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ジョーズの後発!選択肢全部ミスり系ピラニアパニックホラー!「ピラニア」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(598日目)

「ピラニア」(1978)
ジョー・ダンテ監督

◆あらすじ
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行方不明となったカップルを探すため、案内人を雇ってテキサスの山中に入った女性調査員・マギー。だが立入禁止区域の施設に侵入した際、誤ってプールの放水バルブを開けてしまう。その中には、本来いるはずのない獰猛なピラニアが大量に繁殖していて…。(Filmarksより引用)
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「ジョーズ」の世界的大ヒットを受けて作られた後発のモンスターパニック映画で『アメリカ軍が極秘で改良していた生物兵器•ピラニアが脱走し、猛威を振るう』という、あの肉食魚でおなじみのピラニアの恐怖を描いています。

全然関係ないですけどピラニアを見ると
こち亀の人間クレーンゲームの回を思い出します。
(ピラニアWikipediaより引用)

監督を務めたのは「グレムリン」(’84)などでおなじみのジョー・ダンテ氏です。

ダンテ氏は、“B級映画の帝王”ロジャー・コーマン氏のもとで編集などを学び、1976年に「ハリウッド・ブールバード」で監督デビューを果たしました。しかしこちらに関してはアラン・アーカッシュ氏と一緒に監督を務めていたため、その次の作品となる今作が一人で監督を務めた初めての作品となります。

ジョー・ダンテ監督
個人的には「スモール•ソルジャーズ」(’98)も好きです。
(ジョー・ダンテWikipediaより引用)

当時業界的にはまだまだ若手だったダンテ氏を監督として起用したのは、日活の看板俳優からハリウッドの映画プロデューサーに転身して大成功を収めた筑波久子氏でした。筑波氏は「ピラニア」撮影時のダンテ氏の印象を

「最初、『この人大丈夫?』って感じでした。だって、すごく痩せてて、いつも震えてたから。何より、声が小ちゃくて。か細い声で『ア、アクション…』って」(ピラニアWikipediaより抜粋)

と語ったそうです。

結果的に今作は大ヒットを記録し、スティーヴン•スピルバーグ監督からは「ジョーズの模倣映画の中で最高の作品」との評価を受けました。(模倣映画としっかり言うところがスピルバーグ監督っぽいですね)

製作費100万ドルに対して興行収入4000万ドルを叩き出した今作はダンテ氏と脚本のジョン•セイルズ氏の出世作となり、その後の活躍は言うまでもありません。ちなみにセイルズ氏もコーマン氏のもとで修行をしており、1980年には私の大好きな「アリゲーター」の脚本も担当されています。

この記事を書いている中で筑波久子氏について色々と調べてみたところかなり面白かったので、筑波氏のまとめで記事を一本書いてみようかなと考えております。

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映画.comより引用

◇山の中にある立入禁止区域で行方不明となった一組のカップル。彼らの行方を追うために現地を訪れた調査員のマギーはガイドのグローガンとともに現場となった立入禁止の施設に潜入。その施設のプールに何か手がかりがあるのではと水を全て抜いてしまったマギー。しかしその施設はアメリカ陸軍の極秘施設で、プールには生物兵器として改良していた凶暴なピラニアが大量にいたのだった。水を抜いてしまったせいで河川に放たれたピラニアたちはエサを求めて下流のキャンプ場へと移動していく。キャンプ場では子どもたちが水泳大会に興じており、その中にはグローガンの娘•スージーもいた。ピラニアたちの被害を食い止めるべく、マギーとグローガンは奔走する。

という風に展開していきます。

公式のあらすじなんかだと
『マギーが“誤って”水を抜いてしまった』と記載されていますが、思いっきり故意です。

プールにピラニアがいることは知らないまでも、立入禁止の施設に潜入して勝手に水を抜き、さらには阻止しようとしたホーク博士を二人がかりで半殺しにしてまでプールを空にしているわけですからとんでもない大罪人ですよ。

マギー(左)とグローガン(右)のバイオレンスコンビ
(Amazon.co.jpより引用)

確かに、ホーク博士が諸悪の根源でもあるピラニアを生み出したので仕方ないっちゃ仕方ないです。ですが、そこそこのおじいちゃんを袋叩きにして翌日まで意識不明にさせるというパワープレイをしておいて、翌日に特に謝ることもなく普通に接してくるマギーがサイコパスすぎて面白かったです。

このシーンの少し前、マギーたちが施設の研究室に潜入すると、そこには得体の知れない異形の生き物が大量におり、しかもその謎の生き物も乱闘の中で脱走してしまいます。

この謎の生き物たちがどれもかなり個性があり、ストップモーションアニメのように動くのですごく味があって良かったんですけども、それ以降は一切登場せず、なんだか勿体ないように思いました。

ちなみにピラニアやこの謎生物の造形にはロブ・ボッティン、フィル・ティペット、ボブ・ショート、クリス・ウェイラスなど映画マニアが思わず唸るクリエイター陣が携わっています。

巨大な肉塊も一瞬で骨と化します。(twellv.co.jp)より引用

その後は河川に放たれたピラニアの群れが人々を襲いながら、エサを求めて下流へと移動し、グローガンの娘•スージーもいるキャンプ場へとやって来ます。

マギーとグローガンは必死に奔走しますし、軍の人達もさすがにヤバいと思って川に毒を流したり被害を食い止めようとします。ですが、この事実を公にしようとするマギーたちを拘束したり、軍のお偉いさんがこのことを隠蔽しようとしたりでうまいかと噛み合わず、全てが後手後手になり、被害が拡大していきます。

水面に血液が混じる様子がリアルでした。
(twellv.co.jp)より引用

最後はグローガンが命懸けで川に潜り、廃液タンクのバブルを開き、川に廃液を大量に流してピラニアを一網打尽にします。多くの犠牲者を生みながらもなんとか事件は収束したかと思いきや、塩水に耐性のあるピラニアが海で生き延びていたという不穏な終わり方で物語は幕を閉じます。

正しい判断をしていればここまで被害は広がらなかったでしょうし、何度も言いますがピラニアを河川に放ったのはマギーです。このストーリー全体に漂う粗いテイストが時代を感じられてとても良かったです。

結構な数の死人も出ています。(twellv.co.jp)より引用

ピラニアに関しては低予算のため全体像が映ることはほとんどありませんが色々と工夫しており、影だけを見せたり、噛まれて水面が真っ赤になったり、人々が逃げ惑うシーンを多様したりと上手いことカバーしており、かなり面白かったです。

ピラニアの群れに襲われたら怖いですよね。
(Amazon.co.jpより引用)

『直接人の肉を食い千切る』みたいな描写がたくされあれば見応えがあったかもですが、これはこれでありだと思います。傷口なんかもかなり痛々しくてリアルでした。

展開がワンパターンというか、一本道なストーリーにも思いましたが個人的にはかなり楽しめました。ちなみに吹き替え版だと羽佐間道夫さん、小宮和枝さん、池田勝さん、飯塚昭三さんなどファンには堪らないキャストとなっているのでオススメです!

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