早川義夫と、私。
………ザワザワ、ザワザワ…
「 名前は_____。職業、趣味、兄弟は_____。」
…うわー、、…なんか、堅苦しい…。
都内の有名ホテル。
私は今、婚活パーティーに来ている。
( 親に勝手に申し込まれて、仕方なく…)
35歳独身。※処女、未婚。
趣味は、イケメンを眺めること。
最近は、恋愛ゲームにはまっている。
そんな、
落ちこぼれで、どうしようもない私に、
まさか、あんなことが起きるなんて、、
…この時は、思ってもいなかった…。
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「えーっと、、あの、、よしお、
早川義夫って言います。」
私の前に現れたのは、40過ぎぐらいのおじさん。
色白で、細長い。幸が薄そうな目。
見るからに、頼りなさそうな雰囲気だ。
「……もし良かったら、
連絡先、交換しませんか。」
(…はぁ?
会って数分も経って無いのに、いきなり何様?)
と、思ったが、
やり取りするのが、面倒くさかったので、
ここは、相手の言うことを聞くことにした。
『あっ…、はい。 〇〇って言います…。』
早川義夫と出会ったのは、ここで1回目。
…数日後、
再び出会うことになる。
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深夜のコンビニ。
私は、コンビニのバイトをしている。
…今日も、だるいなぁ。
ひとりごとを言い、品出しをしていた時、
[ おい!お前!!……金出せ!全部出せ!!
おい、早くしろ!!殺すぞ!!! ]
いきなり、全身真っ黒な男が、
私の首を、後ろから掴み、
胸に、包丁を突きつけて来た。
…は、、はぃ!
私は、包丁を突きつけられたまま、
震える手で、レジのお金を全部出した。
(…死にたくない、こんなところで…泣 )
その時突然、パトカーのサイレンが聞こえた。
…ゥゥウウウウウウウ………!!!
「警察だぁ!
強盗および暴行行為により、逮捕するぞぉ!!」
…色白で、細長い。幸薄そうな目の警察官…。
…あぁ!
あの時の! 婚活パーティーの男!!!
早川義夫は、警察官だったのか。
……っていうか、キャラ、違くない?
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強盗 vs 警察官 (早川義夫)
どう考えても、強盗の方が、体が大きい。
しかも、胸板が厚い。
……早川義夫、大丈夫なのか…、勝てるのか??
「おい!!強盗め!
お前はもう、逃げられないぞぉ!」
バカみたいな大声で、ベタなセリフを言い、
両手をグーにして走り出す、早川義夫。
そして、強盗の目の前で両足ジャンプし、
強盗の頭に、何かを被せた!
……あれは、、、パンツ?
強盗の顔面に、
女性用の花柄パンツが、被せられていた。
[み、見えない!息が、、出来ない…!!]
強盗が、バランスを崩したその時、
早川義夫は、
強盗の背中に、サルのように飛び乗った。
…そのまま、2人で床に、うつ伏せで倒れこむ。
バタンッ。
「俺の、…勝ちだぁ!」
強盗に馬乗りになった早川義夫は、
ガチャリと、手錠をかけた。
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……何だったんだろうか。
強盗がパトカーに乗った途端、
早川義夫は、元の、頼りなさそうな姿に戻った。
あの後、
早川義夫は、私の顔を見て、
「〇〇さんですよね、あの、パーティーの…。」
と、声を掛けてきた。
そして、私の方へ歩み寄り、
「この後、食事でも、、どうですか…?」
と聞いてきた。
(……はぁ?
こんな時に女誘って…、何様?)
と、思ったが、
やり取りするのが、面倒くさかったので、
相手の言うことを、素直に聞くことにした。
『……あっ、、はい。 着替えてきます……。』
この時、私はすでに、
早川義夫という、不思議な男に、
……ハマってしまっていた。