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『ウェルギリウスの死/ヘルマン・ブロッホ』“Der Tod des Vergil/Hermann Broch”(2019年特に印象に残った本④)【1439字】
1)第Ⅰ部 水ー到着 運命の道のかたちづくる円環は無の深淵を囲繞している。我々は皆、神の被造物であり、借り物の名で生きる仮初めの存在である。 人間の行動、性質全て神に授けられたものであり、与えられたものを消化して死ぬだけの存在だ。 生まれ死ぬ人生の円環、その中心にある無の深淵の中に、人は何かを見出すことができるのだろうか────。 2)第Ⅱ部 火ー下降 渦巻きめぐる問いはいつも地上の存在のうちにのみ、その終着点を見いだす。 一切の認識と行為と存在を包括して奇