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大切なことを伝える『〇〇歳からの……』

塾の先生をしていると、人に伝えることの難しさを実感します。特に、自分では分かっていることを、分からない相手に伝えるのはとても難しいことです。用語の一つひとつに注意しなければならず、独りよがりの説明では、相手には上手く伝わりません。
書店には「〇〇からの……」という、専門的なことを分かりやすく教えてくれる本がたくさんあります。要するに、難しいことでもその年齢の人にも分かりやすいようにかみ砕いて教えてくれる本です。特に、中学生や高校生向けに出している本は、その世代に伝えたい大切なことを、どう伝えれば良いか腐心して書かれており、良書が多いように思えます。
その中で、自分が読んでみた本を、いくつか紹介してみたいと思います。

『14歳からの哲学 考えるための教科書』 

 著者:池田晶子/トランスビュー

これは中学生のときに、社会の先生が授業中に紹介していた本です。哲学という学問があるということを知っておきなさいというニュアンスだったと思います。中学生に哲学という学問を紹介するというのは粋な計らいだったと思いますが、当時はそこまで深く読み解くことはなく、一読して終わってしまっていたと思います。ただ、あの本との出会いから、哲学や池田晶子さんの名前はずっと頭に残り続けることになった一冊です。

『13歳のハローワーク』 

 著者:村上龍  絵:はまのゆか/幻冬舎

これは私が中学生のときに出た本で、子どもに将来のことを考えさせる良いきっかけになると話題になった本です。気づいたら我が家にも置いてあり、親の戦略(?)にまんまとハマり、私も時間があるときにパラパラと眺めていました。好きなことや興味のあることから、それに関連した仕事を紹介しており、寝ているのが好きな人に対しての項目もあって衝撃を受けたことを覚えています。その後、村上龍さんの本をいくつか読みましたが、この本の出版は、小説の流れを汲む、若者への警鐘の一つだったのかもなと、あとから気づきました。

『14歳からの社会学:これからの社会を生きる君に』 
 著者:宮台真司/世界文化社

日本で最も高名な社会学者の一人である宮台真司さんが、若者のために書いた社会学の本です。著者の実体験を交えて、社会学を解きほぐしてくれるので、イメージを持って社会学の用語や概念について考えることができます。日常と社会学を結びつけることは、人生を理解するために大切なことであると気づかせてくれます。さまざまな現象から発せられるメッセージを、しっかりと受け取らなきゃダメなんですね。


『お父さんが教える 13歳からの金融入門』 
   著者:デヴィッド・ビアンキ/日本経済新聞出版 

現代の日本において、金融リテラシーは身につけるべき能力の一つになりました。この本は、知っておかなければいけない投資の知識を、中学生にも分かりやすく説明してくれています。日本教育でも高校生の家庭科で資産形成を学ぶ授業が導入されますが、お金の学習についての教育体制は整っていません。この本のような入門書から、お金にはどのような増やし方や使い方があるのかを知っておくのは、将来生きる上で大切なことであると言えます。


『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』 
 著者:末永幸歩/ダイヤモンド社

教育業界でもとても有名な一冊です。アート鑑賞から思考力をつける方法を教えてくれるます。現代アートという固定的なものの見方を壊す芸術作品の鑑賞を通して、今見ているものの見方を改めて考えることができます。この本を読んで私も、自分のものの見方はいかに凝り固まっているかを実感し、他人の価値観ではなく、自分の価値観で物事を考える大切さを思い知ることができました。自分のものの見方を深めることこそ、アートですね。

以上、簡単ですが、ご紹介してみました。
難しいことも、分かりやすく興味を持たせるよう工夫を凝らした入門書に触れることによって、必ずや物事を見る視野が広がると思います。
気になる方や中学生くらいのお子様をお持ちの方は、ぜひ手に取ってみてください。

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