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ブログセレクション

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ブログ「KHAKI DAYS」から選んだエントリを載せています。加筆・修正あり。
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記事一覧

アレン・ギンズバーグ「アメリカ」

アメリカよ ぼくはきみにすべてを捧げていまでは無だ。 アメリカよ 2ドル27セントしかない1956年1月17日。 ぼくには 自分の精神が耐えられない。 アメリカよ いつぼくらは人間の戦争をやめるのだろう。 おまえは自分の水爆でナニしていかれてしまえ。 ぼくは気分が悪いんだうるさくしないでくれ。 アメリカよ きみはいつ天使のようになる。 いつきみは服を脱いでくれる。 いつきみは墓場を透かして自分を見る。 いつきみは数百万のトロツキストにふさわしくなる。 アメリカよ なぜきみの図

「いい人」について。

「いい人」について、以前自分がツイートしたものの中から抜粋。 いい人→人畜無害、よく気がつく→細かすぎる、付き合いが良い→優柔不断、正義感が強い→世間知らず、聞き上手→付和 雷同、前向き→忘れっぽい、気配り→八方美人、縁の下の力持ち→決断力が無い、協調性に優れる→お調子者、集中力抜群→視野狭窄、読ませる文章力→やや誇 張癖あり、慎重→ケチ 血縁という縛りがもたらす過剰かつエゴに満ちたコミットメント、というものに対する拒否反応があった。だから今でも「気はいい人なんだけど口が

20220525 アルバイト・ヒストリーNo.2

その1からの続き。 ヒーローショウの着ぐるみ僕がその頃通っていた専門学校の同級生にHがいた。彼とは家も近い事もあったが、来るものを拒まない独特の空気を持っており、僕はそのうちにHの家に入り浸って遊ぶことが多くなった。Hは高校時代の同級生Iと家賃を折半して2DKの部屋に住んでおり、その広さが僕を気軽に遊びに行かせる後押しとなった。ある日、Hがアルバイト情報誌で面白そうなバイトを見つけてきた。それはヒーローショウの着ぐるみに入るというもので、バイト料は非常に安かったが、その内容

20220525 アルバイト・ヒストリーNo.1

今日は、学生時代にしていたいくつかのバイトについて。ちょっと長くなるけど、思い出してみようと思う。 スーパーのバックヤード最初は高校卒業前の冬休み、家から比較的近めの横手市のジャスコ(!)で、総菜をパックしたりラベルを貼ったりする仕事をした。言うところの「刺身の上にタンポポ(豆菊)をのせる仕事」に近かったかもしれない。これが今思っても違法なくらいに時給が安く、なんと430円だった。本家の長男として蝶よ花よと甘やかされ放題で育てられた僕に、安い時給でこき使われるような水回り仕

一言。

いまさらながら、「一言」の重要性を思う。 たった一言が相手の心に響いて、 その人のことを好きになることもある。 逆にたった一言で、 誰かのことを決定的に嫌いになることだってあるだろう。 気持ちを射抜く言葉。 心を切り裂く言葉。 たった一矢、たった一言で十分なのだ。 たった一言。 思いつくのは一瞬でも、 相手に伝わって残るのはほとんど永遠ということもある。 怖い。 放った言葉は自分の思惑を離れ、 まるで自分とは関係ないもののように作用する。 そう思えば言葉というのは、 実

寂しさについて。

「寂しさ」について、以前自分がツイートしたものの中から抜粋。 やっぱり長いです。 待っている事で寂しさを覚えた時は、自分からちょっと動くだけで解決する事がものすごく多い。 ウッズやシンプソンがまさにそうだけど、自分は「アメリカンヒーローは失墜しなければならない」と心のどこかで思ってる気がする。自分のアメリカのイメージは「合理的でポジティブでジャイアン」というものだが、加えるなら「寂しさ」がある。アメリカンヒーローは前向きゆえにどこか寂しい。 もうちょっと年季の入った国だ

ワールドカップ2006

昔書いたブログエントリ、 https://kakiwo.exblog.jp/3657982/ より。選手名が懐かしいです。 ------------------------------------------- 「あー、まあまあ、タカシ、となり座れ」 「オレはキヨシだよ」 「お前も大きくなったから酒ぐらい大丈夫だろう」 「まだ小5だよ」 「んー、ビールでいいか?」 「ビールは苦くて嫌いだ、コーラでいいよ」 「冷えてないぞ、あまり」 「で、なんだ?」 「ん?」 「何の話をする

映画「トニー滝谷」

映画「トニー滝谷(たきたに)」の監督は市川準だった。 市川準は「病院で死ぬということ」「トキワ荘の青春」などの、 非常に静謐な映画を撮る監督であり、 もともとはCMディレクターであった。 なるほど、各シーンへの入り方、研ぎすまされた映像、 この緊張感は確かにCM的かもしれない。 「トニー滝谷」の原作は村上春樹で、 音楽は坂本龍一で、 主演男優はイッセー尾形で、 主演女優は宮沢りえだ。 もう、これだけで一見の価値があるだろうという キャスト&スタッフである。 あと一般的に

夢。

夢を見た。 古い友人であるYさんは、永田町に住んでいる。 永田町というのは日本の皇居に接しており、 地理的にも東京の中心と呼ばれてしかるべき場所にある。 要は、一般人が本来住むような街ではないのだが、 彼はここに風変わりなマンションを借りて長いこと住んでいるのだ。 「ここに住んでもうずいぶん経つけどね、すごく気に入ってるよ」 Yさんは言う。 久しぶりに訪れたYさんのマンションはあまりにもクールで、 住まいというよりもまるで…まるで…何だろう? Yさんの部屋は地下にある。

人名の空港たち。

人の名前のついた空港ってたくさんありますね。みなさん、いくつ知ってますか? ジョン・F・ケネディ空港(USA・ニューヨーク)言わずと知れた第35代米国大統領。いわゆるJFK。そのルックスと戦略でテレビ・ディベートの時代をうまく立ち回った人。もちろん最後の暗殺シーンがあまりにも有名ですが、この人の一族はちょっとびっくりするくらい不運がつきまとってる。 シャルル・ド・ゴール空港(フランス・パリ)こちらはフランスの大統領。この人の名前のついたものは国内に多々あり、この国際空港の

桜吹雪が風に舞う。

もうすぐ桜の季節である。 日本人は本当に桜が好きで、この神秘的なピンクの花が咲くほんの1週間ほどのあいだ、日本のあちこちで花見と称する飲み会が行われる。もちろん僕だって例外じゃない。開放的なお外での楽しき花見に関しては個人的に失敗談も多々あるが(もちろん酒がらみ)、ここではあえて触れない。書きたいのは以前、小田原で見た桜である。 ちょうどその頃、僕は仕事の忙しさにほとほと疲れ果て、身体もそうだが何より精神的に参っていた。明らかに頭がリフレッシュを欲しているのを感じていた。

NIPONGO

「潔白のところ」と彼は言う。 本当は「結局のところ」と言いたいのだが、彼は日本語(彼の言う「ニポンゴ」)がまだ上手に使えないので、近似値のような言葉をときおり間違えて持って来てしまうのだ。わたしはそれなりに長い付き合いの中で(2年になる)、まるで親切な通訳のように、彼の誤ったニポンゴを汲み取るようになったし、彼はそれについてわたしに感謝の意を表す。 だが、日本語が不得手という以外にも、わたしが彼について知っている事実がある。 彼は、嘘つきだ。 おそらく彼はもっと正確な

「しかたない」のやってくる時。

もし、あなたがその人のことを、その人の存在を本当に大事に思っているのだったら、できる限りその人の身になってあげてください。 「かわいそう」とか「たいへんだね」といった「外側からの同情」ではなく、あなたがまさにその人の立場になったとして、その状況でやれることをつぶさに考えてあげてください。 誰にとっても問題はいつもひとつじゃありません。さまざまな角度からのさまざまな問題が、困難が、弊害が、いつもその人を苦しめています。ひとつだったら乗り越えられることも、同時に2つ3つと塊に

魂の救済。

先日、誰かが「魂の救済の物語」について書いていた。これはある種、究極的なテーマであると思う。 まず、人は自選的に生まれてくるのではない。そんな「負わされた生」を自分のものとして受け入れる、その一連のプロセスが生きるということだと言える。 さらに生まれた国や時代、家庭環境などによっても大きく変わってくるのが人の生であり、それは本人のせいではありえない。しかし日々に不遇、不運、不本意、不平等、不協和は起こり、我々の魂はその都度、痛み削られる。 例えば早く死んでし