【保存版】Push通知って何通まで送っていいの?
Reproでマーケティングコンサルタントをしている嶋と申します。
「Push通知って何通まで送っていいの?」
アプリマーケティングのご支援をする中で1番多く聞かれる質問です。
Reproで60社以上アプリマーケティングの支援をしてきた経験をもとに、今回はこの質問に対する正解をまとめていきます。
何をもって「送ってはいけない」とするか
定量的にPush配信への悪影響を確認できる指標が3つあります。
1. 既存ユーザーのPush許諾率の低下
Push許諾率が低下してくると、既にかなりのユーザーがストレスを抱えている状態です。
Push許諾率とは、「アクティブユーザーのうち、Push通知の許諾をしているアクティブユーザーがどれくらいいるか」という指標になります。
また、Push許諾は2種類存在します。
いずれかのPush許諾率で低下が続いたときは、ユーザーがPushによるストレスを感じています。
また、どちらのPush許諾も設定から操作が必要なため、Push許諾をOFFに切り替える手順自体がかなり面倒です。
この面倒な手順を調べてまでPush通知をOFFにしたいユーザーが多い、ということなのでかなり危機感を持った方が良い状況です。
2. 休眠ユーザーの増加
Pushによるストレスが蓄積していくと、休眠ユーザーの増加 = アプリのアンインストールが発生します。
CRMでは一定期間アプリ起動をしなかったユーザーを「休眠ユーザー」と呼びます。
(「一定期間」はサービスによって1週間~半年くらい異なるので、定量的に分析して決定します。このあたりもいつかnoteにしたい)
通常の利用サイクルの中で休眠が増えてくる時期もありますが、Push許諾率の低下とともに休眠ユーザーが増加している場合は要注意です。
3. 全体の開封率の低下
参考値として追っておきたい指標です。
Push通知によるストレスが増えてくると、Push許諾率の低下が起きる前に全体の開封率が低下してきます。
「なんだかよく分からないPushがたくさん送られてきて鬱陶しいな、、」という状態ですね。
但し、全体のPush開封率は配信するコンテンツ起因の影響も大きいので、あくまで参考値として見ておきましょう。
ここまで「送ってはいけない」=「アプリに悪影響が出ている状態」について紹介しましたが、いよいよ本題に答えていきます。
Push通知は何通まで送っていいのか
結論、「情報の重要性・有益性」と「配信対象の粒度」によって上限が決まります。
これまで60社以上のアプリで月間400~500本のPush通知を運用してきましたが、色付けした領域の上限数を超えてPush通知の配信を続けていると、Push許諾率の低下や休眠ユーザーの増加が起きやすいです。
実際のPush通知がどの領域と対応するのかイメージしやすいよう、ECアプリのPush通知を当てはめてみました。
最も悪影響が出やすいのは右下の赤い領域の内容を、1日に何度も(今まで見た1番多いものでは1日5回も!)送ってしまうことです。
そして、意外と見落とされがちなのがオレンジの領域の内容です。
ユーザーの行動・属性をもとにセグメントした内容や、情報の重要性・有益性が中程度の内容が該当します。
この領域は「シナリオを増やしていった結果、気付かず多くなってしまっていた」ということがあるので、定期的に見直しをするのがおすすめです。
最後に、情報の重要性・有益性が「高」の内容に関しては、必要に応じて配信して問題ないです。
この領域のPush通知は基本的に何度も届いても「むしろ教えてくれて良かった!」と感じる内容が該当します。
では、実際どんな内容のPush通知が「高」に該当するのか、業界・業種ごとに紹介していきます。
配信数の業界・業種ごとの傾向
業界・業種によって、情報の重要性・有益性が「高」の内容が多くなりやすく、結果的にPush配信数に傾向が出てきます。
実際にいくつかのサービスで「高」に該当するPush通知を見ていきましょう。
情報の重要性・有益性が「高」のPush通知例
最後の仮想通貨アプリの通知は自分の資産に関わるので何回送られてきても良いですよね笑
このように「高」に該当するPush通知は基本的にストレスが無く、(むしろ送ってもらってありがたいものも多い)必要に応じて配信数を決定して構いません。
むしろ、配信数が多くなりやすい業界・業種のアプリに関しては、「高」に該当するシナリオが網羅的に配信できているかが重要になってきます。
アプリ事業者が見ておくべきデータ
上側で紹介した「Push許諾率」「休眠ユーザー数」「全体の開封率」に加えて、もう一つ見ておくべきデータが「1ユーザーあたりPush配信数の分布」です。
このデータを見る目的は「実際の配信数が設計した肌感通りになっているか」を確認するためです。
設計または設定ミスによって、想定していない数のPush通知がユーザーに送られてしまうこともあるので、ユーザーあたり配信数をモニタリングできるようにしておくのがおすすめです。
おまけ:Push通知の悪影響を抑えるUI/UX設計
ここまでは事業者側でPush通知の配信数をコントロールする重要性についてお話してきましたが、ユーザー側でPush配信数がコントロールができるよう考慮されているアプリも増えてきています。
事業者とユーザーの価値観がすべて合致することはありえないので、ユーザー主導でコントロール可能なUI/UXの導入も検討してみましょう。
より長く(ストレスなく)サービスを使い続けてもらうきっかけになるかもしれません。
最後に
Push通知の配信数は「情報の重要性・有益性」と「配信対象の粒度」によって上限が決まります。
Push運用にあたり、アプリ事業者が見ておくべきデータは下記の4つです。
今回はこれまでの経験を抽象化してご紹介しましたが、サービスによってどんな内容・配信数の設計がベストかは変わってきます。
ご自身の担当されている(支援されている)アプリに落とし込んで、ベストなPush通知の配信設計を探してみてください。
今後もデジタルマーケティングに関するコンテンツを発信していく予定です!
モチベーションに繋がるので少しでも良い部分があれば「スキ」で反応してもらえると嬉しいです。とても喜びます。
X運用も11カ月目に入り、細かいTipsなどを日々発信しています。
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2025/01/22 追記
なんと、元United Arrows CMOのふじはらさんからリアクションをいただきました!
ふじはらさんの仰る通り、今回まとめた内容は定常的な配信について抽象化した内容なので、瞬間的に配信が必要な場面ではこの限りではないです。
重要なのはサービスの売上を伸ばすことなので、多少強引でもキャンペーンの訴求を強めたり、売りたい商品を押し出す場面は出てきます。
普段から押し出しが強いと瞬間的な配信の効果も薄れてしまうので、必要な場面で泥臭く戦うためにも、定常的な配信は綺麗に整理しておきましょう。