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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#ミステリー

パンとサーカスと、自転車に乗って【12】

第十二話・写真の見知らぬ女、と火葬場 杉浦杏子が亡くなった報せは元勤め先の清掃会社にも届…

塩かげん
2日前
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【短編】さようなら、殺人鬼

来留聡一郎の渇望 パンを食べるか、ごはんを食べるか。ここのごはんとは、ライスのことだ。ど…

塩かげん
6日前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【11】

第十一話・絡み合う蔦と崩れる壁 正美の母、重野英子は金策に追われていた。家じゅうの金品を…

塩かげん
2週間前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【8】

第八話・不安というものの柔らかい輪郭五時を過ぎたが秀一はコミュニケーションルームに現れな…

塩かげん
2週間前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【7】

第七話・距離感のなかで数字を噛む 陽子は、昼間はビルの清掃、夜は学校とハードスケジュール…

塩かげん
3週間前
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【連載小説】フラグ<第五話>

CASE1:副島遥からの依頼<4> 大吉の妻、遥は一年前に大吉に殺されている。理由は殺し屋を辞…

塩かげん
3週間前
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パンとサーカスと、自転車に乗って【6】

第六話・祖母との鉢合わせと暗号 ノートに書き出している。ノートは腐るほどある。高校を辞めてしまったから。後悔はない。通信講座タイプの高校に編入することも咲江さんから勧められたが、正美のことを考えているとどうにも譲り受けた曲たちを形にせねばと思う気持ちが強くなった。そんなの高校の勉強しながらでもできるでしょうと咲江さんは言った。半ば根負けした形で、隣町の夜間に通うことにした。学校にはさまざまな経歴の人たちがいて驚いた。  母さんぐらいの年齢の人や、咲江さんぐらいのオバアサン、

【連載小説】やさしい首<第1話>

第1話:汚名  楠木隆一郎は妻の富江と二人暮らしだ。息子三人は所帯を持ち、長男の真一には…

塩かげん
3週間前
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【連載小説】フラグ<第四話>

CASE1:副島遥からの依頼<3>依頼人の副島遥は一年前に死んでいる。死因は不明、司法解剖ナシ…

塩かげん
4週間前
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【連載小説】フラグ<第三話>

CASE1:副島遥からの依頼<2> 事務所の一階にある喫茶店「あらかわ」。店の前には多肉植物が…

塩かげん
1か月前
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【連載小説】フラグ<第一話>

プロローグ:死神の少女と暗殺者 会社を辞めようといったのは、デュークからだった。辞めてど…

塩かげん
1か月前
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【短編小説】特潜・実谷重綱が伺う

 沢城壮太は、震えていた。足もとからガタガタと震え、全身に悪寒が走る。風邪の時とは違う。…

塩かげん
3か月前
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死神を面接

「じゃぁさぁ、もう他にウソはない?言ってないこととか。全部、今なら考慮するから」 「いや…

塩かげん
5か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-B】

SIDE-B 前略、笹岡倉穣一から殺人鬼へ   窓越し、またあの夫婦が騒いでいる。相変わらず朝から騒々しい。角家の奥まった家、念願の新居に引っ越したにもかかわらず、笹岡倉穣一は憂鬱だった。妻ともようやく離婚でき、心機一転作家活動に邁進できる、と穣一思っていたのだ。  離婚調停は意外と手間取り、妻に財産の七割を渡すことで合意できた。ミステリー作家としてのこれまでの功績は妻にもある。そういう点からも本来なら五割が妥当だが、将来に渡っての印税は妻の手に渡ることがない。そういった