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2019年6月の色々(シナリオアート×DALLJUB STEP CLUB×テスラは泣かない。/さよならくちびる/キイチビール&ザ・ホーリーティッツ×バレーボウイズ×yound×ハチマライザー/ウィーアーリトルゾンビーズ/ドレスコーズ/パスピエ/春ドラマ総括)

6.2 シナリオアート結成10周年記念10都市対バンツアー[Scene #6 ]-空白のスゴロクツアー-@福岡INSA(ゲスト:DALLJUB STEP CLUB、テスラは泣かない。)

1組目のダルジャブはシナリオアートのクローズドで内省的な世界観からするとだいぶ異色な組み合わせだと思うのだけど、場に囚われずにひたすらにアゲまくってて痛快だった。人力でこれやる?と疑ってしまう程にバキバキに構築されたダンスミュージック、そこに森心言の自在なラップが絡んで極上のHipHopグルーヴを叩きつけてくれた。リズム隊の引き出しの多さよ、こんな音をこう出すのか!っていう。トラックメイク全盛の時代に生であんなテク見せられるとやっぱバンドの面白さってまだまだ幾らでもあるなぁと!

2組目のテスラは音楽性とか世界観的にも遠からず、個人的にも知った時期が近かったので同世代対バンという印象で。初めて聴いた時から、このバンドの掴めなさは今も継続していて。エモーションが迸ってる歌声と拳を突き上げざるを得ないような爆発的な演奏なんだけど、理知的な視点とピアノの音色が交わって一筋縄でいかない。最近の曲の抜けの良さも素晴らしかったが、古くからの1曲「My world is not yours」がファンクネスを強めたリアレンジがされていたり、ナチュラルに変化していってる様がとても良かった。

トリはもちろんシナリオアート。ライブを観たのは久々だけど、繊細な音楽性に見せかけてライブの場だとかなり破壊的なパフォーマンスをしてくるからギャップでぶっ飛ばされる。特にドラムのクミコさん、バシャバシャと激しく叩きながらも決してシステマチックにならない切実な歌唱、それでいてMCではカラッとした笑いで引っ張ていくという、ゲロマブなプレイヤーで感心しながら観てしまった。10年間のベスト選曲に加え、日替わりでサイコロを振って曲を決めたり、独立後の楽曲をどれもストレートなアレンジで鳴らしていたり、開放的なモードもひしひしと感じられる良いアクトだった。


6.8 さよならくちびる

この世代で屈指の”哀しい目を持つ女優“である門脇麦と小松菜奈がスクリーンで並ぶということ、それだけで価値がある、というかこの作品の価値の大部分はそれに尽きちゃうと思う。それくらい素材の良さが際立った映画だった。お互いに慈しみ合い、故にすれ違う2人。実際にいたらファンとしては好きになるにはだいぶ厄介な音楽ユニットだと思うのだけど(素行は悪いのにサブカルふんわりフォークをやってるからウケてんのかなとか色々考えた)、ズブズブに想い合う感じがフェチをくすぐる。だから成田凌がほんとにね、、、なんでお前は最近俺が見る映画にめちゃくちゃ出てくるんだ!というか門脇麦との共演多すぎ!同い年の中で1番憎たらしい!俺と代われ!

音楽の説得力は流石のもので。秦基博とあいみょんですから。ハルレオ2人の低めの声質にもぴったりだった。ただまぁ色々と音楽方面のディテールはツッコミどころが多かった気がする笑。謎すぎるツアー行程(一旦関西まで行って山形経由で小樽に行く)や、成田凌がやってた売れないバンドがなぜかレコードを出してるとか。そもそもハルレオの規模感ってどれくらいなんですかね、結成して2、3年くらい、1枚だけ出したアルバムがインディー界隈でちょこっとバズってそのまま関係不良で解散、って、なんだろうな。MARQUEE BEACH CLUBとか?喧嘩解散じゃないだろうけどね、なんかそんな、どのポジションなんだろう、を考えすぎてしまってた。


6.20 キイチビール&ザ・ホーリーティッツ 2ndフルアルバム「鰐肉紀譚」リリースツアー@福岡voodoo lounge(ゲスト:バレーボウイズ、yound、ハチマライザー)

括りとしては、ゆるめの歌モノバンド集会というような。from福岡で初見だったハチマライザーはまだ若手ながらしっかりと浸れるメロウさを持っていて。この曲調でなぜかシンセベースっていう編成の面白さよ。そんなシンベ使いの女の子は片手でピアニカを弾くなど、非常に見栄え良かった。同じく福岡からyoundは昨年のcocono fest.ぶり。その時は4人編成だったけど今回は3ピース。よりシンプルに歌が光っている。社会人バンドというのもいいな、ビッグヒットやシーン変革の外側で繰り広げられる景色というのも、ポップソングになるべきだから。

京都からバレーボウイズ、これが素晴らしくて!フォークロック×合唱みたいなノスタルジックな曲調なのだけど、見せ方はかなり騒々しくて若々しい。ピンボーカルの前田さんは、享楽的な楽曲だろうと関係なく目をひん剥いて叫び踊り狂う。全身で歌唱する姿はこのバンドの持つ刹那性を加速させていた。そして、どうしても1番釘付けになったのが、紅一点コーラスのオオムラツヅミちゃん。曲に合わせてそれはもう飛び切り可憐に舞うから目が離せなかった。真っ赤なワンピースで、大きく手足を使って飛び跳ねる、まるで青春映画のワンシーンだよ!撮ろうよ、誰か!野生の高畑充希みたいなルックスも素敵だったし、見惚れてしまったな。

そしてホストバンド、キイチビール&ザ・ホーリーティッツ。ちゃらんぽらんに見せかけて、しっかりとセンチメンタルでもある、ボーカル喜一くんのパーソナルがそのまま最高に浮かれたロックソングに変わってるわけだから、喜一くんが愛しくてしょうがない。鰐肉デートのことを歌にしちゃってその女の子をMVに出すんだからね、そうじゃなきゃ彼はピュアじゃいられなくなるよ!MCはゆるゆるだったけど、ライブはかっちりとバキバキ。コーラス専業だとおもってたKDちゃんがギターも弾いててとてもアツかった。あ、あと喜一くんのギターの弦が切れた時に咄嗟にバレーボウイズのギタリストが自分のを貸しててすげー良かったな。ステッカーめっちゃ貼ってあった。弦が切れれば対バン相手に借りればいいんだよ、と。実に良い夜、良い対バンでした。優しい世界が広がっていた。


6.22 ウィーアーリトルゾンビーズ 

ポスターデザインとウェブサイトがなかなか面白くて観に行ったら良作で。CMプランナー出身の監督らしい、創意工夫溢れる斬新な演出が次々とやってきて目に楽しい映画だった。そんなカラフルでポップな世界の中で描かれるのは、両親が死んだ13歳の中学生たちがバンドを組みやがて世間に広まって、、という物語。RPGゲームをモチーフにしたサクセスストーリーと思いきや、主人公たちはずっと静かにブラックで、淡々とコミカル。親が死んでも泣けない少年少女たちだから、音楽で感情を取り戻す!とか、世界を変える!とか安易な着地を赦さない。だけど、でも、そう、少しの"光"の話。

劇中バンド・リトルゾンビーズの紅一点を演じた中島セナ、凄まじい存在感だった。13歳にしてあの冷たげな発話、できますか。末恐ろしい目つきだ。3人の13歳男子にとっての、恋であり、そして母でもあった、そういう業を背負っている。特に印象的だったのが、引っ越し屋のトラックの荷台に乗り込んだシーンで、懐中電灯に照らされながら積荷のピアノを弾くシーン。この画が観たいだけやん、、、と思わなくもないのだけど、そういう必然性の外で新しい価値というのは生まれるものだから。この監督のフェティシズムを評価したい。ドラムを太った子にしたセンスも、判っているとしか!!

中州大洋映画館で、長久監督とベース役の少年を演じた奥村門士くんと、その父親であり福岡では局所的に有名なボギーさんの舞台挨拶とともに観た。門士くんも、福岡では似顔絵屋さんとして有名な少年だったので、映画出演にはびっくり。彼だけはオーディションでなく、その澄んだ瞳を評価されての起用だったことや、劇中でのベース演奏はボギーさん自らが指導し、プレイスタイルはボギーさんの高校の同級生・中尾憲太郎(ナンバーガール)をモデルにしたという話も聴けてアツかった。出演陣含め、絶妙に豪華(さらば青春の光・森田の登場に爆笑した)で、サブカル欲が満たされる映画だった。


6.22 ドレスコーズ“THE END OF THE WORLD PARTY”TOUR@福岡BEAT STATION

曲を聴いてはいるけどフェスとか対バンでなかなか来ないから観れない、っていうアーティストはえいやっと思い切ってワンマンに行かないとライブに出くわせないので意を決して。マリーズも観たことないので初・志摩遼平。

アルバム『ジャズ』は、様々なジャンルの音楽を呑み込み、終末世界のサウンドトラックとして仕上げたコンセプチュアルな仕上がり。故にライブも、これが終わって外に出たら世界は滅亡しているんじゃないか、ビートステーションだけが何もかもから身を守れるシェルターなのではないか、と思わせるほどの現実離れした狂騒で踊り倒させてくれた。今まで見たことない空気感。超楽しいのに、腹の底にはざわざわとが迫ってくる。『平凡』以降から強まる、警鐘や諦念、その観察者の音楽。だから全くエモくなく、ただそこにあるビートを信頼するしかない。「規律と訓練」の吉田一郎、凄まじい。

2019年における仮想の終末世界、という作品性ゆえ、ラップ歌唱をフィーチャーした「もろびとほろびて」が本当に其処にありそうな滅びのメロディに聴こえてくるし、国境をぐちゃぐちゃにして無法地帯にするみたく、様々なジャンルでアレンジを施された過去の楽曲群も素晴らしかった。レゲエ調の「しんせい」、スカコアになった「Lolita」などなど、、、ディメンターみたいな様相の志摩遼平もステージを動き回りながらこの音楽たちを体現していく、"終わり"を常に感じながら。アンコールこそ、開け放たれたものだったが、最後は目いっぱいのラブとスカムを撒き散らす「愛に気をつけてね」、で。この世が終われど、始まれど、現状維持でも、何だろうが、何とかして生き永らえないといけないんだろうな、って。タフなライブだった。


6.30 パスピエ TOUR 2019"more You more"@福岡DRUM LOGOS

1年ぶりのパスピエワンマン。このツアー、開演前の公開リハ的に、各会場5名を抽選で招待する企画が行われていて、なんとそれに当選。開演前のがらんとした会場に案内されると、1000人キャパのフロアに5脚の椅子が。そしてステージ上にも5人。関係者か、もしくは全然売れてないバンドのライブ以外では観ることないであろうなかなかに異常な空間。かなり緊張しちゃって、いつも聴いてる曲がだいぶ長く感じたよ笑。パスピエメンバーも緊張していると案内してくれたスタッフさんは言ってたけど、どこかいつもよりラフで(なっちゃんもTシャツで部屋着みたい)。三澤さんがステージを降りてギターを弾き倒してくれたりと、今後観れなそうな視覚情報連発だった。最後はメンバーと握手して、なっちゃんのお見送りを経て終了。夢企画だった。

さて本編ももちろん素晴らしい。「more humor」はヒップホップ的なトラックメイクアプローチや、ファンク&ソウルなリズムの導入など、現行のシーンに即しながらも、聴けばめっちゃパスピエ、っていう凄まじいバランス感覚で編み上げた秀作だと思っていて。そんな新曲たちが、過去ナンバーと混ざることで、1枚ごとに新たなカラーを足しながらバンド像を更新していったことがよく分かるライブだった。10周年ツアーでもありながら、選曲はかなり自由奔放。「術中ハック」をなんで2曲目にやったんだろうか笑。あと「ハイパーリアリスト」がクライマックスを彩る良い位置の曲に育っていて感服。ダブルA面の2曲目って意外とおざなりにされがちだからね。このまま良いペースを保ち、このキャパでツアーをやり続けるバンドであって欲しい!維持を求む!


・春ドラマ総括

「腐女子、うっかりゲイに告る。」「俺のスカート、どこいった?」の2傑の感想は執筆中の上半期ベストドラマに預けて、それ意外をざっと。

「四月一日さん家の」、だんだんとフルハウスもどきの笑い声にもなれていった結果、なかなか洗練されたコメディなのでは、、?となった。特に2回もあった漫才回は秀逸だった。1話完結に見せかけてちゃんと連作でも見せてくれていたのが良かった。今後も増えていくのかなぁ、VTuberドラマ。 

どちらも柏木ひなたの存在が光る「神ちゅーんず」と「ヴィレバン!」は、まぁなるほど!という。「神ちゅーんず」はね、なんか特に言うことが見当たらないんだよな。エビ中で学園ドラマやるならもうちょっと静謐なタッチの、いかにもサブカルクソ野郎が好きそうなテイストのほうが合うと思う。で、そういう側からの刺客である「ヴィレバン!」がなんでこんな王道の成長物語になっているんだ、と。そういうんじゃないだろ、ヴィレバンって。ぐちゃっとしたのが観たかった。面白かったけどね、もっと!っていう。

トップ写真は、中州大洋映画劇場という1946年からある福岡の超老舗映画館で、近くに住んでるんだけど初めて行くことにした。上映前にこの劇場の歴史が流れてたのだけど、資料映像として非常によくってなんかグッときてしまった。中州って路面電車走ってたんだなぁ、とか。知らないこと多い。

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