VTuber川柳大賞個人的・非公式開催の部~推し語りは辞められない~
1 全世界VTuber川柳大賞を振り返って
2024年10月にインターネット・SNS上で運営されている書店GAMABOOKS(ガマブックス)から、「第1回全世界VTuber川柳大賞」という企画が行われた。今冬(2025年1月予定)に新しく刊行されるVTuber雑誌である『Hukyu(ふきゅう)』の公募企画として行われたものである。VTuberの動画・配信に日常的に触れているファンの悲喜こもごもとした想いから、VTuberとして配信している人たちの本音などを5・7・5のリズムに乗せて詠んでもらうという企画である。応募締め切りは既に過ぎてしまったが、第1回全世界VTuber川柳大賞の企画の詳細は、以下のnoteの頁から閲覧することが出来るので、余裕があれば一読して欲しい。
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【10/19締切】《全世界VTuber川柳大賞》を開催します!|GAMABOOKS
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普段私はVTuberの配信はたとえ推しの配信でもROM専を決め込んでおりリアルタイムでコメントを投稿したりスパチャを投げたりすることはせず、マシュマロ投稿や何かのラジオ的な企画に応募することも全くなかったのだが、このVTuber川柳は何となく敷居が低いかと思っていくつか作品を創って参加することにした。事前に30作程度クオリティの巧拙を問わず大量生産し、その中からマシと思えるクオリティの作品を最大6作品まで送れるので、6作品を送ってみた。
作品を送ってから間もなく2024年10/22(金)に第1回全世界VTuber川柳大賞の公開選考会配信がGAMABOOKSの書店員VTuberである諸星めぐる氏のYoutubeチャンネルで公開された。私の投稿した作品が入選したか否かはここでは明言しない。私はnoteでは「4浪U太郎」名義で記事を投稿しているがこのVTuber川柳では別名義で投稿したため、仮に入選したとしてもその入選した人の名義と私こと4浪U太郎が同一人物であることを証明するのが事実上困難だからである。まぁ、私が入選したか否かはぶっちゃけどうでもよく、この企画に投稿した人の作品のクオリティが色々なベクトルに跳ねており魅力的なので是非一読して欲しいと思うわけである。そういうわけで、公開選考会配信を以下に記載しておく。
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【民俗学 / コラボ】國學院大學上野誠教授と「VTuber川柳」の公開選考会するよ!【VTuber/ #諸星めぐる 】
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この公開選考会配信が行われてさらに少しの時間が経過し11月に入ってから、GAMABOOKSからさらに追加のお知らせが届いた。第1回全世界VTuber川柳大賞に応募された作品を全て公開し、Hukyu読者賞の追加が決定されたのである。上記の公開選考会から漏れた作品もたっぷり閲覧できるので、是非以下のnote記事を一読いただければ幸いである。出来れば、自分の気に入った作品に投票活動をしてもらえれば、Hukyu編集担当者も喜ぶだろう。投票締め切りは2024年11月25日(月)までなので、お早めにどうぞ。
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【全世界VTuber川柳大賞】公募作品公開と『Hukyu読者賞』について|GAMABOOKS
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今回の公募作品公開を受けて、私が作った未発表の川柳(・短歌)を供養の意味も込めてこのnoteに投稿しようとした次第である。アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』本編においてラブライブ優勝(=第1回全世界VTuber川柳入賞)を目指すのではなく、自分の理想のスクールアイドルを目指すため「スクールアイドルフェスティバル」を自主的に実施する(=今回の自主投稿をする)スクールアイドル達のノリを踏襲して、自由に私の作品を一挙公開しようと決めたわけである。少しでも私の作品を楽しんでもらえれば幸いである。
2 私的VTuber短歌・川柳作品発表の部
私が上述の全世界VTuber川柳大賞の応募作品を作成した際には、短歌(5・7・5・7・7)や川柳(5・7・5)の形式に特に拘ることなく、思いついた作品をとにかくスマホのメモ帳にどんどん記録していった。作品を応募した時点で30数作品が出来上がったが、その後もVTuber川柳のインスピレーションは止まらず、現在では100作品前後ほどメモ帳に残っている。その中で発表できそうなものをランダムにどんどん掲載していく。基本的に上述の公募作品公開に掲載された作品を改めてここで載せることはしないが、作成時には短歌形式だったものを応募の際には川柳形式に修正したものが一部あるので、それは元の短歌形式を掲載しようと思う。後述するが、私の創った作品は特定の企業所属のVTuberへの思いが強く出すぎた作品ばっかりになってしまったことを予めここでお断りしておく。なお、私が応募した作品は全て「推し部門」である。
(1)にじさんじ部門
(1-1)栞葉るり部門
・栞葉の A.K.Aは るりドッグ
・Vのする 「歌ってみた」は 本歌取り 教えてくれるは 栞葉るり
・Vのする 凸待ちなるもの してみんと すなる犬の名 栞葉るり
・栞葉は 犬だがむしさん これ如何に
・栞葉は むしさんでもある わんこだよ
・栞葉よ 栞葉ロリ(9)に ならないか
(1-2)月ノ美兎部門
・委員長 「清楚」の意味を 書き換える
・「わたくし」が 一人称なら 気をつけろ 美兎がお前を 覗いているから
・美兎リゼが てぇてぇと思った 年末に そんな貴方に シンフォニアDay2
・かえみとか みとリゼなのか てぇてぇは いずれにしても 有り難きかな
・委員長 とにかく常識 ぶっ壊す
(1-3)その他にじさんじライバー部門
・ろふまおで 感覚鈍る 耐久力
・くろのわは きょうもゆるく なんかやる
・エリコニは 清楚で実は ハジケてる なぜならボーボボ フォロワーだから
・にじさんじ だいたい知ったよ レバガチャで いつか復活 してくれないかな
・力一は 初見じゃ読めない 絶対に (読めたら読めたで 混乱するけど)
・ボーボボの フォロワーばっかり にじさんじ ハジケリストの 巣窟なのかな?
・シスクレの ピクミン実況 見逃せない だって悲鳴が 心地良いもの
・ヤン・ナリは 唯一無二の 魔王様 こんな可愛い 魔王がいるかよ
・もちちゃんに なりてぇと思った クレアファン
・ナリちゃんや 3Dお披露目 可愛えぇなぁ!
・『ジョーカー・ゲーム』(柳広司、角川文庫) 「りきいちゲーム」と 読んじまう
・おそろしい 七文字をここで 発表だ 「にじさんじだぞ」 何が来るかな
・リゼ様や 嗚呼リゼ様や リゼ様や
・ナリ様や 嗚呼ナリ様や ナリ様や
・雑キープ 懐かしすぎや しませんか
・雑加賀美 聞けば聞くほど 『良くないですか?』
(2)ホロライブ部門
・愉悦民 たかるはここさ スバルの間
・青くゅの VR配信 癖になる
・GTA 最近流行るは ケツ洗車
・夏色の ピンクに染まるは まつりかな
・11章 あれはただの わためいと 『VTuber学』オススメですよ
・たらんちゃま 見た目はグロいが 癖になる
・コロネスキー なんだかんだで ころね好き 今日も指が 取れたとしても
・さくらみこ PONでエリート 稀有なりよ
・すいちゃんは 今日も可愛い 歌も上手い VTuberの 「アイドル」かしら
・じゅうふうてい 変換できない めんどくさい いつもサイトで コピペしてます
・ホロライブ 刃牙とコラボで パロライブ (もっとやってよ 金は出すから)
・BAUBAUと 言えば済むと 思ってない? それでも許す フワモコ可愛い
・さくらみこ 気付けば俺も 35Pに
・みこめっと 今日もてぇてぇ 嗚呼てぇてぇ ライブもてぇてぇ 永久にてぇてぇ
・み俺恥 いつか気付けば み俺誇
・ラプラスは どっちなのか ややこしい ポケモンなのか ホロメンなのか
・ホロライブ 最初は直感(おぱーい) 信じよう
・「35P」と 読んで違和感 感じない 俺もみこちの ファンなんだなって
(3)諸星めぐる部門
・諸星の 勧めるアニメは ハードコア
・諸星は 俺にとっての 一等星
・めくるめく ネットの深淵 深掘るぞ
・諸星は ダンときらりと めぐるだよ
(4)奇ノ駒たんご部門
・「ぶいちゅば」と 産声上げた 君の名は キノコ人間 奇ノ駒たんご
・「ンゴちゃん」と 略すとどっちか 分からない 周央サンゴか 奇ノ駒たんごか
・たんご君 君の配信 菌忌だよ これを知ったら 戻れなくなる
・早起きで 君に出逢う 菌糸類
(5)カルロ・ピノ部門
・現代の むし愛づる姫 カルロ・ピノ
・カルロ・ピノ 気付けば俺も むしさんに
・ピノ様や 嗚呼ピノ様や ピノ様や
・「きさらぎ」で タピ部を知った 良い日だな
・タピオカ部 4人集まり LOVE&PEACE
(6)その他具体的な企業・個人勢VTuber部門
・パトラ様 今日もレトロを 嗜むぞ
・この思い いつか届けよ こんパッション
・クソマロで 困ったときは ういビーム 縦読み仕込みで こっそり撃てよ
・しぐれうい 今日から俺が しぐれうい 異常者達よ お前はゴミだぞ
・ケツ洗車 その次に来るは ケツ呼吸 VTuberは ケツが好きなの?
・たまき君 ついてるなんて お得だね のりおママも 良い趣味してるぜ
・海外の Vで学んだ ”Fuck”と”Shit” 勿論収益 剥がされました
・ぱかちゅーぶ 実は古参の VTuber ゴールドシップは Vでも長距離
・デュエプレの コラボ実装 もっとして 新規ボイスが いっぱいあるから
・VShojo 日本の企業と 思ってた
・きら子さん 鬼で腐女子の 鬼腐人だ
(7)抽象的な推し部門
・推しがいる 人生は絶対 楽しいぞ なのにどうして 触れられないの
・応援の つもりでいたら 法廷で コラボしないよう 節度を持ってね
・専門知 意外とVが 担ってる 貴方の経歴 どうなってるの?
・おかしいな 未成年なのに 平成の コンテンツばかり 知っているのは
・切り抜きで 知って気付けば 配信へ メンシ入会 時間の問題
・『如く』にも Vが現れ 時代かな 「愛してる」ニキも 友情出演
・バァチャルの ママと娘の 年齢が 逆転するよ 井上喜久子(17)か
・バァチャルの 四天王は 5人いる ボーボボなのか? ボーボボだよね
・スパチャして 認知されると 気持ちえぇ
・人もいて 宇宙人いて エルフいて VTuberとは 多様性なり
・学術V 知れば知るほど 奥が深い 最下層は 未だに知れず
・学術V 意外といるぞ うじゃうじゃと どんなジャンルも お任せあれ
・どうでもいい 嘘か真か どっちでも 面白ければ 幸せならば
・アニメキャラ どんどんVに なっていく 懐かしい人も 初めましても
・配信は 一人だけど 孤独じゃない 触れられなくても 心は一つ
・ENの Vの話す 日本語は JPよりも 達者じゃないかい?
・金も時も 雪のように 溶けていく どんどんVを 識ったときから
・VTuber あらゆるものを エンタメに 歌やゲームも 学術までも
・触れられない だから買うんだ アクスタを ぬいぐるみも良い 一緒にいるなら
・ユニコーン いっそ折ってよ この角を 苦しい思いを せずに済むなら
・配信の くしゃみで助かる 命ある
・お前の指示 聞いてくれると 思うなよ Vはお前の ラジコンじゃあない
・思いやり 無きクソマロは 罰当たり
・クソマロを 半端な覚悟で 送るなよ 配信で晒し オーバーキルだぞ
・面白い Vにはおもろい ファンも付く
・箱企画 何が起こるか 予想外
・メタバース 気付けば私の 日常に 次は貴方が Vになるかも
・声優も VTuberになる 時代かな
・あの映画(『トップガン』/『プロメア』の/『まどマギ』の/『コマンドー』etc.) 同時視聴で ファンになる
・この漫画 語ってくれて ありがとう 周りは誰も 知らないからさ
・新衣装 君の魅力が また一つ
・非公式 だけども出来は とても良い 買うべきか否か このイラスト集
・公式と 設定がズレても 素が出ると ファンとしては ちょっと嬉しい
3 応募してみての感想・第2回以降に向けての反省点(あるいはアドバイス)
こうした応募企画に実際に応募することは少ないので、実際に作品を創ってみると予想以上に楽しかった。何より、突然自分の脳内に自分が良いと思った川柳ないし短歌が浮かび上がったときのアドレナリンの分泌っぷりはこれ以上なく気持ちよかったことを記憶している。
個人的に楽しむのであれば、自分の推しているVTuberや箱について短歌・川柳と形式に拘らずに好きに・心の思うままに作成するのが一番良いと思う。「自分くらいしか伝わらないだろう」というようなネタに振り切った方が最初の一歩目としてはいいかもしれない。出来ればこのnoteやツイッター(現:X)に投稿されればその投稿を見た第三者が刺激を受けて、どんどん魅力的な作品が定期的に生産されるきっかけになるかも知れない。
一方で、川柳大賞を狙うのであるならば、具体的なVTuberの名前や箱名を出すよりは抽象度を上げたVTuberに関する川柳を作成した方が良いと思われる(応募した際には私は逆に具体的なライバー名や企業名を明確にした方が良いのかと思っていたが、選考会の結果を見るにどうやらそれは違うようだと証明された)。具体的にどのような作品が入賞したのかは是非自分の目で確かめて欲しい。少なくとも、私がこの投稿であげた作品群は参考にすべきではないだろう。また、大喜利的な、あるいはウケを狙った川柳よりはいわゆる「エモ」を刺激するような内容を心がけた方が入選確率は高まるのではないかと思われる。
なお、私は今回のVTuber川柳・短歌を作成するにあたって特段川柳や短歌について勉強はしていない。川柳や短歌について触れたのは高校の国語の授業以来である。いや、比較的最近「栞葉るりのゆるゆる文学教室」第3回辺りで多少短歌や俳句の技法については学んだけれど、それ自体が直接上手い川柳作成に繋がったわけではない。5・7・5という基本的なリズムは決まっているから、それに当てはまる単語を上手いこと拾ってくることがコツの一つであろうか。あるいは、上手いこと5文字や7文字の中に入るように字数を調整する工夫をすることも大事であろう。例えば、「VTuber」という単語が長すぎる場合には「V」と縮めてみたりする工夫が必要になる。逆に短い単語を長くする工夫も場合によっては必要になる。そうした工夫の果てにオリジナルの、自分だけの作品が完成するのである。そして、出来れば出来上がった作品は自分の中に留めておくのではなく、外部に発表してみるのがオススメである。運が良ければ、何気ない自分の気持ちを表した作品が推しの目にとまることがあるかもしれない。これはSNS全盛期のこの時代においては決して夢物語ではないのだ。自分の気持ちを外部に出すのは恥ずかしいと思う人もいるかもしれないが、他人を害するのでなければ自分の「好き」という感情を無理に押しとどめる必要も無いのではないかと思うわけである。実際、VTuber川柳のVTuber部門では視聴者の何気ない行動がVTuberの大きな心の支えになることが多々あるし、あるいは、VTuber界隈はいつ卒業や引退するかも分からない業界であるから、推しに伝えたいことがあるなら伝えられる内に伝えた方が良いとも思うのだ。その伝える手段としてこの川柳という手法はとても優れていると言える。川柳は千年単位で日本に伝わる人の心を詠ったコミュニケーションツールである。ツイッターの140字よりもはるかに短い字数で自分の思い・魂の叫びを表現できるのはなんと心地良いことか!そんな心地よさを読者の皆様にも是非味わって欲しいと思うわけである。
4 おわりに~今回の投稿の意義~
私が何故今回の投稿で個人的に作成していたVTuber川柳・短歌を公表するに至ったのかといえば、Hukyu公式のVTuber川柳大賞を盛り上げたいという気持ちと、個人的にも他の人のVTuberについての熱い想いをもっと味わいたいと思ったからである。noteをはじめとしたSNS等を駆使してもっとVTuber川柳・短歌を作ってみよう・発表してみようという気運が高まれば、その分クオリティの高い作品がこの世に生まれる確率が高まることは間違いない。何より、上述のVTuber川柳公開選考配信において國學院大學上野誠教授が語ったことであるが、万葉集を詠んだ日本人の精神を現代日本に生きる我々が受け継ぐことが大切なのである。我々が何気なく楽しんでいるVTuberという文化を短歌や川柳という形で記録しておけば、もしかすると次の千年後の日本にまで語り継がれる遺産になるかも知れない。それは未来の学者が学術を探究する上で貴重な資料にもなり得る。勿論、千年前の日本人も現代を生きる我々も未来の学術研究の発展のために作品を残したというよりは、単純に目の前の景色が綺麗だとかコレおもろいといった感情を優先させて表現したのが多数派だろうが。とにかく、そんな気持ちを込めて今回の投稿を締めたいと思う。
<参考文献>
『VTuber学』岡本健・山野弘樹・吉川慧編著、岩波書店
『ジョーカー・ゲーム』柳広司著、角川文庫
『白銀ノエル大好きおじさん』フォビドゥン澁川作、ヤンジャンアプリ
<2024年11月21日(木)追記>
一部作品及び参考文献を追加しました。