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「男の浮気」の捉え方 2014年3月14日

 自称「憧れる女」神垣です。

 もう、90歳だったとは・・・


 こういうふうに
 歳をとっていきたい!
 と、お手本のように思っている人がいます。

 寂聴先生も
 林真理子もいいけれど
 やっぱり、わたしは
 彼女のような人が好き。

 作家の佐藤愛子さんです。

 彼女の小説はあまり読んだことがないくせに
 エッセイが好きで、折に触れ読んできましたが

 自分も年をとるほどに
 いちいち響く「愛子節」。

 文壇の武闘派といってもおかしくない
 活字で戦う女。

 なんというか
 明快で痛快なんです。

 今回ご紹介する文庫
 「女の背ぼね」の帯には

 「男の浮気を防止しようと思う時から
  女の不幸は始まる」

 とデカデカとゴシック体の文字が踊っていて
 即買いしてしまいました。

 本書は次の6章からなります。

 1章 幸福についての<女の背ぼね>40~70代
 苦労は必ずしも不幸ではない

 2章 私好みの<女の背ぼね>50~70代
 適当に賢く、適当にヌケている

 3章 夫婦関係の<女の背ぼね>40~60代
 慢性の病気を克服していくように

 4章 親としての<女の背ぼね>40~60代
 女とは母は強くあれ

 5章 男性に対する<女の背ぼね>50~60代
 これが男というもの

 6章 老いを生きる<女の背ぼね>50~70代
 いつ死んでも未練はない

 ご覧の通り、対象とする年代が
 熟年世代。
 若い人にはちょっとピンとこないかも。


 5章にある
 「男の浮気」に対する彼女の見解はこうです。

       だが一つだけ私が明瞭にしておきたいことは、
  人間の本性の中には(男女を問わず)浮気への欲望があり、
  それを否定することは出来ないということである。

  私たち女はまず、そのことをハッキリと認識して、
  浮気を大問題と考えないように訓練することが
  必要なのではないかと思う

「女の背ぼね」5章 男性に対する<女の背ぼね>50~60代 これが男というもの

   わたしが、この愛子節にしびれるのは
 浮気くらいでギャーギャーと騒がず
 泰然としていなさい。
 人生にはまだまだ乗り越えるべき局面がある
 というメッセージを感じるから。

 4人の異母兄
 (その一人は、童謡 「うれしいひなまつり」を作詞した
  詩人のサトウハチロー)の4人がそろって不良少年で
 子どもの頃から
 「面白いが困った」男たちを見つめ

 破産した夫を
 少女小説を書いて養ってきた
 人だからこそ、言える言葉だと思うのです。

 つまり、
 男の弱さ、だらしなさ
 情けなさを存分に知っているからこそ
 浮気くらいでは動じないのではないか、と。

 かといって
 ガンガン浮気されても困りますけど
 男を責める前に、女の受け止め方を
 愛子先生から学んだ気がします。

 珠玉の一文はほかにもあります。

  結婚生活で大切なことは、
  太陽のように彼方に掲げた輝く理想に向かって、(中略)
  ひたすら猛進することではなく、

  夫婦が互いに均衡をとりながら、
  ある時は妥協し、ある時は方向を変え、
  丁度、慢性の病気を克服していくように、
  少しずつ理想の足もとを踏み固めていくことだと思う

 あ~、心からそう思います。
 大事なのは「均衡」!


 そんな男と女の話以外に
 「書くこと」でより深く人を理解できるようになった話など
 共感できる内容もあり、感じ入ることが多くありました。


 タイトル通り、まさに背ぼねがピシッと伸びる愛子劇場
 ぜひ、文庫でお楽しみください。

佐藤 愛子 著「女の背ぼね 」

(VOL.2142 2014年3月14日 配信 メールマガジン あとがきより)


 
 

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