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志望大学が決まらない生徒への進路指導
私は私立高校の教員として、生徒の進路指導に関わっています。
私が担当するのは主に進学、それも4年生大学への進学を考える生徒がほとんどです。
そのため必然的に大学で学ぶことや、そこからの就職に関して情報を収集し、全体に向けてアナウンスしたり、個別に相談を受けて助言したりしています。
大学は4年間ではなく、その先10年を見据えるべき
大学進学を考える生徒には常に10年後を考えるようにアドバイスをしています。
現在の大学制度では理系の場合、4年間の学部と2年間の博士前期に行くのが一般的になりつつあります。
また、文系学部であっても世界的には先進国のインテリ層の多くは最低でも修士号を取得しているケースが多く、大学は6年間というのが基準の数値になります。
さらに、そこから博士後期課程を3年間加えると、大学での学びは最短で9年、留学などを入れると10年が当たり前になりつつあります。
そうした状況で10年後を見据えて大学、特に学部や専攻を考えることは極めて重要です。
したがって、現在の流行りで学科や専攻を選ぶのではなく、今の自分が興味があることでもなく、10年間(最低でも4年)付き合っていける内容か、とイメージをすることが重要です。
大学は移れるが、学部や専攻は変えにくい
大学を転学することを安直に考えるべきではありませんが、選択肢としては十分に現実的です。
また、大学院での他大学の大学院への進学はもはやメジャーな進路選択となりつつあります。
実際、大学院大学では学部の募集がないため、政策研究大学院大学や奈良先端科学技術大学院大学などに進学希望の場合はそもそもが他大学からの入学しか手段がありません。
しかし、学部の変更や専攻を変えることも可能ですが、自大学内で移動する場合でもハードルが高い傾向にあります。
大半の単位は未修得になりますし、学年を戻るケールが多く一度選んだ方向性からの変更は難しいのが現実です。
学部や専攻が決まらない人が行くべき大学
そうした生徒の進学に際して、基本的には学部が固定されない大学への進学を勧めています。
そしてこの場合、国公立大学では東京大学、北海道大学、金沢大学などがその候補に上がります。(どこも難関ですが)
これらの大学では1、2年次に幅広く学習しその上で学部や専攻を決定することができます。
またこれ以外にも文理融合型の総合学部などは学部選択制度に近い形で大学での学びを入学後に吟味することができます。
学部選択ではなく学科選択は存在し、京都大学の理学部理学科のように学部一括で募集し、学科は入学後の選択になるケースもあります。
(正確には学科ではなく「系」のようです)
こうした自由度の高い大学への進学を生徒側は想定していないケースがほとんどですので、きちんと制度や選択幅に関してこちらから説明をした上で、再度自分で調べてみるように促しています。
進路指導はいかに大学や学問系統の情報を頭に入れるか
進路担当者にとって重要なことは進路関係の知識の収集です。
大学の特徴や学部学科での専門分野の概略、就職状況などの情報を仕入れ、生徒からの質問や相談に対し回答する瞬発力が求められると感じています。
詳しく正確な内容に関してはWebで簡単に調べることができる時代です。
しかし、どこの大学をどういった調べ方をすればよいかをわからない生徒も多く、そうした指針を示すことが進路担当者に求められているのではないでしょうか。