不眠症
言わば、うつ患者を虐める最大の要因になりかねないのが不眠症だと私は思う。
一口に不眠症と言っても種類は幾つかあって、私の場合、入眠困難(睡眠導入まで30分~1時間以上かかる)と熟眠障害(眠りが浅く、睡眠時間の割に熟睡感が得られない)を患っている。今回はこの二つについて触れる。
入眠困難
「明日の約束楽しみだな」「大会でいい結果残せるかな」という心踊る事、又は緊張感によって寝付けない事は多々あるだろう。私自身何度も経験した事がある。
しかし、そんな非日常感が引き金となっている訳でもなく、なんでもない日に「寝付けない」という状態が長期間続くと危険である。
私は寝付けないことをもはや当たり前と思っている。何となく「あ、今日眠れない日だな」と感じたら本当にそうで、眠ろうと「努力」する。
ホットミルクを飲んだり、リラックスの体勢を取って寝転がったり、オレンジ系の薄暗いライトをつけたり。
でも結局「努力」って、余計に眠気を遠ざけてしまう。
「眠れない時は何も考えずに…」という記事を見つけた事がある。でもそれは無理な話で、頑張って無心になることは出来ない。
勝手に思い返される過去の記憶。嫌な思い出ばかりがフラッシュバックして、こんな事しか思い出せない自分を呪いながら涙する。
しばらく泣いて瞼が重たく腫れ、乱れた呼吸のせいで疲れきった気管の働きが穏やかになり呼吸が整うと、強制的にその日の私が「シャットダウン」する。こんな物理的方法でしか眠れない。
つまりほとんど「泣いて寝る」か「寝ない」の2択。処方された精神安定剤と抗アレルギー剤はどちらも副作用が強く、昼間に眠気を誘う効果が出てしまうため眠剤は処方されていない。この副作用が夜に起きてくれればいいのに。
入眠出来ない理由は人それぞれだろうが、私の場合はほぼ精神的ストレスが原因である。
熟眠障害
私が深い眠りにつくことは、1度の睡眠の中でそこまで多くはないと思う。眠りが浅い時は、「起きた時に疲労感がある」「夢を見る」「小さな物音で目が覚めてしまう」等の事象がある。中でもよくある事且つ多くの人が経験したことがあるのは夢を見ることだ。
これは、体が眠っているのに対し脳が起きていおり、体に送る信号が無い分、脳の動きが活性化される為である。「レム睡眠(逆説睡眠)」というものだ。レム睡眠の間は身体の運動機能は完全に遮断され(例外として眼球は高速で運動するが)、脳の活動の反映で夢を見る、という仕組みになっている。また、運動機能の遮断が原因で意識はあるのに身体が動かない「金縛り」が起こることもある。
あまりいい夢は見ない。というより、夢の意味が必ずしも良いものでは無い。
夢占いというものがあって、科学的根拠がある訳ではないのだろうけれど、夢の内容が気になった時に調べてみることがある。しかし、仮にいい夢だったと思っても全くの裏返しの意味だったりすると、過度にいい事を期待してしまった自分に呆れと羞恥心を覚え、虚しい気持ちになってしまう。だから最近見る夢にはいい思い出がない。
少々話が逸れてしまったが、私にとっての熟眠障害は、倦怠感が残る、嫌な夢を見る、直ぐに目が覚めてしまう、というもの。疲れやすくなる原因もネガティブ的思考も、根底は熟眠障害が原因なのかもしれない。
不眠症を患っているから
冒頭でも述べた通り、不眠症はうつ患者を攻撃する。睡眠くらい自由にさせて欲しいのだが、どうにもそうはいかないみたいで。
眠れないけれど眠剤は処方されず、昼間は薬の副作用で眠気に襲われながら授業を受ける。なのに夜になるとその眠気はどこかへ消えてしまう。大いに厄介な副作用だ。昼夜逆転の方がまだマシ。私には昼も夜も無いのだ。
「不眠症、眠れないなら勉強するのにうってつけだ」そう思った時もあった。が、私の様なうつ患者が眠れない時間を有効に使える訳もなく、ただひたすら夢を待つだけの空白の時間。
私の経験上、一緒にいることで安心感を覚える人物といる時は良質な睡眠を取る事が出来ると思う。リラックス効果を増幅させるのか、詳しい事は分からないが、いつもは忌々しい眠りという行為にその時だけは安堵を感じることが出来る。
もし安心してゆっくり、ぐっすり眠れたら、幸せで気持ち良いんだろうな。
大切な人の隣で。
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