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パリの地下墓地でヤギ男と追いかけっこ!?さくっと迷宮探索を味わいたいならこれ!「カタコンベ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(650日目)

「カタコンベ」(2007)
トム•コーカー監督
デヴィッド•エリオット監督

◆あらすじ
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内気な性格のヴィクトリアは、ソルボンヌ大学に留学中の姉に誘われてパリを訪れる。彼女は姉に連れられ、700万体もの遺骨が眠っているという地下墓地で開かれるアンダーグラウンド・パーティーに参加することに。しかし、パーティーの途中でひとり会場の外へ迷い込んでしまい……。(映画.comより引用)
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『迷宮と化したパリの地下墓地(カタコンベ)内で迷子になり、暗闇の中で何者かに追われ続ける恐怖』を描いたサスペンス•スリラー映画です。

詳しくは後述しますが導入が王道、悪く言えばベタ過ぎて、中盤もやや中弛みしているように感じました。しかし、物語が始まって早々の主人公の意味深なモノローグがラストでしっかりと回収される締めくくり方は秀逸で、個人的にはそこで評価がぐんと上がりました。各映画サイト等を見るとあまり評判は芳しくありませんが、そこまでヒドいとは思いませんでした。

地下墓地(カタコンベ)繋がりだと少し前に視聴した「地下に潜む怪人」(’14)の方が個人的にはクオリティも高く、作り込まれているように感じました。ですが、こちらに関しては全編通して錬金術、神話、宗教に関するワードが飛び交い、さらにはダンテの叙事詩「神曲」という聞き馴染みのないものばかりをテーマにしているため、少々取っ付きにくさもありました。

なもんで、見やすさでいうと今作の方が良かったです。尺も90分程ですし、小難しいテーマや会話も無いので、サクッと迷宮探索やカタコンベの雰囲気を味わいたいなという人には持って来いの作品だと思います。

日本での公開時は、『日本でも大バズりした名作密室スリラー「SAW」のスタッフが携わってますよ!』という感じで、内容やキャスト云々よりもは「SAWシリーズのプロデュース陣が放つ!」という部分を全面に押し出してます。

実際、今作で製作を担当したのは「SAW」シリーズで長きに渡り製作を務めたグレッグ•ホフマン氏、オーレン•クールズ氏、マーク•バーグ氏の御三方です。ちなみにグレッグ•ホフマン氏は今作が公開されるよりも前の2005年に謎の死を遂げており、手掛けている映画のジャンルがホラーやサスペンスなだけに何かあったのではないかと色々と想像してしまいます。

「SAW」は1作目しか見ていないので、今年の10月に公開される新作に備えて2以降も見ていこうと思います。
(Filmarksより引用)

そして、今作の全世界共通のメイン・テーマ・ソング「Blue Butterfly」はYOSHIKI氏が率いる音楽プロジェクトのVIOLET UKが手掛けており、今作のサウンドトラック「カタコンベ•オリジナル•サウンドトラック」もYOSHIKI氏がプロデュースしており、選曲も担当しています。

YOSHIKI氏は「ロックとダンスを融合した曲を」とオファーされたそうです。(s.cinemacafe.netより引用)

現在も購入可能ですので、YOSHIKIさんのファンの方も是非!

現在U-NEXTにて配信中のほか、一応今日まで(20日24時まで)アマゾンプライムでも配信しております。それ以降はレンタルになってしまうので、気になる方はお早めに!

Filmarksより引用

◇精神的に脆く内気なヴィクトリアはある日、姉に誘われてパリを訪れる。買い物を楽しんだり、姉の友人たちと交流を交わして楽しんでいたのも束の間、夜になると、地下墓地(カタコンベ)で秘密裏に開かれている大規模なアンダーグラウンドパーティーに半ば強引に連れて行かれる。場の空気にも馴染めず、カタコンベの恐ろしい噂を聞かされ気分を害したヴィクトリアは帰ろうとするも、入り口まで同行してくれた姉が突然何者かに襲われ命を落とす。真っ暗闇となり、パニックに陥るヴィクトリア。彼女は迷宮と化したカタコンベで襲いかかる何かから逃げ切ることができるのか…

という感じで展開していきます。

主人公•ヴィクトリア(s.cinemacafe.netより引用)

“700万の遺体がパリの地下に埋まっていた”というのはどうやら実話らしく、200年前(おそらく1800年頃)パリでは遺体の埋葬地が不足しており、国王令により700万の遺体が地下に積み重ねられて放棄されたそうです。しかし、その腐敗臭が問題となり、最終的には採石場に移されたという凄惨な過去がありました。

オープニングで語られる上記の説明と

『世界一ロマンチックな都市の下には史上最大の墓場が眠っている。死者の帝国だ』

という文言には非常に惹き込まれました。

調べてみると、パリのカタコンベは実際に観光名所となっているようです。

このようにツアーにもなっていますし、本編にもあったような乱痴気パーティーや趣味で探索する人などもいるようです。行ってみたい気もしますが、なんだか亡くなられた方への冒涜になってしまいそうで気が進みませんね。

物語は全体的に緊張感や臨場感があり、暗所のシーンでも映像が見やすくてストレスフリーなのはとても良かったですが、先述した通り冒頭から中盤にかけての展開が少々ベタ過ぎたのが、一番最初の説明や文言が良かっただけに勿体なく感じました。

心が弱っている主人公が姉に誘われ異国の地へ

乱痴気パーティーに連れていかれる

些細なことがきっかけで迷子になる

何かに襲われる

という流れがあまりにも分かりやす過ぎて、普段あまり映画を見ない方なら気にならないと思うんですけど個人的にはベタ過ぎてだれてしまいました。

登場人物の描き方も薄味で、「精神的に不安定な主人公の喋り方はこうで、髪型はこんな感じだろう」や「悪ノリする友人だからこういうことをするだろう」といった感じで事象だけを描いており、そこに根拠みたいなものがあまり感じられませんでした。

ちなみに主人公ヴィクトリアの姉キャロリン役を演じたのは世界的に有名なミュージシャンのP!nk氏で、本名のアリシア•ムーア名義で出演しております。

「私が楽しいと思うことは他の人も楽しいはずだ」という押し付けがましい性格の嫌な女を熱演しておりました。
(ピンク(歌手)Wikipediaより引用)

カタコンベのどこかにいるとされている怪物の『カルト信者同士の近親相姦で産まれ、生肉のみ与えられ、陽の光を浴びず、ヤギの頭を被り育てられた真の反キリスト男』という設定も全部でまかせで、ヴィクトリアが地下内に置き去りにされたり、ヤギ男に追い回されたりするのも、全てはヴィクトリアを驚かせるためのキャロリンたちのイタズラだったというオチも少々不快で、誰が見ても「やり過ぎだろ!」としか思えず、あまり気持ちのいいものではありませんでした。

ヴィクトリアは最後の最後まで気の毒でした。
(s.cinemacafe.netより引用)

物語中盤にカタコンベ内で出会う謎の男•アンリの処理もかなり雑に感じました。結局はキャロリンたちの仲間でただの仕掛け人でしたが、カタコンベ内で英語が分からない謎のフランス人に扮してヴィクトリアを導いたり、ほんの少し心を通わせたりと物語内でかなり重要な役割を担っていました。

その後、カタコンベ内を移動している際にアクシデントで足に大怪我を追ってしまい、身動きが取れなくなってしまったアンリをヴィクトリアがなんとか助けようとするも上手くいかず、最終的にヴィクトリアはアンリから地図をパクって逃走。その場に放置してしまいます。「助けを呼んでくるから」とは言い残したものの、ヴィクトリアの地図の奪い方がガチ過ぎて、アンリを見捨てた感が強く、ヴィクトリアに対してもヘイトが溜まりそうなシーンになっていてちょっと嫌でした。

おそらくは後に仲間たちによって救助されたっぽいですが、キャロリンが「アンリはまぁ、災難だったわね」と一言で片付けてしまうのもなんだかなぁと思いました。ラストに皆と一緒に登場して「怪我は嘘でした!元気でーす!引っかかったな?」みたいな感じでもいいと思うんですけどどうなんでしょう。あと、ヤギ男ももちろんマスクを被ったキャロリンの友達でした。

これらの流れがあってからの

『パニックに陥ったヴィクトリアは意図せず人を殺めてしまい、タネ明かしで現れた姉からその事を叱責、罵倒されたことで彼女の中の何かが崩壊。姉を含むその場にいた人間をツルハシで皆殺しにしてしまう』という衝撃的なラストは中々にぶっ飛んでいるものの、流れ的にはしっかり成立しているので面白かったです。

ヴィクトリア役のシャニン・ソサモン氏はクラブDJをしていたところをスカウトされて俳優になったという経歴があります。(映画.comより引用)

『姉から絵葉書がきた。パリにいらっしゃい、あなたのためになると思う。到着後48時間で、出会った人は皆死んだ』

という冒頭のヴィクトリアのモノローグは後半部分の意味がよく分からず、「彼女の生い立ちに何かあったのでは?」と予想してしまいます。しかし、これがラストシーンに繋がっており、先述した壮絶なクライマックスを経て、地上に戻ったヴィクトリアがラストでもう一度このモノローグを語ることで「そういうことか!」と初めて気付かされます。

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もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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