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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#小説

いつも長さのわからない「R」を求めよ【第七話・穢呪】

 ライオットがバルスに駆け寄り、メルフとセイレンは少し遠くからバルスを眺めている。 ライ…

塩かげん
1日前
9

【恋愛短編】ブレイブはクソゲーじゃない

 クリスマスに買ってもらったゲームソフトがちっとも面白くなかった。本屋で何度も立ち読みし…

塩かげん
6日前
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いつも長さのわからない「R」を求めよ【第六話・見方】

 朝焼けを浴びる割れた窓、粉々になったガラス片の一部がぬかるんだ地面に落ちている。キラキ…

塩かげん
8日前
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【短編】地獄に落ちた猫のオプション

 屁みたいな間の抜けた返事はまさに「へ?」と一言だった。俺の口から屁が出たとでも言おうか…

塩かげん
2週間前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【22】

第二十二話・十八年前の入れ替わり 餃子のますもり、通称“餃マス”。京都ラーメン戦争が終わ…

塩かげん
3週間前
5

パンとサーカスと、自転車に乗って【21】

第二十一話・ホームレスの女 日付けが変わる前、桜井たちが署に戻って来た。若い女性の遺体、…

塩かげん
3週間前
7

いつも長さのわからない「R」を求めよ【第五話・明察】

 夜明け前、カチャカチャ、カチャカチャ、鎧の擦れる音が次第に大きくなる。近づいているのだ。得体の知れない何かが。  ゴード・スーはライオットたちを叩き起こした。 「村人たちが来た。起きて。自警団だ、クソ」  ゴード・スーは窓から外の様子をうかがう。五百メートルほど離れた教会には火が放たれ、離れの家からでもその様子はわかる。時折ドン、バンといった音がここまで聞こえる。自警団の数は五十程度。ライオットは、このメンバーで勝つのは無理だと判断していた。 「うーん、コレ、なんだろ。戦お

いつも長さのわからない「R」を求めよ【第四話・残涙】

 教会までの道のりは思った以上に遠かった。フォ・イーズ村は要所要所に小さな関所があり、そ…

塩かげん
3週間前
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【短編】露出は黙して、饒舌に語らせる

 外壁工事、マンションだけではない。警察署も十五年経てば、ガタがくる。積み立て金などある…

塩かげん
3週間前
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いつも長さのわからない「R」を求めよ【第三話・孵化】

 サレンダー地下ダンジョン一階入り口にライオットたちは待機していた。下層に潜る手練れのパ…

塩かげん
4週間前
17

いつも長さのわからない「R」を求めよ【第二話・禁呪】

【第二話・禁呪】  バルス・テイトは東国、ガダルニアの乱を収めた勇者だ。パーティーはライ…

塩かげん
1か月前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【20】

第二十話・葉狩の思惑 押上は出先の葉狩と京都市内・丸太町駅で待ち合わせていた。龍正館大学…

塩かげん
1か月前
17

パンとサーカスと、自転車に乗って【19】

第十九話・詐欺事件と誘拐事件の交差 押上が捜査一課に呼ばれたのは、偶然ではなかった。二人…

塩かげん
1か月前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【18】

第十八話・複雑に絡む糸ほど、ほどくとシンプルということ 重野英子四十三歳、シングルマザー、無職。京都府城陽市徳田町コーポ209号。前科あり。一ツ橋は前科が二つ、一ツ橋が轢き殺したとされる杉浦杏子も前科者だ。なにか見えない糸のようなものが入り組んで絡まっているのか、それとももともとシンプルな結び目なのか、葉狩は英子の表情から汲み取れずにいた。響木が抑えてくれた会議室は取調室と違って広い。窓は鉄格子がついているが、独特の圧迫感はない。たまにニュースで「容疑者は黙秘を貫いています」