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【詩】2番ホーム

向こうのホームの
線路をまたいだ向こうの
    彼

肉が蠢き踊る
我ら1番ホームに隔絶された
    彼

まるで静を讃えてる
宛ら死んでいるかのように

動と静
生と死

右半身は夕陽に燃えている
左半身は青ずんだ陰に融けている

陰陽の狭間に在る唇は
一直線固く直線
それは例えば我らを分かつ線路
此処では幾つもの生と死が
走ってきた 爆ぜてきた
鼓動音と破裂音

刹那彼が走り出した気がした
眼前をすれ違う列車2台

喧騒、そして静寂
彼は消えていた
私はいまだ彼の音を聴いてはいない


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