「一学年80万人」となる時、大学全入時代は来るのか?
減少し続ける18歳人口
先日出生数が81万人という過去最少を記録していたことが話題になりました。
教育業界に身を置く一人としては、少子化はダイレクトに影響する問題です。
特に18歳人口は仕事上の影響が大きい数値になります。勤務校の入学者数にも関係しますし、何より大学進学に関して直接的なデータとなるからです。
最近は100万人強が18歳人口とされていたので、20年後はさらに2割減少することになります。
とはいえ、平成初期は200万人であったことを考えれば、減少幅自体はそれほど大きくはないでしょう。
私が18歳のとき、平成12年時点では少子化と18歳人口の減少をとても煽られていた気がしますが、その時で150万人ぐらいでしょうか。
それから20年たった今でも110万人もいて、20年後もそのまま行けば80万人もいるのはむしろよく保っているとさえ思えてしまいます。
上がり続ける大学進学率
一方で大学進学率は上昇し続けています。
大学進学率は現在55%です。20年後に進学率が7割弱になっていれば実は大学進学者数は変化しないことになります。もちろん、短大や専門学校進学者数は減少することになりますが。
全入時代は来るのか?
この20年ほど、常に言われ続けてきた言葉が「大学全入時代の到来」です。
大学が定員を満たさなくなり、全員が大学に入れるというものです。
しかし、この20年間で18歳は半減しましたが、未だ全入時代は到来していません。
平成初期の大学進学率は3割強でした。現在は5割強、実質的な受験者数はそこまで減少しておらず、やや収容定員は増加しましたが、大学あまりとまではなっていません。
そのため、当初言われていたほどの減少とはならず、難関大学は依然として人気のままです。
もちろん一部の不人気大学は経営上危険水域に達しているようですが、多くの大学は依然として学生を集めています。
つまり少なくとも現状は「大学全入時代」とはなっておらず、まだまだ遠い未来のようです。つまり18歳たちの多くは、まだまだ受験勉強から開放されることはなさそうです。
今後少子化と大学の淘汰が進めば、大学入試が最低限の知識を聞く形になり、マッチングによる最適解を探す大学選びをする未来もあり得ると考えています。
様々な未来を想定して準備する必要がありそうです。
この手の少子化の話題には必ずセットで「少子化対策」の話が出てきます。ところが2015年までの夫婦一組当たりの出生数は2人をやや切るぐらいで、そこまで極端に少なくないのです。
つまり、結婚している夫婦においては2人程度の子供を生んでいるケースが多いという結果になります。
ということは、素人考えでは出産や教育に補助金を出すよりも、結婚することにインセンティブを与えた方が効果的のような気がするのですが、どうなのでしょう。