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H.Shimmatsu
2021年3月12日 02:44
私は薄寒いサスペンスの殺人シーンが好きです。特に突発的に人を殺してしまった後、呆然とたちすくんでしまう犯人の様子がなぜか心に残る。しかし、なぜ犯人は呆然としてしまうのか。ナイフや包丁で人を刺したら死ぬことは誰にもわかることです。しかし、犯人は自分のやってしまったことに驚き、茫然自失となってしまう。ドラマでは警察や探偵が犯行の動機を解明しようとします。痴情のもつれ、金銭トラブルなど、殺人が起こっ
2021年2月13日 22:30
ファッションほど性差を明確に表すものはない。レディース/メンズのバイナリーはファッションの前提になっている。2010年代の東京は男性のファッションが極度に中性化してゆくという方向に向かっていた。黒いスキニージーンズ・腰回りが隠れるような太ももまで丈のあるトップス・髪型はマッシュ。これは明らかにこれまでの「男らしさ」に対するアンチテーゼとして出てきたものだった。2010年代の男性のファッションは
2021年2月28日 22:40
2007年のピクサー映画『レミーのおいしいレストラン』には味覚が幼少期の記憶を呼び起こすシーンがある。ラタトゥイユを口に入れたとたん、幼い日の出来事や母親が作ってくれた料理の味、暖かな家庭の雰囲気が過去の記憶として呼び起こされる。記憶という言葉はさまざまな使い方がされる。多くは個人の過去の経験を現在に呼び起こす事を意味するが、大きな災害や事件など、社会全体が共有する非人称的な記憶も存在する。
2021年2月9日 19:51
現代を生きる人間にとっての苦しさの一つに「自己」についての苦しさがあります。自己をめぐっては「自己肯定」や「アイデンティティ」、「理想の自分」などさまざまな言葉が用いられますが、そのような悩みはそもそもなぜ存在するのでしょうか。このエッセイでは哲学から理由を説明し、考えられる解決策を提示してみようと思います。自分探しという言葉があります。旅などをして、さまざまな人との出会いから自己について
2021年2月26日 09:36
1994年、アメリカで『フレンズ』というTVシリーズがスタートした。『フレンズ』では、社会に出たけれど、どこか大人になりきれない20代〜30代の登場人物たちの生活や恋愛が中心に描かれていた。かつては、アメリカにも日本にも「大人」がいた。働き、結婚し、家庭を持ち、決して全てに満足しているわけではないが、それでもなんとか生きている大人たち。私が子供の頃にも、まだ大人は居たように記憶している。そ