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シュール!難解!理解不能!『カルト映画の代名詞』がいよいよサブスクにやってきた!「イレイザーヘッド」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(600日目)

「イレイザーヘッド」(1976)
デヴィッド・リンチ監督

◆あらすじ
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消しゴムのような髪形から「イレイザーヘッド」と呼ばれるヘンリーは、恋人から肢体が不自由な赤ん坊を産んだことを告白され、恋人との結婚を決意する。ところが彼女はおぞましい形相の赤ん坊に耐え切れずにやがて家を出てしまい、残されたヘンリーは1人で赤ん坊を育てることになるが……。(映画.comより引用)
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“カルトの帝王”デヴィッド・リンチ監督の長編映画監督デビュー作であり、『カルト映画の代名詞』と呼ばれる超現実的ホラー映画です。

デヴィッド・リンチ監督
1973年にTM(超越瞑想)を学んでからというもの、今日に至るまで一日二回の瞑想を必ず行っているそうです。
(デヴィッド・リンチWikipediaより引用)

今作においてリンチ氏は監督•脚本•製作•編集•美術•特殊効果を全て担当しており、そもそもスタッフはリンチ氏を含め5人しかいなかったそうです。

リンチ氏が自ら資金をつぎ込むほどの低予算っぷりと先述した人員不足もあってか、完成までに5年の歳月を費やしました。それだけ苦労して撮った作品にも関わらずニューヨーク映画祭での上映は断られ、最初の上映では観客が25人しか入らず、映画誌では酷評の嵐。

しかしその後いわゆる深夜の単館上映が始まると、その強烈な内容が深夜テンションのお客さんにハマったのか、徐々に評判となり「ミッドナイト・カルト」と呼ばれ、一部のマニアから支持を受けるようになりました。

ちなみに「最初の上映の観客25人のうち、24人が次の回にも駆けつけた」というエピソードがあるそうです。逆に行かなかった1人に感想を聞きたくなりますね。
(cinemore.jpより引用)

そのシュールかつ難解でイカれた内容や映像については前々から噂で聞いておりかねてから視聴することを切望していたものの、どのサブスクにもなく半ば諦めておりました。

しかし!

この度DMMTVにて440円でレンタルが開始!

ということでさっそく視聴させていただいた次第であります。

ちなみにDMMTVさんは元々、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」を見るためだけに無料トライアルの30日間だけ契約するつもりでしたが、意外とマニアックなホラー映画やアニメ作品を見ることができるので、もうなんだかんだで1年以上お世話になってます。

あと、「鉄血のオルフェンズ」はべらぼうに面白いので全人類に見てほしいです。私は3周しました!

タイトルの「イレイザーヘッド」は鉛筆に付いている消しゴムのことです。(Filmarksより引用)

あらすじや解説を見ないで視聴すると、おそらく中盤あたりから理解が追いつかなくなり、次第に考えることを辞めてしまうかもしれません。分けもわからないですし、そもそも視聴者に理解させるつもりもなければ楽しませるつもりもないのかもしれません。

ですが、よくよくこの作品の背景について調べていくと今作がデヴィッド・リンチ氏自身の物語であることが分かり、あらすじや解説を読んだうえでもう一度鑑賞すると意味は分からないものの、なんとなく理解できるようなできていないような不思議な感覚を味わえます。

ヘンリーの生首を鉛筆工場に持っていくシーン
(cinemore.jpより引用)

リンチ監督は学生時代から交際していたペギー氏が妊娠したことをきっかけに1967年に結婚。翌年に娘•ジェニファーが誕生しました。

当時、極貧生活を送っていたリンチ一家は非常に治安が悪く犯罪が横行していたフィラデルフィアのフェアマウントという地域で暮らしており、近所には小便を撒き散らすババアや人種差別主義者がいたりと最悪の環境だったそうです。こんな劣悪な環境で5年を過ごし、その間に2回も強盗被害に遭い、車も盗まれたそうです。

画家としても活動していたリンチ監督は芸術に没頭したかったにも関わらず、ペギー氏が妊娠したことでおそらくは仕方なく結婚。さらに産まれた娘には矯正手術が必要となる足の障害(大きな瘤)があり、その手術にもお金がかかったことでしょう。

芸術に没頭したい…でも金が無い…環境も最悪…

妻も子供もいる…金がかかる…手術もしなきゃ…

この作品は当時のリンチ監督の精神状況を表しているのかもしれません。

事実「イレイザーヘッド」の舞台もフィラデルフィアの荒れ果てた工業地帯で、さらに主人公ヘンリーの髪型はリンチ監督のそれをモデルにしていることが明らかですし、本作製作中の74年にはペギー氏との離婚も成立しています。(その後ペギー氏とは4回に渡り結婚と離婚を繰り返しています)

主人公のヘンリー
演じられたジャック・ナンス氏は、製作中の四年間で一度も髪形を変えなかったそうです。(cinemore.jpより引用)

さらに、作中で異形の赤ん坊を一人で育てるヘンリーは最終的に気が狂って赤ん坊をハサミで殺害。これもおそらくは自分の娘に対するストレス(果ては殺人衝動)を作品に投影することで必死に自分を抑え込んだのかもしれません。

そういったリンチ監督の当時の背景を知るとまた違った見方ができます。スタンリー・キューブリック監督やジョージ・ルーカス監督が絶讃するのも納得です。

例の赤ん坊(middle-edge.jpより引用)

そしてこの不気味で生々し過ぎる赤ん坊については「牛や羊の胎児説」や「リンチ監督が作った精巧なミニチュア説」など様々な意見が飛び交ったそうですが、リンチ監督は未だにこれが何なのか真相は明かしておりません。おそらくはこのまま墓場まで持っていくのではないでしょうか。私個人としては他の動物の胎児っぽいなと思ったんですけど、皆様の私見はいかがでしょうか?

ちなみにデヴィッド・リンチ監督は無類のコーヒー好きだそうで、自らコーヒー豆を有機栽培して販売しているそうです。

調べてみたところ、渋谷にあるカフェ:モノクロームさんにて、その豆を使用したコーヒーが飲めるそうです。今度さっそく行ってみようと思います。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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