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それでも僕が、生きることを選ぶ理由

「人生がレモンを与えたなら、レモネードを作りなさい」
…というのは、アメリカの有名な慣用句。
日本で言う「ことわざ」のようなものでしょうか。
意味としては、試練や逆境に見舞われた時には、それを活かして乗り越える力にすれば良い、といったところ。

ちなみに、僕がこの言葉を知ったのは、大好きなアーティスト、ビヨンセのアルバムタイトルの由来になっていたから。
ビヨンセは、自身のアルバム『Lemonade』で、夫であるラッパーJay-Zの不倫という「凶事」を逆手に取り、心の痛みを見事に先鋭的な音楽へと昇華させました。
本当にカッコいい女性です。

彼女と比べるとスケールはかなり小さくなるものの苦笑、今まさに僕が実践しようとしているのも、本質的にはこれと同じこと。
僕は現在、適応障害で休職中なのですが、そのためにできた時間を使って、noteを通じて繋がった仲間とともに、「セクシャリティ」をテーマにしたZINEを鋭意制作中なのです(ご協力頂いた方々、「スキ」でリアクションをして頂いた方々、本当に有難うございます)。

適応障害の症状は、日によって様々です。
僕の場合は、抑うつ、睡眠障害、頭痛や吐き気、倦怠感、そして最もひどい時には希死念慮が心を襲ってきます。
正直なところ、最近は寒波の影響からか、調子の悪い日が続きがち。
心身ともに不安定な日々を、何とかやり過ごしている最中です。

でも、僕は自分が不幸だと思ったことはありません。
むしろ、恵まれていると思っている。
もちろん、心に刻まれた傷は深く、もしかしたら一生かかっても消えないかもしれない。
それでも、痛みを感じることは「生きている証拠」だと考えているから。
そして、それは人生をより豊かに彩るスパイスになり得ると思うから。

最近ではあまり聞かなくなりましたが、僕が学生時代、「リストカット」というものが一部の若者たちの間で広まり、社会現象になりました。
自分で自分の体に傷をつける。そしてその痛みを感じる時だけ、生きている実感を得ることができる。

僕の周囲でも、何人か「リスカ」を行っている友人がいました。
もちろん、その行為自体は絶対に止めるべき、悲しいものです。
でも、彼ら、彼女らの気持ちが切実なのは理解できる。
それは、「痛みを感じながらも生きていきたい」という願望の現れだと思うからです。

僕が今行おうとしているのは、言わば「健全なリストカット」。
ZINEを作るのはその一環です。
自分の感情を言語化し、それを発信することで、「生きている証」を刻みつける。
心は少しだけ血を流しますが、それはやがて甘い蜂蜜に変わっていく。
酸っぱいレモンを使って、レモネードを作るように。

精神疾患や、セクシャルマイノリティーであるという特性は、光の当て方によって強みにも変わります。
弱点だと思っているものは、時間をかけて磨き上げれば、より良い未来を築き上げるための原石になる。
だから僕は、生きていくことを諦めたくないのです。
今がどんなに辛くても、もしかしたら明日はほんの少し、良い日になるかもしれないから。

今、もしも「レモン」を手にして立ち尽くしている方がいらっしゃったら、それに振りかける「砂糖」を探してみて欲しいと切に願います。
例えどんなに痛みが伴ったとしても、人生の辛酸を舐めることは、決して悪いことではないはずだと思うからです。

人間の味覚は、「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、そして「旨味」で構成されているそうです。
その全てが揃った時、本当の「美味」が完成されます。
僕が、ご協力頂いた皆さんとともに作るレモネード=ZINEには、多種多様な風味が詰まっています。

少しだけ「酸味」が強かったとしても、そこはご愛嬌。
酸っぱさが強ければ強いほど、「甘味」もまた、引き立つはずだから。

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Shade
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