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『あなたを疲れから救う 休養学』

1.私から始めに

休養学。

正直私にはピンと来なかった。

「休むってなんだろう?」と疑問に思っていたため、少し興味が湧いた。

目から鱗だったので、自分なりに要約してみようと思う。


2.表紙

休み方は「学べる」

甘いもので自分にご褒美

疲れた時は寝るのが1番

疲れたらコーヒーを飲む

全部「×」です!

◆   ◆   ◆

この本はこんな人に効きます

【朝から疲れている】

【いつも体が重い】

【寝ても寝ても疲れがとれない】

【会社に行くだけでヘトヘトになる】

【休むことに罪悪感がある】

【帰宅後は疲れてしまって、何もやる気になれない……】


3.はじめに

「いつも体が重い」

「寝ても寝てもだるく、疲れが取れない」

「会社に行くだけでヘトヘトになる」

「休みの日に何をしていいかわからない。結局、1日じゅうゴロゴロしている」

「週末に寝だめをすると、休み明けはかえってぐったりしてしまう」

あなたはこんな悩みを抱えていませんか?

毎日、仕事や家事で忙しく、ゆっくり休みたいのに休めない。

有給休暇はあるけれど、同僚は誰も取らないし、上司がイヤな顔をするので申請しづらい。

疲れた体を引きずって出勤するものの、生あくびばかり出て仕事に集中できない。

だから能率が落ちて、ますます帰りが遅くなる……。

こんな人は、おそらく日本中に大勢いるのではないでしょうか。

「疲れたら、休む」と言う当たり前のことができないなんて、考えてみればおかしな話です。

休養だけが、学問として確立していません。

おそらく「ただじっとしていれば良いのだから、休む事は誰にでもできる」

「わざわざ学ぶような話ではない」と思われているからでしょう。

しかし、現代人は、今まで人類が経験したことのない種類のストレスや疲労に悩まされています。

肉体労働が主流だった昔と比べ、今の労働はパソコンやスマートフォンなどので、デジタルデバイスを用いる、神経を使う仕事が主流になっています。

そのため昔と同じ休み方をしていたのでは、疲労がうまくとれない恐れがあるのです。

本社では、これまで軽視されてきた疲労について、科学的な解説を加え、

  • 人はなぜ疲れるのか

  • 疲れても無理をして休まずにいると、人間の体はどうなるのか

  • どんな休み方をすれば最も効率的に疲れが取れるのか?

といった疑問に答えていきます。

疲れている人は往々にして「長く眠ること」で疲れを取ろうとします。

しかし、睡眠時間を長くしたり、ベッドやソファで横になったりしているだけでは、かえって逆効果になることをご存知でしょうか。

休養と言うと、ただボーッとして何もしないことと思われがちですが、これからはそうではなく、もっと主体的な休み方をする必要があります。

本書では休養という行為を7種類に分類し、それらを適宜組み合わせて、自分が最もリフレッシュできる休み方を見つけることを提案しています。


4.日本人の8割が疲れている

疲労による経済喪失は1・2兆円に上る。

疲れているのに無理をして働き続けることで、生産性が下がるからです。

最近、企業の生産性を図る指標として、「プレゼンティーズム」とか「アブセンティズム」と言う言葉が使われるようになってきました。

お聞きになったことがある方もいると思います。

プレゼンティーズムとは、日本語では「疾病就業」と訳され、具合が悪いのに出社していることをいいます。

頭痛や胃腸の不調、軽度のうつ、花粉症などのアレルギー症といった「辛くても無理をすれば、出社できる程度の疾病」によって、本来発揮されるべきジョブ・パフォーマンスが低下してしまっている状態です。

米国ではプレゼンティーズムによって、年間約1500億ドル(約21兆円)の損失が出ているそうです。

一方のアブセンティズムは「病欠」に当たります。

プレゼンティーズムの状態がさらに進んで、出社できない状態を言います。

疲労によってこのような状態になってしまった人にも、企業は給与を払い続けます。

しかし体調が悪いのに、無理をしても生産性が上がらないため、“損失”としてカウントされてしまうのです。

実は年代別で見ると、若い人ほど疲れていて、60代、70代の方が元気です。

60代、70代は既にリタイアしていたり、働いていてもそれほど負担がかからない仕事だったりするのでしょう。

子どもも巣立っていて、可処分所得が比較的多く、時間的にも余裕があり、疲れにくいのかもしれません。

厚労省の調査でも、若い人ほど日中に眠気を感じていることがわかっており、20代では50%近い人たちが眠気を感じています。

何しろ日本は、学校を1日も休まなかった人を表彰する「皆勤賞」まであり、毎日休まず、会社や学校に行くこと自体に価値を置く社会です。

まだまだ多くの人が、休むことイコール怠けること、サボることだと捉え、休むことに罪悪感を抱いています。

“疲れているのが当たり前の社会”“疲れたら休むと言う当たり前のことができない社会”はやはりおかしいのではないでしょうか。

座ったままできる仕事が増えて、体は楽になって、一方で、体はあまり疲れないのに頭だけが疲れることで、結果的に肉体にも疲れが残るようになっているのです。

このような時代には、今までのように単に体を休めたり、眠ったりするだけでは、疲れがうまく取れません。


5.科学でわかった!疲労の正体

疲労には、急性疲労、亜急性疲労、慢性疲労の3段階があります。

急性疲労は1日〜数日寝れば回復する程度の疲労です。

亜急性疲労は、寝ただけでは回復せず、疲労感が1週間〜数ヶ月続く状態のことをいいます。

疲労が半年以上続くと、慢性疲労と言われる状態になります。

そして、慢性疲労の状態から、慢性疲労症候群を発症することもあります。

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「法則の時代」といわれて久しい現代では、食事の質はともかく、量は充分足りていることが多いでしょう。

タンパク質はやや少ないものの、パンやご飯など炭水化物の摂取量は充分だといえます。

でもビタミンやミネラルは不足しがちではないでしょうか。

ちなみに、3大栄養素の中で最も大切なのは、脳内の神経伝達物質の素となるタンパク質です。

神経伝達物質と言えば、ノルアドレナリン、ドーパミンなど興奮系の物質が有名ですね。

他にも抑制系のGABA、調整形のセロトニンなどがあります。

特に休養にはGABAが必要ですし、セロトニンには興奮をうまく調節して、沈めてくれる働きがあります。

これらの神経伝達物質はタンパク質を材料として作られます。

私たちが食事で摂取したタンパク質が体内で変化することによって、GABAやセロトニンなど休養に役立つ神経物質ができます。

したがってしっかり疲れを取るには、日ごろから肉や魚などタンパク質をしっかりと取らなければいけません。

疲れを取るには、タンパク質と一緒にビタミンやミネラルも意識して食べることが必要です。

一言でいえば、疲労回復のためには、いわゆる栄養バランスのよい食事を取ることが大事なのです。

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動物は、疲労感を覚えると本能的に動かなくなります。

私の愛犬のミニチュアダックス「チーズ」は、散歩をしていて疲れると、「もう歩きたくない」という素振りを見せます。

リードを引っ張っても、その場から動こうとしなくなるのです。

なぜ動かなくなるかと言うと、休んだ方が良いと言うことを本能的に察知するからでしょう。

もし野生動物が疲れていて、早く走れないのに、餌を探しに出歩いていたら、天敵が襲ってきたときに逃げきれません。

疲労は命に関わるものだと言うことを、本能的に理解しているのです。

疲労と疲労感が一致しているともいえます。

ところが人間は、この疲労の信号をなかなか素直に受け入れることができません。

体が発するアラートは、疲労の他にも2つあります。

それは痛みと発熱です。

痛み・発熱・疲労は、体の異常を知らせる三大生体アラートといわれます。

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本当に忙しい時は、コーヒーや栄養ドリンクを飲んで乗り切らないといけない時もあるでしょう。

しかし、それに頼ってばかりいるのは禁物です。

疲れ方というのは、個人差が非常に大きいものです。

どれくらい一時しのぎができるかは、その人の年齢や体調にもよります。

「あの人ががんばれるのだから、自分も同じようにがんばれるはずねということはありません。

それにもかかわらず疲労感をマスキングし続ける事は、体にとって相当な嫌がらせになります。

人間は永遠にがんばり続けることはできません。

マスキングが状態化してしまうと、どこかでポキッと折れてしまうでしょう。

その先は「燃え尽き症候群(バーンアウト)」と呼ばれる状態になることが知られています。

燃え尽き症候群には12段階があり、最初は自分の存在価値を何とか証明しようと一生懸命無理をすることから始まります。

次に「がんばる」とか「ひきこもる」などの段階を経て、11段階目になると、うつ病になります。

最後が燃え尽き症候群です。

こうなると何もできない状態になってしまい、治療に時間を要することになります。

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気圧の変化や湿気、暑さ寒さによって疲労を感じるのは当然なのです。

特に現代では、夏場は炎天下と冷房の効いた室内を何度も行き来します。

自律神経はさらに忙しく活動することとなり、なおさら疲れるのです。

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人間の体は、地球が太陽のまわりを一めぐりする天体のリズムに沿って、24時間周期で動いています。

つまり昼間は活動して、夜は眠るようにできています。

これをサーカディアンリズムといいます。


6.最高の「休養」をとる7つの戦略

実はあえて軽い負荷を自分に与えると、活力が高まることがわかっています。

トレーニングの疲れが回復しきっていないのにトレーニングをし続けると、結果的にパフォーマンスはどんどん下がっていってしまいます。

そうならないために、アスリートたちは超回復理論に基づいて、激しいトレーニングの後にも必ず一定の休養を取ることでパフォーマンスを上げていきます。

超回復理論は、筋力トレーニングをしている人にはおなじみかもしれません。

簡単に言えば「あえて負荷をかけたトレーニングをすると、その直後は疲れて体力が低下するが、その後、十分な休養を取ることで、トレーニングをする前より体力がつく」と言う現象を説明した理論です。

筋トレで言えば、重いものを持ち上げたり、持ち上げる回数を多くしたりして、筋繊維を1回壊します。

その後に48時間から72時間、つまり2〜3日はトレーニングをせずに休養に専念します。

すると、トレーニング前よりも筋繊維が肥大しているのです。

ボディービルダーたちはこれを繰り返すことによって、たくましい肉体を作っていますが、超回復理論は、何もコースターアスリートの人たちだけのものではありません。

ビジネスパーソンや一般の人たちもぜひ取り入れたい考え方なのです。

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土日は寝たり、ダラダラとしたりして過ごし、月曜日になったらまたなんとなく活動に入るのは「守りの休養」です。

攻めの休養は、もっと積極的・主体的に休むと言うアプローチです。

積極的に休むといういい方は少し変かもしれませんね。

でも、大事な休日は、より疲れが取れるように過ごしたり、疲れにくい体作りをしたりと活力を得ることに使う──。

そんなふうに、これまでの日常のサイクルを「攻めの休養サイクル」に変えていっていただきたいのです。

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生理的休養には、休息タイプ、運動タイプ、栄養タイプの3つがあります。

順番に説明していきましょう。

休息タイプは、一般的な「休み」のイメージに近い休み方です。

活動を一旦停止して体を動かさず、エネルギーの消費を抑制して、エネルギーが回復するのを待つ受動的な休み方です。

いわば「消極的休養」といえるでしょう。

具体的な行為としては、「睡眠(昼寝を含む)」「休憩」などです。

休息を取るときに大事なのは、いかにエネルギーを消費しないようにするか。

体を動かさないことに焦点を当てましょう。

なかでも睡眠は、やはり休養の中ではとても大切な部分を占めます。

すでに説明したように、サーカディアンリズム(概日リズム)に沿ったサイクルで活動していれば、良い睡眠が取れるので、疲労回復も早くなります。

休憩には注意が必要です。

「一日じゅうベッドでゴロゴロしている」

「ソファに横になって映画や動画を見まくる」

といった休み方は、疲労をゼロにすることができても、活力を高めると言う意味ではあまり効果がありません。

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「運動と休養は、正反対の話ではないか」と、思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、休養学では運動を休養の1種とみなします。

何もせずにじっとしているより、運動をした方が疲れが取れます。

運動タイプの休み方は、「積極的な休養」という呼び方もできます。

自分で主体的に休むために運動するわけなので「攻めの休養」としておすすめです。

運動すると血液の流れが良くなり、細胞の一つ一つにしっかりと酸素と栄養を運ぶことができます。

それによって老廃物の授業が促進されたり、リンパの流れが良くなったりするので、疲労感の軽減につながります。

「血のめぐり」を良くする事は、健康の基本です。

それには軽く体を動かすのがいちばんです。

昼間、適度な運動をすると体も疲れますので、夜になると副交感神経が高まって、深い睡眠が取れると言ううれしい効果もあります。

具体的にはヨガ、ストレッチ、ウォーキングなどが良いでしょう。

入浴も血液の流れを良くさせるという意味では、運動タイプに分類されます。

もちろん疲れるまで運動しては逆効果で、あくまで「軽く体を動かす」のが大事です。

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「腹八分目が健康に良い」とわかっていても、ストレスがかかりすぎると焼き食いをしたり、甘いものを食べたくなったりしませんか?

これはストレスをなんとか抑えようとする体の防御反応、自己防衛行動です。

家に帰ってきて「ああ疲れた、今日はイヤなことがあったな。忘れるためにスイーツでも食べちゃおう」と言うのはわかりますが、かえって興奮して、寝付きが悪くなってしまいます。

よく「甘いものを食べると疲れが取れる」と言いますが、正確には、使いを一時的に覆い隠しているだけです。

「糖質は脳の餌だから、頭を使うときは甘いものを食べると良い」と言うのもよく聞く話ですが、食べたものが消化・吸収されるには時間がかかります。

テストの直前に甘いものを食べたからといって、脳がよく働くとは限りません。

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人とコミュニケーションを取ること自体が、自分の感情をポジティブにする事は覚えておいてほしいと思います。

私たちは親しい人とハグをしたり、可愛がっているペットを撫でたりすると、何とも言えず、安らかで落ち着いた気持ちになります。

それは脳からオキシトシンと言うホルモンが出るからです。

このオキシトシンが素晴らしいのは、撫でてもらう方だけではなく、撫でる方にもオキシトシンが出るところです。

ただし、1秒間に5〜10cmくらい手を移動させる位の速さが良いのであって、それ以上速くしても遅くしてもダメです。

あまり速すぎてもセカセカした感じですし、遅いと手が止まっているようで、撫でられている感じがしないからかもしれません。


7.眠るだけでは休養にならない

夜の睡眠時間が足りない方は、パワーナップをして、足りない睡眠を補うのもお勧めです。

パワーナップとは、15〜20分ほどの短い昼寝のことを言います。

昼寝にはいいことがたくさんあります。

  • 疲れがスッキリとれる

  • 判断力・理解力・集中力が上がる

  • やる気がアップする

  • 自由な発想が生まれやすくなる

  • 作業効率が上がる

など、枚挙にいとまがありません。

ただし、あまり長く眠ると今度は夜、眠れなくなってしまいますから、15分程度が良いでしょう。

もし15分以上寝たいのであれば、1時間半後にタイマーをセットすると、すっきり起きられる可能性があります。

1時間半と言う事は90分、つまりちょうど睡眠周期の1サイクルが終了したところだからです。


8.新しい「休み方」を始めよう

私は「休むことに罪悪感がある」と言う人にいつも言うのですが、休む事は、怠けではありません。

繰り返しますが、疲労とは活動能力が低下している状態です。

健康なら出せるパフォーマンスが100%出せない状態が疲労です。

そのせいで休みたいのであれば、それは仮病とは言いません。

もし疲れていないのに休みたいと言うなら、それは仮病かもしれません。

あるいは、いじめなど他の問題があるか、別の病気かもしれません。

しかし、明らかにパフォーマンスが落ちているのであれば、それは仮病では無いのです。

これまで、私たちは疲れていても、それを無視して無理をするのが社会人としての責任だと思ってきました。

しかし、これからの時代は、疲労をこまめに完治して、こまめに対策を打ち、疲れていないベストな状態で仕事をするのが、社会人としての責任ではないでしょうか。

9.さいごに

いかがだったでしょうか?

休養が苦手な私にとっては、目から鱗な情報ばかりでした。

なかなか休むのが難しい現代ですが、自分の身体に耳を傾けて、しっかりと休養を取ることが大事だと言うことが学べました。

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『あなたを疲れから救う 休養学』
著者:片野秀樹
出版:東洋経済新報社

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