません。
とはいえ、オンラインの便利さを軽んじてもいけないでしょう。上手くバランスをとる重要性を痛感した一日でした。