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パーソナリティ障害(人格障害)とは

【概要】

パーソナリティ障害(人格障害とも呼ばれます)とは、本人に重大な苦痛をもたらすか、日常生活に支障をきたしている思考、知覚、反応、対人関係のパターンが長期的かつ全般的にみられる人に対して用いられる用語です。

パーソナリティ障害は10種類あり、自己像(セルフイメージ)と他者やストレスに対する反応のパターンに、それぞれ特徴的な問題がみられます。症状はパーソナリティ障害の種類によって異なりますが、基本的には、他者と人間関係を築くことやストレスに対処することが困難で、本人の自己像は状況によって異なり、他者から見たその人の認識との間に隔たりがあります。パーソナリティ障害は、自己や他者を一貫して現実とは異なる形で認識する人や、日常的によくない結果を招く行為を決まってとり続ける人において、その診断が検討されます。

薬剤による治療でパーソナリティ障害自体に変化がみられることは通常ありませんが、そうした治療が症状を軽減するのに役立つことはあります。精神療法は、自分が問題を引き起こしていることに患者が気づき、社会的に好ましくない行動を改めるのに役立つことがあります。他者やストレスになる出来事に対する見方や関わり方については、誰にでも特徴的なパターンがあります(反応パターンと呼ばれます)。例えば、困ったことが起きたとき、誰かに助けを求めることで対処しようとする人もいれば、自分だけで問題に対処しようとする人もいます。また問題を過小評価する人もいれば、大げさに考える人もいます。しかし、自分の特徴的な行動パターンがうまくいかない場合や不都合な結果を招いている場合には、ほとんどの人は自分の反応パターンを変えようと試みるものです。対照的に、パーソナリティ障害の人は、自分がとる反応のパターンが繰り返しうまくいかない場合や不都合な結果を招いている場合でも、そのパターンを変えようとしません。そのようなパターンは、状況に応じて調節(適応)されることがないため、不適応と呼ばれます。不適応な行動パターンの重症度と持続期間は様々です。

米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)によれば、10種類のパーソナリティ障害が存在します。

約10%の人が何らかのパーソナリティ障害に該当します。全体として男女差はありませんが、パーソナリティ障害の種類によっては、男女いずれかに多くみられるものもあります。例えば、反社会性パーソナリティ障害は男性に6倍多くみられます。

パーソナリティ障害の大半では、この障害が原因で生じる問題は中程度のもので、時間の経過とともに軽減していきますが、重度の社会的・精神的な問題を生涯抱え続ける人もいます。

パーソナリティ障害は、通常は青年期後期または成人期早期に現れますが、それより早期(小児期)に現れる場合もあります。これらの障害の持続期間には大きな幅があります。一部の種類のパーソナリティ障害(反社会性または境界性など)は加齢とともに軽減したり、消失したりする傾向があります。そうなりにくい種類もあります(強迫性や統合失調型など)。患者によっては、症状は続くものの、軽症化する場合もあります。

パーソナリティ障害患者の多くには、以下のうちの1つ以上もみられます。

気分障害
不安症
身体症状症
物質使用障害
摂食障害

パーソナリティ障害に加えて、これらの病気を抱えていると、いずれの病気に対しても治療が効きにくくなるため、経過の見込み(予後)が悪くなります。

【原因】

パーソナリティ障害は遺伝子と環境の相互作用によって起こります。すなわち、一部の人はパーソナリティ障害になりやすい遺伝的な傾向を生まれつきもっていて、その傾向が環境的な要因によって抑えられたり、強められたりするということです。一般に、遺伝子と環境はパーソナリティ障害の発症にほぼ同じくらい寄与しています。

【種類】

10種類のパーソナリティ障害は、3グループ(A、B、C)に分類することができます。各グループに含まれる種類は、それぞれ特定の基本的なパーソナリティ特性が共通していますが、各障害にはそれぞれの際立った特徴があります。

Aグループは奇妙または風変わりな様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

妄想性:不信と猜疑心
シゾイド:他者に対する無関心
統合失調型:奇妙または風変わりな思考と行動

Bグループは演技的、感情的、または移り気な様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

反社会性:社会的無責任、他人の軽視、欺瞞、自分の利益を得るための他人の操作
境界性:一人でいることに関する問題(見捨てられる恐れによる)、感情や衝動的行動をコントロールすることの問題
演技性:人の注意を引きたい欲求と劇的な行動
自己愛性:もろい自尊心、賞賛される必要性、および自分の価値についての過大評価(誇大性と呼ばれる)

Cグループは不安や恐れを抱いている様子を特徴とします。このグループにはそれぞれの際立った特徴をもつ以下のパーソナリティ障害が含まれます。

回避性:拒絶される恐れによる対人接触の回避
依存性:服従と依存(世話をしてもらう必要性による)
強迫性:完全主義、柔軟性のなさ、頑固さ

【症状】

パーソナリティ障害では、主に以下の点で問題が生じます。

自己同一性と自己感覚:パーソナリティ障害の人は、自分自身のイメージがはっきりせず、安定していません。つまり、自分のことをどのように捉えるかが、周囲の状況や一緒にいる人によって変化します。例えば、自分のことを残酷だと考える時期と親切だと考える時期が交互に入れ替わる人がいます。また、自分の価値観や目標が頻繁に変わる人もあります。例えば、教会にいる間は信心深いのに、別の場所では不敬で冒とく的になることがあります。自尊心の高さが現実と一致しない人もいます。

人間関係:パーソナリティ障害の人は、他者と親密で安定した人間関係を築くことに苦労します。他者の気持ちに対して鈍感であったり、感情的に無関心であったり、共感性を欠いていたりすることがあります。パーソナリティ障害の人は、しばしば家族や医師を含めた周囲の人に対する態度に一貫性がないようにみえ、困惑させ、フラストレーションを与えます。子育てでは一貫性がなく、無関心、過度に感情的、虐待的、または無責任な場合があり、ときには子どもに身体的な問題や精神的な問題が生じることがあります。

パーソナリティ障害の人は、どのように他者を扱い、また他者の周囲で振る舞えば妥当、安全で、許容されるのかについての理解に問題を抱えている場合があります。

パーソナリティ障害の人は、自分で問題を引き起こしていることに気づいていないことがあります。

<参考サイト>

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/10-心の健康問題/パーソナリティ障害/パーソナリティ障害の概要

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