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フランス流の働き方改革:自分に合ったワークライフバランスを見つけるためのガイド

はじめに : フランスでの働き方


フランスは、世界的に見てもワークライフバランスの重要性を強調する国として知られています。フランスの労働文化は、仕事だけでなく家庭や個人の時間も同等に重視し、これがフランス流の働き方の特徴となっています。たとえば、週35時間労働という法律で定められた短縮労働時間は、フランスの労働者にとって家族や個人の時間を大切にするための大切な基準です。もちろん、ただ労働時間が短ければ短いほど良いというものでもありませんが、私自身がフランスで仕事を始めたとき、その徹底したワークライフバランスの取り組みに驚かされました。日本では、永らく仕事に多くの時間を費やすことが美徳とされ、長時間労働が当然視されてきた歴史があります。これに対しフランスでは労働時間が厳密に管理され、個人の時間が尊重されることが当然の権利として主張されてきました。“労働”に対するこの価値観の違いを実感することで、私の働き方や生活に対する考え方も大きく変わりました。仕事と生活の質をフランスではどう考えるのか、ご紹介できればと思います。

フランスの働き方の特徴と日本との違い

労働時間と休暇制度


フランスでは、1998年に導入された「オブリー法」によって、週35時間労働が標準化されました。この制度は、フランスの労働者に仕事以外の時間を充実させるための余裕を与え、その結果として生活の質の向上を目的としています。さらに、フランスの労働者は年間最低5週間の有給休暇を法的に保障されており、加えて11日から13日の祝日があるため、リフレッシュす時間が多く確保されています。このような充実した休暇制度は、フランスの高い生活満足度の一因となっています。

これに対して日本ではこれまで、長時間労働が一般的でした。2023年のデータによると、日本の労働者の月平均残業時間は24.66時間に達し、多くの人が長時間労働を常態として受け入れています。また、日本の有給休暇取得率は依然として低く、多くの従業員が十分な休息を取れない状況が慢性化しています。この背景には、同僚や上司への遠慮や、なんとなく空気を読んで…といった労働文化が影響していると考えられます。このような環境では、プライベートを充実させるのはなかなか難しく、常に仕事に追われる日々を送ることが多くなってしまいます。

仕事と生活のバランスを大切にする文化


フランスでは、仕事と生活のバランスを保つことが非常に重要視されています。その象徴的な制度として、2017年に導入された「切断権」が挙げられます。この法律は、従業員が勤務時間外に仕事のメールに返信する義務を免除するもので、労働者のプライベートな時間が確保されています。この結果、従業員は仕事から完全に離れてリフレッシュする時間を持つことが権利として行使できるようになり、心身の健康維持に効果が期待されています。こうした権利が保障されていることで、フランスでは仕事と生活のバランスを取りやすい環境が整っています。

一方、日本では、勤務時間外でも仕事の連絡を確認し、対応することが期待される文化が根強く残っています。多くの企業では、勤務時間外でもメールや電話に対応することが依然当たり前とされており、休暇中であっても常に社内メール等をチェックするなど、従業員のストレスの大きな要因となっています。2023年の調査では、40.8%の日本の労働者がプライベートな時間にも仕事の連絡を受け、その多くがその場で何らかの対応を余儀なくされているという結果が出ています。このようなことはフランスではまず起こりえません。もちろん職種にもよりますが、一般的に休暇中に連絡を入れるというのは、たとえば人命にかかわるなど、相当に重大な事案が発生したときのみに限られます。私も休暇中に仕事の要件で連絡を受けたことはありません。

しかし、ここで重要なのは、フランスの働き方が日本に対して優れているというわけではないということです。昨今の日本における働き方改革により、多くの企業が労働条件の見直しや、有給消化の徹底などに取り組んでいます。また働き方は個人の価値観やライフスタイルに基づくものであり、それぞれに合ったバランスの取り方が求められます。フランス流の働き方には日本文化に受け入れられにくいものもあるので、自分に合った働き方を見つけることが大切です。


自分に合った働き方を見つけるための簡単なステップ

1 : 優先順位を明確にする

自分に合った働き方を見つけるための第一歩は、自分にとって何が最も重要なのかを明確にすることです。フランスでは、仕事と生活のバランスを取るために、自分の価値観に合った生活の優先順位を各自が設定しています。家族との時間、趣味、健康、自己成長など、何がいまの自分にとって最も大切かを考え、それに基づいて時間を割り当てていくことが必要です。

まず、現在の生活を見直し、どのように時間を使っているかを把握しましょう。1週間の時間の使い方を振り返り、どの活動に最も多くの時間を費やしているかを確認します。そして、自分がどのような生活を送りたいか、何を大切にしたいかを考え、その優先順位に基づいて日々のスケジュールを調整します。たとえば、家族との時間を大切にしたい場合は、その時間を一週間のうちのどこで確保しようかなど、できそうなことを意識してみましょう。

2 : 小さな変化を取り入れる

次に、フランス流の働き方のエッセンスを少しずつ取り入れてみましょう。大きな変化を一気に取り入れるのは難しいかもしれませんが、日常生活に小さな変化を加えることで、仕事と生活のバランスを徐々に整えていくことができます。たとえば、昼休みをいつもより少し長めに取り、リフレッシュする時間を作ることや、週に一度は定時に退社し、趣味の時間を持つことを心がけてみてください。また、勤務時間外には仕事の連絡を控えるようにするなど、フランスの「切断権」に倣って、自分の時間を守る工夫をすることも有効です。

私は、どんなに忙しくても昼休みはきちんと取るようにしています。誰にも邪魔されずに食事をしながら自分の思考に没頭しているこの時間は、午前と午後をつなぐとても大切な時間として機能しています。また、残業は繁忙期に限定し、忙しくない時期はなるべく定時に退社する努力をしています。一年間のうちにしっかり働く時と、しっかり休む時のメリハリをつけることで、高いパフォーマンスを維持することができると感じています。

このように、小さな変化を積み重ねていくことで、徐々に自分に合った働き方が見えてくるでしょう。無理をせず、自分ができる範囲で少しずつ変化を取り入れていくことが大切です。これにより、仕事と生活のバランスが自然と整う効果が期待できます。

3 : リラックスする時間を作る


日常の忙しさを解消するためには、リラックスする時間を意識的に作ることが重要です。短いながらも効果的な休息を日常に取り込むことや、趣味や運動などのアクティビティを取り入れることも一つでしょう。仕事とプライベートの境界を明確にし、仕事から完全にオフになれる時間を持つことで心身のリフレッシュにつながります。

私自身のお気に入りのリラックス方法の一つに、ピクニックがあります。フランス、特にパリでは、緑地や公園で家族や友人と軽食や飲み物を持参してまったり過ごすピクニックが、一般的なリラックス方法として広く親しまれています。自然に囲まれながらゆったりと過ごす時間は、リラクゼーション効果が高く、日常の忙しさから解放される絶好の機会です。また、屋外での食事は気分転換にもなり、食事をより楽しむことができます。家族や友人との会話も弾み、絆を深める時間にもなります。

もちろん、リラックス方法は人それぞれであり、自分に合った方法を見つけることが大切です。たとえば、読書や映画鑑賞、ヨガなど、心と体をリフレッシュさせる活動を取り入れてみてください。自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常に取り入れることで、より健康的で充実した生活を送ることができるでしょう。


フランス流ワークライフバランスの取り入れ方


フランス流の働き方を参考に、私が実践して得られたポジティブな結果をもとに、取り入れやすい具体的な方法をいくつか提案します。

1. 毎日のランチタイムをリフレッシュの時間に

フランスでは、ランチタイムをリフレッシュの時間として重視します。日本でも、ランチタイムを有効に活用し、職場の外で食事を楽しんだり、短い散歩を取り入れることで、午後のパフォーマンスを向上させることができます。食事中は仕事のことを忘れ、リラックスできる空間で過ごすことがポイントです。

2. 週末に完全に仕事を忘れる

フランスでは、週末は仕事から完全に離れ、リフレッシュの時間に充てることが推奨されています。週末には、仕事のメールや電話をチェックせず、趣味や家族との時間を大切にしましょう。これにより、週明けに向けてエネルギーをしっかりとチャージできます。

3. 定期的に短い休憩を取る

仕事中に定期的な短い休憩を取り入れることは、集中力を維持し、ストレスを軽減するために非常に効果的です。フランスのオフィスでは、コーヒーブレイクや簡単なストレッチが一般的に行われています。これを取り入れて、1~2時間ごとに5分ほどリフレッシュするだけでも、作業効率が上がります。

4. 自然の中でリフレッシュ

フランスでは自然とのふれあいを重視し、週末には公園や自然保護区へ出かける人も少なくありません。近くの公園でピクニックをする、ハイキングを楽しむなど、自然の中で過ごす時間を意識的に取り入れることで、心身ともにリフレッシュできます。自然と触れ合うことは、ストレス解消に非常に効果的です。

5. 「切断権」を意識する

フランスの「切断権」に倣い、勤務時間外には仕事から完全に離れることを意識しましょう。たとえば、退勤後や休日には、仕事のメールや電話をチェックしないようにすることが重要です。これにより、プライベートな時間を確保し、リフレッシュできる環境を整えることができます。

これらの方法を日常に少しずつ取り入れることで、ワークライフバランスを改善し、ストレスを軽減しながら、より充実した生活を送ることができるでしょう。フランス流の働き方は、ただの模倣ではなく、自分自身のライフスタイルに合わせて柔軟に取り入れることがポイントです。

まとめ


フランスの働き方のエッセンスを取り入れることは、日本でも十分に可能です。大切なのは、自分に合った働き方を見つけることであり、それは個人の価値観や生活スタイルに基づいて行うべきです。まずは、自分にとって何が最も重要かを見極め、それに基づいて生活や仕事の時間配分を調整してみてください。そして、小さな変化を少しずつ実践し、自分に合ったエッセンスを取り入れることで、より良いワークライフバランスを手に入れましょう。自分らしい働き方を追求し、より充実した毎日を過ごすための第一歩を踏み出してみてください。