感情 【詩】
感情から
油が漏れはじめている
もう十月だというのに
ちっとも涼しくならなかった
電気蝉が変な鳴き方をする
ギシギシ ギシギシ
電気屋に来てもらった
ギシギシ ギシギシ
かれはしばし首をかしげた後
プラス極とマイナス極をつなぎ換える
すると世にも美しい声が…
感情なんてそんなものだ
ちょっとした配線ミスだ
まだ夜明け前だというのに
ギシギシ ギシギシ
あいつもまだ眠っていることだろう
ギシギシ ギシギシ
息子を技師にしておけばよかった
妻の義歯を外してしまおうか
いろいろな感情がかけめぐる
もう十月だというのに
ちっとも涼しくならなかった
ちょっとした配線ミスだ きっと
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