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【エッセイ】上善如水
こんにちは。白です。
先日書いた記事の追補版です。
というか、実はこっちを先に書いていて、なんか回りくどいなー、やーめた。という気分になって、短くしたのが前回の記事だったのでした。
以下被りもあるけれど、もったいないので公開します笑
上善如水
私が自分の座右の銘として、常に心に置いている言葉です。
お酒の名前や、黒田如水、如水庵など、さまざまに使われている言葉ですから、耳にしたことがあるかもしれませんね。
老子の言葉
この上善如水という言葉は、中国の思想家である老子の考えが纏められた、その名も「老子」に出てきます。日本でもさまざまな形で紹介されていますが、私が思い浮かべるのは、岩波文庫の老子ですね。
…あれ?なんか高いな。まあいいか。
文庫なので普通に買えばこんなに高くないと思います笑
ちくま新書から出ている「現代語訳 老子」の著者である保立道久さんのブログから引用させてもらうと、上善如水の部分はこんな感じです。
上善若水。水善利万物、而不争。処衆人之所惡。故幾於道。
居善地、心善淵、与善仁、言善信、正善治、事善能、動善時。
夫唯不争、故無尤。
上善は水の若(ごと)し。水は万物を利して争わず。衆人の悪(いと)う所に処る。故に道に幾(ちか)し。居(きよ)の善は地にあり、心(こころ)の善は淵(ふか)きことにあり、与(とも)の善は仁にあり、言(ことば)の善は信(まこと)にあり。正(せい)の善は治にあり、事(こと)の善は能にあり、動(どう)の善は時にあり。それ唯(ただ)争わず、故に尤(とが)むること無し。
上品な善というものは水のようなものである。水はすべてを潤して争わない。水は人の利用しない沼沢地に流れ込む。こういう水の性格はきわめて道に近い。それはともかく、住み方の善は地べたに近く棲むことにあり、心の善は奥が深く低いことにあり、友であることの善は思いやり(仁)にあり、言葉の善は言を守る信(まこと)にあり、正しいことの善は自分が治まっていることにあり、事業の善はただ己(おのれ)の能事(できること)をやることにあり、行動の善はただ時を外さないことにある。そもそも争わないというのは人に責任をもっていかないということだ。
…人の褌で相撲を取っている感。
元々中国の古典なので、漢文の解釈はいろいろありますから、訳者によっても口語訳が違います。
比べて見るのも面白いですよね。
『老子』のユルさ
私は『老子』に流れるゆったり感というかゆる〜い感じが好きなんですよね。
特に、この水のお話のような喩えがわかりやすくて好きです。
水ってのはみんなにとって、なくてはならない存在でしょ。
みんなを生かしてくれるすごーい存在だよね。
でもさ、水って、高いところにふんぞりかえって偉そうにするどころか、自分から下へ下へと向かって、人が嫌がるような誰も行かないようなとこに進んでいくよね。
多分こんな感じで中国の方には伝わる気がするんですよね。
当時の水の考え方
よく老子とセットで語られる人に孔子がいます。
孔子の考え方が書かれている『論語』が有名ですよね。
原典にあたったことはないのですが、同じ諸子百家の一人、韓非の『韓非子』に、孔子がこんなことを言ったという一節があるそうです。
人君為る者は猶盂のごときなり。民は猶水のごときなり。盂方なれば水方に、盂圜なれば水圜なり
君主ってのは水を入れる鉢みたいなもんだ。んで、民というのは水のようなもん。水鉢が四角けりゃ水も四角に、水鉢が丸けりゃ水も丸になるもんよ。
…と、だいたいこんな意味です。
孔子が言ったのか、孔子になぞらえて、韓非が言ったのかはともかくとして、ここでは、水を「朱に交われば赤くなる」的に使っています。
同じものを見ても一方では「道」(理想の姿)に近いといい、一方では、自分を持たず、周りに流される例に使うところが面白いですね。
水の魅力
ちなみに私は、こういう自在に自分を変えられるところも水の魅力だと思っています。
一つの考え方や生き方に固執しないで、柔軟に形を変えつつ、その本質は決して変わらない強さを感じるんですよね。
そんな水のような生き方ができればと、私は思っているのです。
下のリンクも「上善如水」に詳しいので興味のある方はのぞいてくださいね。
ではまた。
【8.31 ちょっと読みやすく行替えしました笑】
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