【読了記】辞書には載らなかった 不採用語辞典
近所の古本屋で350円だったこの本。
買おうと思ったのは母が多用していた「かちびる」という言葉が載っていたからだ。
かちびるとはもともと水気の多いものの水分が抜けて固くなった状態を示す言葉だ。
四国、関西の一部で使われているらしい。(他も数か所)母が良く使っていたが夫は知らないと言っていた。(夫は関西大学出身の北九州っ子である)
関西でよく使われているなら耳にする機会もあっただろうが、知らずにいて私と結婚後に母から聞いて知ったので、「かちびるってなんやねん」と突っ込んでいた。
ニュアンスで使う言葉もこうやって辞書に載せようとした人がいる、と思うと感慨深い。辞書に載せるためには色々条件があるらしく「常用する人が多いが意味が分かりづらい言葉」というものが最も大事な条件らしい。
ちなみに私はこの本を買って一番良かったのは、かねてから気になっていた
「小並感」という言葉の意味を知ることが出来たからである。
小学生並みの感想という言葉の一部を抜粋して、小並感!なるほどである。
私はこの言葉の意味を知るまでは、Twitterを見ていても
「自分が小さい(自己卑下)している人の感想で、私なんて……という意味を込めて言ってる言葉」だと思っていた。
全然ニュアンス違うわ!
しかし小並感がこれに載っているという事は、辞書にはまだ載らない言葉なんだろうけどこのまま常用化されたらいつかは載るのかもしれないなどと思ったりした。
辞書を作る人は普段から言葉にアンテナを巡らせている。
ちょっと言葉にうるさい人、と言うレベルではない。
そして引っかかった言葉や用例(普段使われない用法で使われている例。例えばヤバいの意味が、悪→良に変わったりだとか)を徹底して調べる。
なんなら明治の文豪などを引き合いに出して調べてくる。
その言葉にかける情熱たるや、素晴らしいと感服する。
他人の誤用に目くじらを立てる人も多いが(私だってそうだ)、言葉の意味は変わっていくものである。人間がそのように出来ているのだから仕方ないことなのだ。
ならばいちいち目くじら立てるのではなく、言葉の流れを追いつつセンスを磨いてく方が私には合っているなと感じた。
そう言う意味でも収穫のあった一冊だ。