パンとサーカスと、自転車に乗って【6】
第六話・祖母との鉢合わせと暗号 ノートに書き出している。ノートは腐るほどある。高校を辞めてしまったから。後悔はない。通信講座タイプの高校に編入することも咲江さんから勧められたが、正美のことを考えているとどうにも譲り受けた曲たちを形にせねばと思う気持ちが強くなった。そんなの高校の勉強しながらでもできるでしょうと咲江さんは言った。半ば根負けした形で、隣町の夜間に通うことにした。学校にはさまざまな経歴の人たちがいて驚いた。
母さんぐらいの年齢の人や、咲江さんぐらいのオバアサン、