嫉妬林檎

短歌と俳句メイン。切り絵とか写真もあげるかもです。

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最近の記事

「夜の別れはいつも正しい」発売とか

4月21日に自家版歌集「夜の別れはいつも正しい」をkindleで発売いたしました。 そうです、久しぶりに更新したかと思ったら、本記事はnoteユーザーの皆様への宣伝です。 この「夜別」(長いので略します)には、約10年間で詠んだ歌の中から142首が収録されています。詠んだ年代順ではなく、「この歌が先にほしいな」「この歌とこの歌を並べたいな」とか考えながら構成しました。 表紙の素敵な絵は、以前「雪舟えまコンプレックス!」でご一緒させていただいた、ちぃくまさんに描いていただき

    • 【感想】うたつかい36号

      36号です。 37号がすでに公開されているのになんという遅さでしょうか。でもまあ誰もこんなnoteの隅の奥底まで来ないだろうしいいか。 「指定席」から連想されるのは電車で、この連作にも電車が詠まれている歌が2首含まれています。しかしここでの「指定席」はぶらんこのことだ。この表現力というか飛躍というかその感覚が心地よい。さらにこの「ふたつ」の「指定席」からはもうひとりの存在を感じられるのも素敵です。 読み込んでいくとだんだん分からなくなってきた歌です。一番気になるのは「好

      • 【感想】うたつかい35号

        うたつかい35号、貴重な乱丁本を手に入れました。 感想です。 やはらかく足を揺らして夏色の平均台のまんなかで待つ/有村桔梗「平均台」 主体は何を(誰を)待っているのでしょうか。「やはらかく足を揺らして」からリラックスして待てるもの、人であれば気のおけない友人、人以外であれば夕暮れなどの好きな時間帯などでしょうか。5首とも初句をひらがなにすることでやわらかい雰囲気をまとわせつつ、微かな緊張感も見え隠れしています。 マスカラをたっぷりのせて抗えば響く私のシュプレヒコール/枝

        • NHK短歌 2020年下期

          続いて短歌です。 私が短歌を始めるきっかけとなった小島なおさんに「お金」で入選をいただいたことが2020年のピークであり、人生のピークにもなりました。 「お金」 500円玉がヂャリンと鳴るやっとあなたの町の鉄塔が見える 「寅・虎」 最後まで仲良く走る約束を忘れて先に行くタイガースファン 「美味しそうな歌」 先づまぐろ続いていくらたこ穴子不意にあなたは不思議となりぬ 「電話・スマートフォン」 君のいない5インチなんか世界とは呼ばないけれどキャベツが届く 「卯・兎」

          NHK俳句 2020年下期

          投稿した句をまとめておくよ。 「夏」 閉じた眼を大きく開く夏の恋 「蛇」 丁寧に蛇衣拾う月夜かな 「さくらんぼ」 大いなる口へ飲まるるさくらんぼ 「水着」 水着から落ちる水滴君遠し 「髪洗ふ」 ずれた鏡をけふも戻して髪洗ふ 「月見草」 帰り路の泪掬ふや月見草 「水引の花」 水引の紅や額に弧を描き 「七夕」 七夕や時計の下の六等星 「蜩」 蜩や肩に鍼刺す十の指 「鰍」 タワマンで跳ねる少女ら鰍かな 「葡萄」 フィラメントなき夜にマスカット放る 「蟷螂」

          NHK俳句 2020年下期

          【感想】うたつかい34号

          大晦日である。 更新サボりすぎである。 うたつかい34号の感想を書いていくよ。35号も間をあけずに書きたいよ。 いい人になりたい 誰かの幸せに僕を重ねず願えるような/阿南周平「幸福論」 自分ではない誰かの幸せを願う。それだけで十分「いい人」足りうる。しかも「僕を重ねず」と言い切ることで、他人の幸せをひたすら純粋に願っていることが伝わってきます。平和な歌であるが、「僕」にそう思わせるなにか深い出来事があったのではと思わせる側面も持っています。 タピオカを鞄いっぱい詰め込ん

          【感想】うたつかい34号

          【感想】5月の公園

          もう8月なんだが?? 私も参加させていただいた短歌フリーペーパー「5月の公園」の中から感想をつらつら書いていくよ。 青葉風はしゃぐ五月のあめつちを行ったり来たりぶらんこららら/桐野黎 最後の"ららら"に象徴されるように、無邪気さと爽快感に溢れている。"はしゃぐ"や"あめつち"の文字触りも心地よく、思わずうっとりとする。無邪気さの奥の確かな表現力の高さに脱帽。 片隅のオカダンゴムシゆびさきでつまんでまるくなれば大吉/古河知尋 こちらは無邪気さと可愛らしさ。可愛らしさは主

          【感想】5月の公園

          NHK短歌 2020年上期

          というかnoteサボりすぎでした。 「矢」 大粒の涙を拭いきれぬまま放たれた矢は朝霧に消ゆ 「時計」 六時間遅れの時計に手を伸ばしかけてやっぱり止める雨の夜 「話」 いくつもの会話が飛び交うカフェに居て君の欠片をまだ探してる 「暦」 和暦など必要ないと分かっててそれでも僕らは令和に願う 「ボクシング」 タイトル戦前のボクサーさながらに追い込んでいる健診前夜 「夕」 ぬくもりを探し求める指先を慰めるように夕立は降る 「消」 うつくしいものから順に消えていく花火、初

          NHK短歌 2020年上期

          NHK俳句 2020年上期

          NHK俳句投稿作まとめ 「懐炉」 豪雪に生きる母より懐炉着く 「ポインセチア」 口利かん年頃やけんポインセチア 「ゆりかもめ」 欄干の錆び深まるや百合鴎 「春着」 姪っ子の一回転する春着かな 「雪女」 ぬくぬくと紅白見たり雪女 「雑煮」 復興も先ずは雑煮を喰ふてから 「雪解」 生命とは手のひらのこと雪解水 「凪」 目が合って笑うばかりや懸り凧 「追儺」 夜遅き父迎へたり追儺豆 「春眠」 春眠や薄き視界のほろほろろ 「山笑ふ」 新しき電子音して山笑ふ 「

          NHK俳句 2020年上期

          NHK俳句 2019年下期

          「八十八夜」 足音の遠い八十八夜かな 「マーガレット」 マーガレット誰のものでもない空へ 「筍(料理含)」 筍や成長痛の日曜日 「豆飯」 豆飯や空見上げれば空青し 「玉ねぎ」 言い訳をしたい玉ねぎを切りたい 「名越の祓」 ゆっくりと手を引き母の茅の輪くぐり 「団扇」 まづ埃払う一扇ぎ古団扇 「クーラー(冷房)」 クーラーや野球帽子を被るけど 「鱧(ハモ)」 水鱧やエンドロール無き同期会 「灯籠流し」 蘇る光の講義流灯会 「厄日」 グラス割れるやうな静けさ厄

          NHK俳句 2019年下期

          NHK短歌 2019年下期

          NHK短歌に投稿したまとめです。 「息」 人生に無駄なことなど何もない7秒前の溜め息さえも 「幸」 幸せはたとえ一人の夜でさえあの日と同じ星が降ること 「傘」 迷いなくあなたの傘へ飛び込んでゆくからどうか始まってくれ 「名」 現実の顔も名前も意味がないただお互いの世界に「♡」 「木」 義務じゃなく自然に生まれた木曜の有給休暇と頬撫でる風 「泳ぐ」 どこまでも泳いでゆける指先は見えなくなっても戻ってきてね 「紺」 yesって言ったね?海が紺色になるまで横で話しを聞

          NHK短歌 2019年下期

          【感想】「あなたの29年間は」(第4~6回)

          あけましておめでとうございます。 「あなたの29年間は」感想の後半です。(前半はこちら) アガパンサスの花を散らして降りたりし入梅のまへの雨のかそけさ/山下翔「白桃」 複雑な家族関係に置かれた心の内を表しているかのように、この連作ではたくさんの雨が降る。中でもこの一首。「アガパンサス」「かそけさ」から浮かんでくる静かな情景の美しさと、一拍置いて伝わってくる秘めた思いの強さに圧倒される。梅雨入り後の雨の行方を知りたいという好奇心と、知ってしまったら戻れなくなるという恐怖に

          【感想】「あなたの29年間は」(第4~6回)

          目白庭園ライトアップ

          目白庭園ライトアップ

          【感想】「あなたの29年間は」(第1~3回)

          TANKANESSで6回に渡って連載されている「あなたの29年間は」に、私も畏れ多くも参加させていただきました。 この企画は平成2年生まれの人たちが境涯詠とエッセイを寄稿したもので、同い年の方の歌とあって共感するものが多かったように思います。 ではでは感想を。 ここもまた居場所でないと知らしめるような再開発のクレーン/神丘風「コスモスの森」 実家、学校、故郷、職場、そして東京と、連作全体を通して”居場所”を探していることが伝わってくる。この一首では、ここが居場所ではな

          【感想】「あなたの29年間は」(第1~3回)

          NHK俳句 2019年上期

          俳句編です。 「蜆」 じゃらじゃらと一年生の蜆汁/佳作 「梅」 亡祖父の寂しき梅の葉の茂る 「土筆」 弟の手が光る土筆の通学路 「薄氷」 薄氷やサドルを上げてちょうどいい 「椿」 玄関の音を待つなり花椿 「春寒」 春寒や生命線を描き足せり 「たんぽぽ」 氷上をふわりふわりと綿毛の子 「蛙の目借時」 一行ずつずれていくsum目借どき 「落花」 左手の落花あたかもプロポーズ 選に入ったものは1句だけでした。 もっと俳句もいいものが詠めるようになりたいです。 全

          NHK俳句 2019年上期

          NHK短歌 2019年上期

          NHK短歌に投稿した歌のまとめです。 選に入ったものはTwitterで更新していますが、 落選したものも含めて半年に一度のペースでブログにまとめておこうと思います。 Twitterに上げるのをやめたときのから、6月号の分まで。 「映画」 昨日観た映画の続きのような朝きみが卵を焼く音がする/佳作 「子ども」 2分の1成人式を終えし子はいくつも顔を使い分けおり 「鳥」 ていねいに盛り付けられた鶏飯よ私を攫ってくれぬだろうか 「耳」 追憶、そしてきれいな言葉ほど届かぬ耳を持

          NHK短歌 2019年上期