霧雨が頬を撫でるとき|『ソラニン』
先のことなんて考えたくない。
そんなことを思うのは、きっとそれでも考えてしまうから。
私の、私たちの先のことを。
今が永遠に続けばいい。
続いて欲しい。どうか。
口先だけの約束なんて要らない。
そんなことをするくらいなら、この先から目を背けて、今だけを見つめていたい。
どうか、このまま。
「現実を見て」だなんて言わないで。
「もう大人なんだから」だなんて言わないで。
そんなこと、自分がいちばんよく分かっているでしょう。
あなたも、私も。
将来への不安で、私は息ができなくなる。
現実から必死に目を逸らして、今を精一杯笑って過ごしているの。
偽りの日々と言われてもいい。
今は、この今という時間を大切にしたい。
私たちは今を生きるしかないのだから。
それでも、その時は近づく。
その時は、来てしまう。
もう後戻りはできない。
私は、私たちは、先に進むしかない。
せめて、忘れずに。
決して偽りではない。
私たちは必死に生きていた。
誰にもわからなくていい。
私たちだけがわかっていればいい。
私たちはわかっている。
私が、わかっている。
私たちはずっと、必死で、今を生きていた。
さようなら。私。永遠に。