ステゴサウルス 【詩】
這い登っていく途中で
ふいに出くわした
黒い岩塊
相変わらず
無愛想で
油断のならない生物
もうとっくの昔に
冷えきっている
喉元や 背筋や くるぶしを
トンカチで叩いてみる
地球の重心へ向けて
カンカンカンと響かせる
漂流する宇宙船の航跡は
どこへでも行けるが
どこからでも行きづまる
むすうの星座が
飴のように
氷河を形成する
動植物の鳴き声を
飛蝗や いなごや クワガタや
ジュラ紀の騒音の全てを
封じ込めている
時間
螺旋状の空間
(歴史は終わっていた)
ヤママユガの泥流
電磁気学の死体
隕石の豪雨はやむことなく
ステゴサウルスの孤独を
その蒼い小脳をふるわせる
(もうとっくの昔に歴史は)
(2024.9.16 修正)
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