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#4 【20代の生き方で人生の9割決まる】

視点を変えてみると・・・

本書の題名「20代の生き方で人生の9割決まる!」。なかなか刺激的なタイトルであり、ザ・自己啓発書!の王道を行っている。ぶっちゃけると私はこの手の本があまり好きではない、というより苦手である。

これは個人的な性格に由来するのだが、このような本は大体が押し付けがましいほどの持論を延々と語るような構成がどうにも肌に合わないのだ。

実際この本はまさにこの苦手な要素のオンパレード。もう凄すぎて笑っちゃうくらいである。ただ、苦手なことには変わりないが、たまにこういった苦手な本を読むのは嫌いじゃない。むしろ好きな部類である。嫌いなものからしか得られない栄養もあると思ってる。

さて、本題であるこの本の書評にもどそう。

結論、この本に書かれている個別の内容に関しては正直個人の好みによって受け入れられるかどうかの側面がかなり強い。この本はとにかく「経済的な成功を得ること」を至上命題としていて、そのためには全てを犠牲にすることすら厭わない。経済的成功をそこまで重視しない人にとっては「何いってんだこの人は?」となってしまうだろう。

少し内容を紹介すると、「20代のうちは遊ぶのはNG」とか「睡眠はマックス5時間」とかめちゃくちゃなことを当然かのように言っているのだ。

私もこの本の個別具体的な意見に関してはほとんど賛同できない。しかし、ちょっと視点を変えてみると実はすごく重要なことを言っていることに気がついた。

個別を貫く軸

この本は合計80の小さなアドバイスを一つ一つ紹介する形式で書かれているのだが、その全てを貫く軸が非常に明確なのがこの本の大切なポイントである。

本書の場合、それは「経済的な成功」である。とにかくお金を稼ぐためという一つの目的に対してどう進んでいくのかというその一点に集中している。

これが重要なのだ。つまり、80の個別要素を「経済的な成功」という明確かつ単純な軸を通すことで、個別の要素に明確な理由が生まれ、論理が通るようになるのだ。

ここが一般的な自己啓発書と違う部分だ。とりあえず自分が大切だと思った要素を何の脈絡もなく羅列しているのではない。常に「経済的な成功」を軸としながら自らの行動を選択している。

この論理性は大いに参考に値する。人はわかっていてもそれを行動に移すのは苦手な人間だ。そこでいかに自分の行動ロジックを明確にできるか、それが実際に行動できるか否かの大きなポイントになる。

このロジックが明確になれば、自らの資源をどう配分すればいいのかも自ずと見えてくる。時間はどう使えばいいのか、仕事はどう行えばいいか、趣味は、彼女は・・・・。ロジックがあることで行動に自信を持つこともできるようになるだろう。

また、これは誰でも自分なりにアレンジできるのも大切なポイントだ。「経済的な成功」の部分を「幸せな家庭」にしてもいいし、「文化的な成功」とか「精神的ゆとりを持つ」とかでもいいだろう。

この軸を決めて、常に自分の行動がこの軸に合っているかどうかを見極めれば自然と自分にとっていい決断と行動ができるようになるはずである。

欲望は、大切。

日本人はあまり「欲」を持つことに対していい印象を持たない。欲が強いというと自分勝手で他人を蹴落としてでも自分の欲求を満たしたというイメージになる。

しかし、よくよく考えれば人間というのは欲望をエンジンにして生きていると言って良い。実際私がこうして書評を書いているのは書くのが好き、書くことを欲しているからであるし、読書にしても読むことを欲しているからだ。

本書を読んでいると「もうちょい欲に素直になって生きてみようぜ!」と思わせてくれる。筆者が純度100%の金銭欲をバシバシ伝えてくることで、ああこんな人もいるのなら自分ももっと欲してみよう、そのためになんかやってみようとポジティブな気持ちにさせてくれる。

まさに「自己啓発」と言ってしまえば、その通りであるが、そこは程度の問題だ。それをどの程度自分ごととして受け取るかは読む人に決めてもらいたい。

鵜呑みにはしていけない

私は確かにこの本から得たものがある。それは先ほどまでに紹介した通りだ。しかし、この手の本には罠がある。

それは本に書いてあることをそのままパクろうとしてしまうことだ。人にはそれぞれ色々な癖だったり、得意不得意がある。個別の特性があるにも関わらず本に書いてあることをそのまま自分に当てはめようとしてしまうと、そもそも自分の型に合わずうまくいくわけない。

あくまでその本で紹介されている内容というのは、その本の著者が成功するときにうまく行った方法であることを割り切って、「あーこんな考えもあるんだな」程度に思っておくことが大切だと思う。それをしっかりと認識していないと何冊読んで何冊実行してもうまくいかない。

常に自分にとってその方法が合うのか合わないのかの実験・検証を繰り返すことによって、初めて自分オリジナルの成功の型というのが生まれてくる。そのプロセス自体はそう簡単なものではないと思うが、そのプロセスすらも楽しんでいくことができれば、それは自分にとって有意義なものになるのではないだろうか。

自分の大切なことは?

本書の総括としては、「自分にとっての大切なことを把握する」というのが最も妥当だろう。筆者の場合、それがたまたま「お金」だった。

そしてそれに向けて一直線に突き進んでいくことで実際に成功することができた(筆者は港区のタワマン最上階、愛車はマセラティという、いかにもな港区民である笑)。

結局、筆者は自分が大切なことを大切にできたのだ。それこそが何よりの成功の原因だと思う。自分が求めた幸せを得るためには、まずは自分が何が大切なのかを知らないと何もできない。

今これを読んでいてそもそも自分は何が大切なのかがわからない人はまずはそこから考えてみよう。かくいう私もまだそれがわかっていないので、これからじっくりと探していくつもりだ。

「大切なものを大切に」というごく基本的なことを再認識させてくれたこの本との出会いも、今となってはよかったのかもしれない。


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