読書感想文、夏休みは終わったけど
同じ出来事を別々のキャラクターの視点から描いてるやつ、好き好き大好き。切り取る部分の違いからキャラクター性の違いが伺えるやつ。
あるキャラクターAがものすごく気にして、突っかかっている部分が、キャラBの視点では一切描写がなかったり。キャラCの視点では人生全てを捧げる価値のあるものが、キャラDの視点では割とどうでもよかったり。
そういう中でそれぞれの視点で見た話が緩く、でも確実に繋がっていく系のオムニバス、とても好き。
「私が先生を殺した」は正に私の好みドンピシャの話で、正直オチは好みではなかった(個人的に、悪役悪役した悪役が苦手というのもあって)けれどそれを差し引いても楽しく読めた。いや、オーディオブックなので楽しく聴けた、の方がより正確か。
同級生のSNSに片っ端からいいねする奴とか、そいつに対して「どうせ既読感覚、ってか内容見ないで押してるだろ」と思いつつもその1いいねをありがたく思っちゃう奴とか、なんかリアルだなーと思った。学生時代、実名でSNSやったりしなかったけどさ。していたら私も砥部律だったのかもしれない。
避難訓練の日=事件が起こる日、という構造も分かりやすくてよかった。視点が変わるごとに巻き戻される時系列も、これのお陰で翻弄されずに済むというか。こういうちょっとしたところで読みにくさを取り除いているところが、丁寧な作品だなと感じた。
狭い世界での出来事、って感じの話。