マガジンのカバー画像

長編小説「アンブローシア・レシピ」

30
*創作大賞2024応募作品*18世紀、フランスに拠点を置いていた錬金術師集団『オルダス・マイン』が作り出した不老不死の霊薬『アンブローシア』。フランスで王政が倒れたのち、『オルダ…
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

「アンブローシア・レシピ」第16話

1914年10月5日(1) ロンドン ロンドンの下町の月曜日は、朝からやたらと騒々しい。…

紫藤市
5か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第17話

1914年10月5日(2) ロンドン 診療所の外来が始まると、途端に一階が賑やかになる。…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第18話

1914年10月5日(3) ロンドン キャスパーは、先に行ったミリセントとバートランドが…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第19話

1914年10月5日(4) ロンドン 夕方、ミリセントは洗濯物を取り込んで畳み、それぞれ…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第20話

1914年10月5日(5) ロンドン 17時からプリースト診療所の前でキャスパーを待ち伏…

紫藤市
5か月前
7

「アンブローシア・レシピ」第21話

1900年10月18日 ヨハネスブルグ ヨハネスブルグからケープタウン行きの列車に乗り込…

紫藤市
5か月前
7

「アンブローシア・レシピ」第22話

1912年4月15日 ロンドン 今朝の新聞では、サウサンプトンを一昨日出航してニューヨークへ向かっていた豪華客船タイタニック号沈没の記事が大きく取り上げられていた。  フリート街を歩く人々が手にしている新聞のどれも、一面はタイタニック号の写真が大きく掲載されている。  空は晴れており、穏やかな天候だ。  水曜日は降り注ぐ陽射しを恨めしげに見上げ、かぶっていた帽子のつばを指で引いた。  一昨日は習慣となっているウェストミンスター寺院の礼拝へ行ったが、目的の人物は見当たらなかった

「アンブローシア・レシピ」第23話

1914年10月6日(1) ロンドン 火曜日の午前中は、プリースト診療所の一週間で一番患…

紫藤市
5か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第24話

1914年10月6日(2) ロンドン 二階の食堂へジョン・スミスを通すと、ミリセントは客…

紫藤市
5か月前
9

「アンブローシア・レシピ」第25話

1914年10月6日(3) ポーツマス ポーツマスにある『灰の円環』支部に出向いていたア…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第26話

1914年10月6日(4) ロンドン 診療所の午前の診療時間が終わるのに合わせて昼食を用…

紫藤市
5か月前
8

「アンブローシア・レシピ」第27話

1914年10月6日(5) ロンドン オニールはなんとか危機を脱し、最後にプリーストとバ…

紫藤市
5か月前
10

「アンブローシア・レシピ」第28話(終)

1914年10月6日(6) ロンドン「あ……れ……を」  ジェーンは首が動かないのか目だ…

紫藤市
5か月前
10

「アンブローシア・レシピ」閑話

1901年3月9日 ロンドン「わたし、きょうから5さいなの」  ミリセント・グレイが胸を張って自分の誕生日を申告した。 「だから、きのうよりおねえさんなのよ」 「なるほど」  神妙な顔でダニエル・プリーストは頷く。 「あ! 今日はミリィの誕生日だったか!」  部屋の壁にかかっているカレンダーを確認したウェイン・グレイが青ざめて頭を抱える様を、プリーストは珍妙な物を見るような目つきで眺めた。  かつて彼が『師匠』と呼んでいた男は、こんな風に誰かの誕生日を気にする性格ではなかった