「紅葉」がテーマ 日増しの肌寒さで紅葉のシーズンが終盤を迎えている。ただ、この投稿で記せればと思うのは、定番であるモミジやケヤキといった落葉広葉樹の紅葉についてではない。 「針葉樹の紅葉」がテーマ 紅葉は紅葉でも、今回のテーマは針葉樹の紅葉である。そう聞いてカラマツやメタセコイアが思い浮かぶ方、かなりの針葉樹ツウですね。いかにも、常緑性の木が多い針葉樹の中で、カラマツ、メタセコイアは数少ない落葉性の針葉樹であり、秋には鮮やかに黄葉した後に葉を落とす。 このうち、
木が伐り倒される迫力を間近に感じてもらう伐採見学ツアーがこのほど、横瀬町芦ヶ久保のスギの山林で行われました。当日は、木が倒れる仕組みの説明や、実際の伐倒手として私も携わらせてもらいました。 集まった参加者は、都内からお越しの親子など計10人ほどです。林業従事者がどのような原理で木を伐るか知っている人はそう多くないでしょうし、ましてや小学生がチェンソーと聞いて思い当たるのはせいぜい「チェンソーマン」くらいかもしれません。そこで山へ移動する前、模型を使ったミニ講義を行いまし
横瀬駅前や宇根地区の街道を走っていると、丸太の中身をくり抜いて作られた船のような形のプランターをあちらこちらで見かける。 地域住民や小学生の登下校の列が行き交う道に、手入れされた花が咲いている光景は、何だかほっとする。プランターがプラスチック製でないのも周囲とマッチしていてグッド◎。 これらプランターは、道具の扱いに慣れた地域の方々が手作りしている物だ。制作の現場にお邪魔し、お手伝いさせてもらった。 作業はまず、丸太を玉切るところから。切った長さがプランターの全
4月より地域おこし協力隊の活動3年目に突入し、活動の仕方に若干の変更がありました。山仕事のいろはを覚えるため、これまで2年間は秩父広域森林組合(本所: 秩父市)という林業を専門とする事業体に出向する形で籍を置かせていただき、現場作業班の一員として毎日山に入り、修行を積んできました。 4月以降も引き続き森林組合に籍を置き、引き続き組合の現場作業に従事する日はあるのですが、並行して、主に横瀬町をフィールドに「地域おこし協力隊」をメインの肩書きとした活動の比重が増えています。
山に残されたある種の痕跡の数々は、かつてそこにクマがいた事を雄弁に物語る。 前回に続き熊の話題を。これまで実物の熊に遭遇したことは一度きりなのだが、注意して見ると、これはツキノワグマによる仕業なのでは?という場面に出会うことがある。 冒頭の写真を見てほしい。これは秩父市吉田太田部の植林地で撮ったもの。木の股になった部分に不自然に枝が溜まっているのが分かる。折れて落下した枝が1つの場所に向きを揃えて集まるとは考えづらいし、人がわざわざこのような高い位置に枝を残すという
林業で毎日山に入ること、間もなく2年。昨年の暮れ頃、ついにというかようやくと言うべきか、ツキノワグマを目撃した。 クマの存在に気が付いたとき、私との距離感は10メートルほど。私もクマも単独行動だった。冬眠の準備か、餌を探しながら獣道をこちらへ向かってくる。肩を揺らし揺らし歩く様は威風堂々。艶々しく黒光る毛並みにはいよいよ山の王者の風格が漂う。 幸い、餌探しに夢中で終始うつむいていたので、私には気が付いていないようだった。あるいは鋭い嗅覚で人間の匂いを嗅ぎ取っていたの
日が空いてしまったが、樹高測定の3本目、身近な物を使ったおおよその樹高の測り方について考える。 使うのは真っ直ぐな棒一本だけだが、その前に。小中学校の数学の時間に使った三角定規を思い浮かべてみる。(30°,60°,90°)でなく、(45°,45°,90°)の方に注目する。 この三角形は直角をなす2辺の長さが等しい。これを利用し、一方の辺の長さを、測りたい木の高さに見立てれば、樹高は地上の水平距離に置き換えられる。もちろんそれだけ大きな三角定規は存在しないのだが、棒を
前回、山の素材価値を知るうえで欠かせない立木調査の流れをご紹介しました。立木調査で調べるのは、木の直径、樹高、形質、樹種―でした。この内、直径は簡単に測れる。形質、樹種は人の目で読み取ればいい。では、樹高をどう測るのかが今回の着眼点です。 まず、アナログな方法で、測桿(そっかん)という伸縮式のポールを使った方法があります。測桿を根元に当て、木の上端まで伸ばすのです。 しかし、例えば直径40センチクラスのスギは高さ30メートルほどになります。その上、木の上端に近づくほ
この秋は「立木調査」といって、山の決められた範囲内に立っている木の太さや樹高を計測する仕事が多くなっています。流木(リュウボク)じゃなくて立木(リュウボク)です。 ここで算数の話になりますが、直径と高さが分かれば木の体積が求まります(V=πhr^2, 実際には木の幹は円柱型ではなく、上に行くほど細くなるため、公式は単純には当てはまりません)。 加えて、木は真っ直ぐに立っているようでいて実際は曲がりがあったり少々の腐りが入っていたりするものです。そこで、「形質」といっ
大雑把に言うと、一面単調な緑色か茶色しかないのが夏の山の現場だ。芽吹きが目にしみた春の若葉の季節は遠くなりにけり。下刈りの日々は、萌える新芽を愛でた数ヶ月前の感情を忘れさせるのに十分で、暑さも相まり、眼の前の景色はいよいよ殺伐とすらしてくる。 そんなギスギス(?)した所へ突如現れたメルヘン的存在、タマゴタケ。背景の色彩が単調であればこそ、この極彩色のきのこの存在が際立つ。 まさかこれが食用になるとは知らなかったのだが、周りの先輩の勧めでいくつか持ち帰ってみた。汚れを
遮るもののない下刈りの現場に何度入っても驚かされるのが、圧倒的なスケール感です。現場によってはその面積14ヘクタール。サッカーコートで例えると20面分! 20面という字面に「意外とそうでもなかった」と自分自身感じてしまったのですが、侮ることなかれ。これが平面的に広がっているのと、斜面で広がっているのとでは、その迫力に大きな違いがあります。 8月下旬まで入っていた現場では朝、200メートルの落差を下って下刈りのエリア最下層までたどり着くという所もありました。下刈り中、
こんにちは。山では下刈りの真っ最中です。 前回の投稿で、下刈りについて「苗木の成長を妨げる雑草や雑木を刈る」とざっくり書きましたが、実際には何をしているか。はい、写真で見るとこんな感じです。庭先の草刈りと違い、年一回の機会なので草が生き生きとしていますね(笑) 杉やヒノキの苗木は、植えてから5年ほどは周囲の下草の勢いに負けて埋没してしまうので、これを除去します。この、「人が手を掛けてやらないと育てない」というのが何とも頼りないですが、妙な愛着を湧かせもします。植わっ
横瀬町地域おこし協力隊の山田ルノと申します。2022年4月に横瀬での活動が始まりました。任務は林業振興。一から学ぶために現在、林業を専門とする秩父広域森林組合(秩父市)という所に籍を置いて修行を積んでいます! 生まれ育ったのは横瀬と同じ秩父郡の皆野町です。前職は、仙台が拠点の地方新聞社で記者をしていました。東北に暮らすこと5年半。秩父地域も田舎ですが、東北もなかなかに田舎。取材であちこちを回るうちに、山に溶け込んで育った経験が思い出され……かねて興味のあった林業にUター