ネットに巣食うガチ悪魔VS最強ネクロマンサー!今すぐ漫画化して欲しいサイバーパンクアクションホラー「サイバー•ゴースト•セキュリティ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(785日目)
「サイバー•ゴースト•セキュリティ」(2018)
キア•ローチ=ターナー監督
◆あらすじ
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はるか昔から壮絶な戦いを続けてきたネクロマンサーと悪魔。ネクロマンサーは悪魔をインターネット上に封印するが、悪魔はインターネットを介して世界中の人々を操ろうとする。ひょんなことから幽霊の姿が見えるようになった人間のハワードは、謎のゾンビに襲われたところをネクロマンサーの生き残りたちに助けられる。自分の両親がネクロマンサーだったと知ったハワードは、生き残りたちと手を組んで悪魔に立ち向かう。(映画.comより引用)
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『スマホを介して悪魔が人間に取り憑く現代。冴えない主人公は実は最強の悪魔ハンターだった!彼は強大な悪を討ち滅ぼすため、ネクロマンサーたちと共に戦いに身を投じていく!』
という、現代を舞台としたエクソシストものにSFやサイバーパンクな設定や世界観を上手いことマッチさせたオーストラリア発のアクションコメディホラーです。
「今すぐにでも週刊少年ジャンプで連載できるだろ!」と言いたくなるほどにワクワクさせられる設定や武器、そして派手な戦闘描写が非常に魅力的でとても楽しかったです。また「ゴーストバスターズ」、「マトリックス」、「エクソシスト」、「攻殻機動隊」etc…と数々の名作映画やアニメへのリスペクトが感じられる作りになっており、漫画アニメ好きの方、そして映画好きの方も楽しめるのではないでしょうか。
『冴えない主人公が実は最強の力を秘めており、現代でも密かに戦い続けていたネクロマンサー(悪魔ハンター)たちと共に強大な悪と死闘を繰り広げる』
という大筋は少々アニメや漫画っぽく、玄人ウケはしないかもですが、取っつきやすくて個人的には良いなと思いました。テンポが良いので最後までダレることなく、目まぐるしく物語が展開するのもアクションコメディ系のホラーとしては理想的ではないでしょうか。
なんですけども、気になった点を強いて挙げるとしたら、“やりたいことを詰め込みすぎ”という点だと思いますが、これが今作の長所であり短所でもあるのかもしれません。
少しだけ話は逸れますが、今作で監督を務めたキア&トリスタンのローチ=ターナー兄弟は幼少期より大の映画好きで、冒頭に挙げたような「エクソシスト」や「マトリックス」等のお気に入り作品について、毎晩のようにどのシーンやセリフが好きかを語らうほどの映画バカ兄弟でした。
そんな彼らが初めて手掛けた長編映画が「ゾンビマックス!怒りのデス•ゾンビ」(’14)という世紀末ゾンビ映画です。
私はこの企画を初めたばかりの頃に視聴しましたが、低予算ではあるものの、主人公のおじさんたちが武器や装甲車を手作りしたり、ガソリンの代わりにゾンビが発するガスを動力源にするといったオリジナル要素が面白く、荒々しい熱量を感じる良作という印象でした。
狙いすぎた邦題が足を引っ張っている印象ですがオススメです!こちらはAmazonプライムとU-NEXTで視聴できるのでお時間ありましたら是非!
そしてそれから4年、映画製作のあらゆる面で洗練された兄弟は今作を手掛けたんですけども、ある程度予算も潤沢となり、資金的にも技術的にも、2人のやりたかったこと、表現したかったことがどれもできるようになってしまったわけです。
兄弟が小さい頃から大好きだった数々の名作映画、そしてSF小説からインスパイアされ、描き続けたビジョンをこの作品で全て解き放ったことで情報過多となってしまい、視聴者を置いてけぼりにしているようにも感じられます。それが先ほど申し上げた通り、魅力ではあるんですけども同時に少々マイナスにもなっているかもしれません。
また、全編通して見せたいシーンややりたいことを優先し過ぎた結果、登場人物の掘り下げがほとんど無く、内面的な魅力があまり伝わってきませんでした。キャラも立っているし、ビジュアルも非常に良いのでこれはかなり勿体ないなと思いました。
なんですけども、先述したようにアクションやストーリー自体は相当面白いと思います!霊のCGや悪魔に体を乗っ取られた人間のビジュアルも素晴らしく、エンタメ映画としては申し分ないです。少々B級感は残ってますが中々の良作です!
ちなみに今作の原題は「Nekrotronic」ですが、当初は「Nekromancer」にする予定でした。これは兄弟が大好きで多大な影響を受けたウィリアム・ギブスン氏のSF小説「ニューロマンサー」へのリスペクトを込めたものでしたが、最終的には「Nekrotronic」になりました。
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◇古代人が動物を生贄に捧げていた頃、悪魔をこの世にもたらす扉が開いてしまった。悪魔は人間の体を乗っ取り、殺し、そして魂を喰らった。そこへ不思議な力と武器を操るネクロマンサーが立ち上がる。悪魔とネクロマンサーの戦いは今でも続いているが、最近では悪魔がネット内を行き来し、スマホを通じて人間に取り憑いていた…
そんなことは露知らず、下水処理の仕事をするハワードは悪友ランギが始めた怪しいスマホゲームのせいで突然霊が見えるようになってしまう。さらにはネクロマンサーとしての能力が偶然覚醒した彼は悪魔ハンターの生き残りであるルーサーと娘のモリーとトルクルによって助け出される。そして、騒動の元凶は史上最強のネクロマンサーにして、悪魔に取り憑かれて夫を殺害し、息子までをも手に掛けようとしたハワードの母親•フィネガンであることを告げられる。画して、なし崩し的に悪魔対ネクロマンサーの戦いに身を投じることになったハワードは宿敵である母を討つことができるのか!?
というのが今作の細かめのあらすじです。
『怪しいスマホゲーム(画面に映る霊を捕まえる)のせいで偶然にもネクロマンサーとしての能力に目覚めてしまった冴えない主人公。そして、そんな主人公を半ば強引に戦いに身を投じさせるネクロマンサーの美人姉妹、霊となって主人公と共に戦うおバカな悪友、ラスボスは主人公の母親』
という導入とキャラ設定がもうすでにアニメとか漫画っぽいですよね。これも監督兄弟がポケモンGOにハマったことで後から台本に追加したそうです。色々なものに影響を受ける兄弟ですね笑
また、フィネガンが牛耳っている大手IT企業“デーモコン社”が例のスマホゲームを広め、ユーザー数を増やし、さらにはそのユーザーのスマホに悪魔を送り込むことで体を乗っ取ったり、ネクロマンサーたちを殺害したり、街に設置したネクロポッド(死者の魂を回収する装置)で大きな五芒星を作り、フィネガンは最強の悪魔になろうと計画していたりと水面下で色々とやってます。
こういう情報や設定がもちろん面白いんですけど、その一つ一つを割と説明セリフのみでさらっと紹介したり、似たような装置やら設定がまた後から出てくるのでちょっとややこしかったです。
そんなこんなでネクロマンサーとしての能力を引き出されたハワードは母•フィネガンからの誘いを断り、美人姉妹のモリーとトルクル、そして一度は死んでしまったもののハワードの力で霊として復活した悪友•ラングの四人で、まずはフィネガンが街に設置したネクロポッドによって形成された巨大な五芒星が何なのかを調べるため、その一つをどうにかこうにか奪取します。
そして、なんとそのボックスの中にはデイヴおじさん(おそらく姉妹の親戚)の生首が入っており、おそらくは悪魔の力でまだ自我を保っているそのおじさん曰く、『フィネガンはボックスが回収した死者の魂を全て吸収して究極体になろうとしている』といった感じのことが明らかになります。
その後、トルクルがネット内に自身の魂を送り込み、フィネガンたちのアジトやら情報を突き止めるも、逆に悪魔に取り込まれてしまい、力が暴走。救おうとしたハワードの能力と拮抗したことで顔面が爆発して命を落とします。
しかし、霊専用の3Dプリンター的な装置でなんとか復活します。
こうして諸々情報を手にした一行はフィネガンたちの会社へと乗り込み、大立ち回りを繰り広げるも、ここでついに五芒星が完成。
フィネガンは究極体となる力を手に入れ、街中の人々が魂を吸い取られてしまいます。しかしここでトルクルの捨て身の自爆作戦によって装置を破壊。フィネガンをトラップボックス(悪魔を閉じ込める箱)に閉じ込め、街中の人々も救います。
もちろんこれで戦いは終わりません。フィネガンを3Dプリンター的なあれで実体化させて、しっかり仕留めなければなりません。
なんですけども究極体となったちょいチープなデーモンっぽい見た目となったフィネガンは同じく実体化したトルクルの首を跳ね飛ばし、さらにはモリーの腕も引きちぎってしまいます。
ラストはハワードがフィネガンの動きを封じ、モリーがめっちゃデカイなんかすごい銃で仕留めます。この最終決戦は引っ張った割にはあっさり終わってしまった感じがしました。
最後の力を振り絞り死んでしまったモリーもハワードの力で復活しますし、トルクルもホッチキスで首を繋げたので無事でした。
それから1年後、ネット内に蔓延る悪魔の残党は今でもスマホを介して人間に取り憑いて悪事を働いているが、悪魔ハンターのハワードと片腕サイコガンとなったモリーたちは日夜悪魔を討伐している。
というところで物語は幕を閉じます。
最後だけ少々物足りなさを感じないわけではないですが、締めくくり方も爽快感があってとても良かったです。語り継がれる程の名作ではないかもですが、十分に楽しめると思います。オススメです!
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