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魔法のミネラル亜鉛など40種の栄養素を含んだ整腸剤:エビオスの解説


第3回ドラッグストア調査

先日、ドラッグストア(以下DS)に行く機会があったので、ついでに「整腸剤」の品揃えを調査しようと全国チェーンのDS2店舗A店B店を巡回しました。

ミヤリサンやヤクルトBLは店頭にないことが多いと聞いていたので、最初に巡回したA店で見つけたときは「あるじゃん」と思いましたがB店にはなく、またぽっこり整腸やガスピタンはB店にはあったのにA店にはないなど各店舗まちまちでした。

そんな中、テレビCM等で知名度があるビオフェルミンやビオスリーは両店舗にあり、さすがといったところでした。

しかし、これは私が「事前に」各商品の成分や特徴を調べたからわかったことであり、例えば「血管」や「肥満」など何の予備知識もない薬を並べられたところで何を選べば良いのかわかりません。説明文すら理解できません。そういうときのために登録販売者がいるのですが、

登録販売者に何を聞く?


予備知識がなければ商品CとDの薬の違いはわかりません。だから登録販売者泣かせの次のような質問になります。

CとDの薬はどちらが効きますか?


薬の効き方は人によって異なるので答えようがありません。Cを勧めてCが効かなければ後々クレームになることもあるのでやっかいです。これは登録販売者の「接客技術」にも通じますが、少ない情報で最善の薬を提供するのは薬剤師でも困難です。

登録販売者は薬の知識と合わせてさらなる接客技術の向上を目指して、お客さんは自分が求める薬や症状の予備知識を少しでいいから調べておくことで、双方のすれ違いは少なくなりお互いが最善の薬を販売、購入することでウインウインでニコニコで、ハッピーな関係になれるのではないか。

などと、エビオス整腸薬の成分表を見ながら考えていました。


エビオスの栄養素は40種

整腸剤は乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌のみを成分とするものだけでなく、それに加えて消泡剤のジメチルポリシロキサンや健胃成分や制酸成分など「胃」の働きを改善する成分など多岐に渡ります。

その中でも私が注目したのは、これまで見たこともないほど多くの栄養素が入った「エビオス整腸薬」です。多くの栄養素とは3種類の整腸作用の乳酸菌に加えた次の栄養素です。

・9種類のビタミン
・9種類のミネラル
・18種類のアミノ酸
・その他食物繊維など栄養成分の合計だけで2025mg


これはすごいと、解説するに至りました。40種すべてはさすがに解説できないので、その中から私が注目したミネラル「亜鉛」の6つの働きについて解説します。


亜鉛は味覚障害を改善する

現在のコロナの症状は「のどの痛み」が多いようですが、コロナが流行した最初のころは「味がしない」などの味覚障害を訴える人が多かったように記憶しています。

そして最近耳にしたのが「水が甘い」という味覚障害。水に味はありません。それなのに水が甘く感じるのは、舌の「味細胞」が正常に機能していないということです。

亜鉛は味覚障害を改善する作用があります


実際にコロナ患者も、水が甘いといっていた人たちも亜鉛を摂取することで「治った!」との報告もあります。では、なぜ亜鉛は味覚障害を改善するのでしょうか。

亜鉛は細胞分裂を促して味細胞の新陳代謝を助けます

舌にある味を感じる「味細胞」は20日前後で新しい細胞と入れ替わりますが、亜鉛が不足すると新陳代謝が起こらずに古い細胞が残ります。その結果、味を感じないなどの味覚障害が起こります。

亜鉛の主な働きは次の2つです。

・タンパク質の合成
・細胞分裂を促して新しい細胞を産生する

亜鉛は新陳代謝が短期間に行われる舌のような組織に欠かせません。では実際に身体のどこで新陳代謝が行われ、亜鉛が使われているのか。亜鉛の働きを解説します。

亜鉛の美肌効果

1.コラーゲンの合成補助
コラーゲンといえば「肌」を連想しますが、コラーゲンは人の身体のタンパク質の30%を占めていて、肌だけでなく骨や血管にも使われています。

人の皮膚は上から表皮、真皮、皮下組織と3層に分かれていて、コラーゲンが最も多いのは真ん中の真皮で、その70%をコラーゲンが占めて表皮を下から支えて肌の張りや弾力を保っています。コラーゲンは年齢とともに劣化していき、劣化すると「たるみ」や「しわ」になるため栄養の補給が必要になります。

コラーゲンの栄養素はアミノ酸とビタミンC、鉄分によって合成されますが、タンパク質の合成には「亜鉛」が働くので、亜鉛があることで劣化を予防することができます。


2.肌のターンオーバー
肌の新陳代謝を「ターンオーバー」といいますが、肌の細胞は味細胞と同程度の1ヶ月程度で入れ替わります。

真皮の上にある表皮は4層に分かれていて最も真皮寄り、つまり表皮の一番下の層に「基底層」がありますが、そこで新しい細胞が生まれてどんどん上に押し上げられていき、最終的に垢となって皮膚から剥がれ落ちるのがターンオーバーの一連の流れです。

真皮の細胞と表皮の細胞は同じタンパク質でも少し異なっていて、表皮の細胞はケラチノサイトと呼ばれて合成過程もコラーゲンとは異なります。しかし肌はタンパク質、そして新陳代謝が活発に行われる組織なので、新陳代謝があるところに亜鉛は必要です。

肌をいつまでも若々しく、健康を維持するためには年齢が上がるにつれて肌のメンテナンス、つまり栄養補給は欠かせません。肌の栄養はタンパク質がメインで、ビタミンCと鉄分、そして亜鉛が必要だというのが現時点での私の理解です。


亜鉛は抜け毛を防いで薄毛を予防する

1.亜鉛は抜け毛を防ぐ
髪の毛はタンパク質が体内で分解されてアミノ酸に変わり、アミノ酸が再合成して「ケラチン」というタンパク質になります。

このアミノ酸の再結合を促すのが亜鉛です


髪の根元には「毛母細胞」があり、毛母細胞で活発な細胞分裂が行われて新しい細胞、つまりケラチンが産毛の状態で生えてきます。亜鉛が不足すれば細胞分裂は低下してケラチン産生に影響するので、髪の毛にとって亜鉛は欠かせません。


2.シャンプーの洗い方を見直す
健康な人でも毎日100本前後の髪が抜けるといいます。それでも薄毛にならないのは、同じ数の髪が生えてきているからです。

抜け毛が目立つのはシャンプー後の排水溝と起床後の枕ですが、それを確認すると現実という名の「絶望の淵」へ叩き落されます。それがストレスになり、ますます抜け毛が加速します。

ストレスは交感神経が優位になって血管を収縮させます

しかし、絶望の淵にも光は射し込みます。やるべきことをやれば抜け毛は防げます。

やるか、やらないか、その違いが今後の抜け毛に影響します


2-1.シャンプ液ーを直にかけない
シャンプーは直に頭皮にかけるのでなく、一度手のひらにすくって手のひらで泡立てます。泡立ってきたら、指の腹で頭皮をやさしく「小刻み」に適度な刺激を与えます。

シャワーの温度と頭皮マッサージによって血管は拡張して、髪に栄養が届くようになります


2-2.頭皮を爪でかかない
頭皮がかゆいと、どうしても爪を立ててかきたくなりますが、爪を立てると頭皮が傷つき髪が生えにくくなります。

かゆみはそれがなくなるまで指の腹で小刻みに刺激を与え続けるのが有効ですが、それでもかゆみが治まらなければ先の丸い「ブラシ」で代替します。


2-3.少し長めに頭皮にシャワーを当てる
髪を洗い終えたらシャワーを少し長めに頭皮に当てて刺激を与えます。シャワーの水圧はそこそこ強いので頭皮の刺激には十分です。

血行を良くするには頭皮へのマッサージが重要です。頭皮をマッサージすることで血管が拡張して髪に栄養がいくようになり、同時に毛母細胞の細胞分裂にも寄与します。


3.亜鉛は抜け毛を防止する
肌にとって皮脂はバリア機能です。外からの紫外線や異物の侵入防御、体内からの水分蒸発を防ぎます。しかし皮脂が過剰に分泌されると肌にはテカリが、頭皮には毛根に皮脂がたまって育毛が阻害されます。

この頭皮への過剰な皮脂が薄毛の原因だと思われてきましたが、実はそうではなかった。

5aリダクターゼという酵素が薄毛の原因です

男性ホルモンテストステロンとこの酵素が結合することで、脱毛ホルモンDHTが合成されます。

髪の寿命は男性で5年前後といわれていますが、このDHTが合成されると髪が太くなる前に抜け落ちてしまいます。しかもやっかいなことに頭皮にある5aリダクターゼは脱毛を、それ以外のひげやすね毛などは発毛を促進します。

亜鉛は5aリダクターゼの働きを阻害する作用があります


実際に亜鉛を摂取したことで抜け毛が減ったという報告がありますが、これは亜鉛が5aリダクターゼの働きを抑制したからと考えられます。

抜け毛が増えるのは加齢だけではありません。やるべきことを調べ、理解して、実行すれば抜け毛は防止できます。あきらめるのはまだ早いです。

亜鉛は精力を増強する

亜鉛が最も高く存在する臓器は膀胱の下にある「前立腺」です。。前立腺の主な働きは「生殖機能」です。生殖機能とは、女性を妊娠させる機能で次の3つが挙げられます。

・性欲
・勃起
・精子


亜鉛は男性ホルモンに作用してこう丸(精巣)に働いて精子を増産します。また、前立腺にある亜鉛が活力を与えて精子の運動を活性化します。

不妊治療の報道でいつも出てくるのは女性ですが、男性にも原因はあります。映画で見た範囲なので真偽はわかりませんが、そこには子供がほしい(義母にせかされている)夫婦が受診して問診をしたあと、男性が個室に案内されて精子を採るシーンがありました。

精子の数が少ない、元気がなければ受精する確率は下がるので、精子の数や動きを調べる検査だと推定できます。

亜鉛は精子の数を増やします

精子もタンパク質の合成なので、亜鉛が大きく関与しています。私が亜鉛に注目しているのは精子の数が増えることによる「メンタル面」です。

精子を体外に出す、つまり射精するには勃起が必要であり、勃起をさせるのは脳が指令する「メンタル」です。

私は朝日を意識的に浴びるようになってメンタルは安定しましたが、ただ日が暮れる17時過ぎは一気に身体が、というよりも脳が動かなくなります。

日中は全力で走りぬけることを意識しているので夜は心身ともに息切れ状態ですが、もう少し活動時間を増やしたいと思っていたところに「亜鉛」と出会いました。抜け毛も予防できて精力も増強すれば、私には願ったり叶ったりです。


亜鉛はセロトニンの材料で精神を安定させる

セロトニンは朝日を浴びることで分泌されて、日中の活動に必要な「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」など神経伝達物質の調整を行います。

セロトニンがうまく調整することで、ノルアドレナリンの行き過ぎた「イライラ」やドーパミン不足による「無関心」を整えて精神を安定させます。

しかし、朝日を浴びてもセロトニンの材料がなければセロトニンは作れません。以下、セロトニンの合成過程と主な材料です。

1.トリプトファン(アミノ酸)と鉄、葉酸、ナイアシン、ビタミンDが合成されて「5HTP」(セロトニンの前駆体)になる

2.5HTPとビタミンC、ビタミンB6、亜鉛が合成されてセロトニンになる

3セロトニンとマグネシウム、亜鉛が合成されてメラトニンになる


セロトニン不足は抑うつを発症するとの報告があり、また日本の企業2000名を対象に調査したところ鉄、銅、亜鉛などのミネラルを日頃から摂取している人は摂取していない人に比べて抑うつ症状が少ない報告もあります。精神を安定させるためにミネラルは欠かせません。


亜鉛は免疫力を向上させる

私たちの身体にウイルスや細菌などの異物が侵入すると好中球やマクロファージ、NK細胞という免疫細胞がかけつけて異物を攻撃、排除します。これが自然免疫です。

一方で自然免疫が排除できなかった異物は、マクロファージがヘルパーT細胞などに情報を渡して抗体を作ります。これが獲得免疫です。亜鉛はこの自然免疫と獲得免疫の両方の免疫細胞に関わっています。

1.亜鉛は間接的にNK細胞を増殖、活性化する
NK(ナチュラルキラー)細胞は自然免疫の一つで、全身をパトロールしながらがん細胞やウイルスに感染した細胞などを見つけ次第攻撃します。

ウイルスに感染した細胞は、自身が感染したと周囲に警告して新たな細胞を分泌します。これが「インターフェロンα(以下IFN)」で、このIFNの合成に亜鉛が関わっています。IFNが合成されると、NK細胞は増殖、活性化して免疫力が向上します。


2.亜鉛は獲得免疫を調整します
獲得免疫の一つ「B細胞」は、異物の情報を記憶して抗体を作る働きをします。亜鉛はこのB細胞が、異物を認識する情報伝達や抗体の産生を調節する働きがあります。

亜鉛の主な働きは「タンパク質の合成」と「新陳代謝の促進」です。この2つの働きはすでに解説しましたが、身体は70%の水分を除けばほとんどがタンパク質です。皮膚や髪、爪など目に見える部分だけでなく臓器や精子、免疫細胞もタンパク質が合成して作られています。

タンパク質そのものを摂取することはもちろん重要ですが、それを補助する亜鉛や鉄、ビタミンもタンパク質の合成に関わっています。しかしタンパク質やビタミン、ミネラルを摂取しても腸内環境が乱れていては、うまく消化吸収されずに排出されてしまいます。

ちなみに亜鉛は摂取しても30%の吸収率だといわれているので、良好な腸内環境が欠かせません。良好な腸内環境に改善、維持をするのが悪玉菌の増殖を抑制する「整腸剤」です。


エビオス整腸薬の成分その他詳細情報



成分
本剤は18錠(15歳以上の1日量)中に次の成分を含んでいます。

・ビフィズス菌40mg:大腸に常在して乳酸と酢酸を作り整腸作用を高めます
・フェカリス菌(乳酸菌)40mg:小腸に常在して他の乳酸菌や免疫細胞を活性化します
・アシドフィルス菌(乳酸菌)40mg:小腸に常在して熱や酸に強く、生きたまま腸に届いて乳酸を作ります
・乾燥酵母2025mg:9種類のビタミン、9種類のミネラル、18種類のアミノ酸、食物繊維を含みます。
乾燥酵母は乳酸菌の増殖に必要な栄養成分(ビタミンB群、アミノ酸、核酸、食物繊維等)を含み、乳酸菌の発育促進により整腸作用を発揮します。
・チアミン硝化物(硝酸チアミン)1.125mg
・リボフラビン(ビタミンB2)2.25mg


用法用量
下記の分量を1日3回、食後に服用してください。

・15歳以上1回6錠
・11歳以上15歳未満1回4錠
・8歳以上11歳未満1回3錠
・5歳以上8歳未満1回2錠

エビオス整腸薬の欠点

1.1回6錠、1日18錠と服用量が多い
エビオス整腸薬の服用量1回6錠は、通常の整腸剤の1日服用量に該当します。しかも、乾燥酵母が2025mgなので錠剤の大きさも小さくないと推定されます(メーカーHPに錠剤の大きさは表記されていません)。また、乾燥酵母はビール製造時に使うビール酵母を乾燥したものなので、味や臭いからビールを感じることが多いようです(もちろんアルコールは入っていません)。

このことから、慣れるまで抵抗があるかもしれません

エビオスに慣れるまで最初は1回3錠でも4錠でも負担にならない程度で様子をみて、一瓶飲み切った後で効果の判定をしましょう。


2.乾燥酵母がエビオス錠の3割にも満たない
エビオス整腸薬の乾燥酵母は2025mgですが、同じ乾燥酵母を成分とする「エビオス錠」は7125mgで、3割以下の含有量です。

エビオス錠の1日当たりの亜鉛摂取量をみると0.43mgで国が推奨する亜鉛摂取量は男性が11mg、女性が8mgとエビオス錠でも到底及ばないのに、エビオス整腸薬ではそれをさらに下回ることが推定されます。では飲まないほうがいいのか、といえばそう判断するには早すぎます。

薬は飲んでみなければ効果はわからない

亜鉛摂取量0.43mgでもやる気がみなぎった、抜け毛が減ったなどの報告は多数あります。一方でこれはエビオスにかぎりませんが、便秘解消と謳っているのに便秘になったという整腸剤もあります。

薬が効く、効かないは体質が影響します


整腸剤でいえば、腸内環境は人の顔や指紋と同じように一人ひとり違います。エビオス整腸薬を飲んでお腹の調子が改善される人がいれば、効果が出ない人もいるでしょう。それは飲んでみなければわかりません。

整腸剤は副作用がほとんどなく、加えてエビオス整腸薬は栄養成分が豊富なのでメリットのほうが大きいように感じます。

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