J・Mバリー、アーサー・ラッカム『ケンジントン公園のピーターパン』1906年初版
J・M・バリー『ケンジントン公園のピーターパン』アーサー・ラッカム版の1906年初版の全挿絵を撮影したので公開する。本作は挿絵画家ラッカムが注目を浴びるきかっけとなった代表作である。当時の子どもたちのクリスマス用プレゼントブックとして飛ぶように売れた。挿絵は全50枚で、物語の間に挿入されるのではなく、巻末にまとめた形で挿入されている。そのため、巻頭に挿絵リストが用意されている。挿絵の多さには、ラッカムの筆の早さが窺える。これだけ細密な挿絵を数多く用意するのは至難の技である。
本書は、一般で知られているディズニー映画のピーター・パンとは設定もストーリーも全く異なっている。主人公の赤ん坊ピーターは、かつて自分が鳥だった頃のことが忘れられず、母親と別れてケンジントン公園に住むことにする。そこでピーターは葦笛で音楽を奏でたり、園内の小屋で夜を過ごしたりした。ケンジントン公園で彼は妖精や少女メイミーらと出会い、そして別れを経験していく。英国文学を代表する傑作ファンタジーとして今日も語り継がれている。
今回は、撮影した表紙や50枚の挿絵などを掲載していく。初版は挿絵が最も鮮明で、版を重ねるごとに挿絵は鮮明さを失っていく。重版や邦訳版の書籍を見れば、その差は歴然としている。筆者はアーティストのオリジナルを追い求め、初版を集めてきた。アーサー・ラッカムの本当の世界をここに紹介する。
今回は挿絵を感覚的に純粋に楽しんでもらうため、敢えて凡庸な解説はつけなかった。これだけ素晴らしい挿絵に本来解説など相応しくないのかもしれない。そう、見れば伝わる、のだから。
“Peter Pan In Kensington Gardens” By J. M. Barrie With Drawings by Arthur Rackham, Hodder & Stoughton, London, 1906 First Edition
Shelk🦋
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