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環境や関係を切り捨てる人と回避傾向について

職場を変えることで一つの所に長続きしない人。
関係を断つことで人と親密になれない人。
 
ある所まで来ると自分のほうから環境や関係を切ってしまう人がいます。
 
それまではそつなくこなしていたように周りからは見られていても、ある時突然離れていく。
 
職場を続けていれば、成長や発展があったのだろうに…
関係を続けていれば、大切な人間関係が築けただろうに…
 
環境や関係の中で発展していく前に自ら去っていく人がいるのです。
 
このような人の回避傾向の心理について考えてみたいと思います。




環境や関係を切り捨てる人の回避傾向について。
 
心のどこかで自分への完璧さを求めて失敗を恐れているところがあるのではないでしょうか。
 
自分の欠点が露見して失望されることを恐れて、そのような事態を回避する。
 
仕事を続けていれば、失敗やうまくいかないことはあります。
そのような経験を乗り越えることで成長していきます。
失敗を回避することは、成長の機会も回避することになります。
 
対人関係でも完璧で居続けることは難しいので、お互いに欠点も受け容れ合いながら関係を深めるものです。
そこからも回避するのです。
 
相談の仕事をしていると、そのような人たちと出会うことがあります。
学校での人間関係に躓きかけたところで辞めて、自分のことを知らない別の学校に変える。
就職して業務でわからないことがあっても自分から相談できず、自分の評価が下がる前に辞めてしまう。
 
 
心理的背景には自己肯定感の低さがあるように思います。
 
あるがままの自分を受け容れてもらえずに育ってきたのかもしれません。
成功やうまくいったことだけを評価されるような条件つきの受け容れられ方で。
 
また周囲の人間が過剰に失敗につながる体験を避けさせてきたのかもしれません。
意外に失敗した体験自体がないという人も多いです。
失敗して傷つくことをずっと回避してきた。
だから失敗という未知の経験は極度の恐れとして強化されます。
 
このような傾向が極端に強いと、社会に出ることを回避してひきこもることもあるでしょう。
 
 
それでは、このような人には何が必要なのか。
 
信頼して心を開く相手がいるといいですよね。
簡単に言わないでよ、と思うかもしれませんが。
 
良いところも悪いところも、長所も欠点も、あるがままに受け容れてくれる相手がいるのが望ましいです。
 
そしてリスクの小さな失敗を少しずつ体験していくこと。
その体験を信頼できる相手と共有して、失敗した自分をも受け容れてもらう。
 
このときに受け容れる側の人間が完璧を求めたり期待したりしないことがとても大事です。
そのためには、自分に対しても完璧を求めないこと。
そうすることで人に対してもそのようになれます。
 
Good enough」(ほどよい)という言葉があります。
完璧ではなく、ほどよくいること。
 
完璧であろうとすることは様々な面で良くない場合があります。
自分が完璧であらねばと思うように周りの人にも同様に完璧を求める。
あるいはしっかりしすぎることで人を依存させてしまうことも。
 
ほどよく失敗もするし欠点もある人間。
そのような存在のほうが相手も安心して自分の失敗や欠点を話せます。
あるがままの自分でもいいのだと思えます。
 
信頼して心を開いてもらうには「Good enough」であることが大事。
 
 
そんなことを言う私も心理相談で失敗します。
 
ひきこもって自信が持てないという若者の相談をしていて、社会に参加しようと急に頑張り出す姿を見て応援する。
順調に進んでいて私のサポートもうまくいっていると安心していたところで、パッタリ相談が途切れる。
前向きに頑張っていたにも関わらず、突然動きを止めて相談もやめてしまう。
何があったのか、理由は何か、聞くこともできず。
考えてみるとその若者は自分自身に完璧を期していた。
失敗や欠点が露見しかけたところですべてを放棄して私との関係も断ち切ったのではないか。
失敗したら情けないし、私にも申し訳ないと。
そのことに思いが及ばず慢心していた私がいたということ。
そのような時は、申し訳なさ、自分の無能さや無力さに打ちひしがれます。
 
完璧じゃなくても大丈夫。
失敗したらその体験も共有しよう。
そのような心持ちで接するべきだったと。
 
 
 
個人的な体験もお伝えしましたが、今回取り上げた回避傾向のある人たちと関わるには、自分自身に寛容であることが大事です。
それによってその相手も寛容に自分自身を受け容れられるようになるのではないでしょうか。
 
そのためには「Good enough」であること。
 
 
今回は、環境や関係を切り捨てる人と回避傾向について、お話しました。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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