[本・レビュー] リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来


今、地方が熱い!

職場のつながりも、政府の援助もあてにできない現代社会
人との関係が希薄化する一方、人との繋がりが大きな力となるのも事実
ビジョンを共有したコミュニティを形成し、地域に継続的な発展をもたらそう


著者の柳澤大輔さんは、1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立されたそうです。ITベンチャー企業であったにも関わらず、あえて東京ではなく鎌倉に本社を構え、鎌倉からオリジナリティのあるコンテンツをwebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信されています。

今回、新型コロナウイルスにより、補償なき自粛が半ば強要されました。政府の政策もあてにならない中、地元企業や飲食店を応援するクラウドファンディングの存在も数多く報道されていました。

リモートワークや、オンライン会議、オンライン飲み会のように、人とつながれずに孤独を感じる恐れが報道されていましたが、「オンライン上の人間関係」は必ずしも閉鎖的なものとは限りません。

ネット上の関係=非現実、虚構の世界と捉えられがちですが、「リアルなつながり」への補助として使用することで、より広く深い人間関係を構築し得ます。

本書で柳澤さんは、カヤックが運営する移住促進サービス「SMOUT」を紹介されています。
これは『移住したい人が自分のスキルや希望を登録しておくと、自治体や地域の人たちから「スカウト」、つまり「うちのまちに移住しませんか」?「こんな面白いプロジェクトがあるから、お手伝いしてくれませんか?」というお誘いが届く』サービスだそうです。

実際、このサービスを通して移住を決定される方も増えているようです。移住してからその土地の人と知り合うのではなく、その土地の人と交流した後に移住を決定することが可能となります。

交通や通信の技術革新により、都心ではなく郊外や地方に住むという選択肢が増えてきています。
核家族化が進み、ご近所さんとおつきあいする機会もますます少なくなっています。
昭和以前のように、良くも悪くも、ご近所全てがお知り合いという時代ではなくなっています。

しかしながら、人は一人の力だけで生きていけるものでもありませんし、人数の力というのは非常に強力なものです。

Youtuberがあこがれの職業となったり、炎上商法が話題となるのも、結局は「人数の力」を反映したものでしょう。

炎上や打算によるコミュニティ形成は長続きしませんが、それぞれが住む地域の発展を目指し、楽しく協力しながら住みやすい社会を形成していく。それは地域の人々それぞれにwin-winの関係をもたらし、地域そのものの大きな発展へとつながる可能性を秘めています。

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