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【Ep.8】 終わらない旅に恋して 生きてゆける いつまでも 〜青文字系ブームのフィナーレを飾ったSHAKALABBITSとUKI〜

🔑Keywords🔑

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-イントロダクション-

2006年3月、地元にTSUTAYAが誕生した中学一年生の終わり頃。

小学六年生から読み始めた「CUTiE」と「Zipper」はその命短く、私の愛読誌はいつの間にか「non-no」へと変わっていた。

学年が上がるに連れ、内容によって「mina」や「Spring」を買うこともあったが、メインは「non-no」だったと記憶している。

実家に残っていた「non-no」。
左から順に2006年4月号、7月号、8月号
実家に残っていた「mina」。
左から順に2007年4月号、5月号、11月号

「CUTiE」と「Zipper」の愛読期間はわずか一、二年程度のものだったが、その短い期間のあいだに「Tommy february⁶」や「JUDY AND MARY」、「YUKI」以外に夢中になった音楽があった。

「SHAKALABBITS」というロックバンドである。


青文字系雑誌から始まった私のロック時代
〜SHAKALABBITSとの出会い〜

1999年に結成されたSHAKALABBITSは、日本のロックシーンを代表するバンドの一つだ。

ファンの間では「シャカラビ」「釈迦兎」の愛称で親しまれる彼らは、ロックを基軸にしながらも、どこかポップで耳馴染みの良いメロディを奏で、私の幼い耳にもすんなりと溶け込んでいった。

当時は、このキャッチーでメロディアスなロックを何と呼ぶべきか分からなかったが、「メロコア」「スカコア」と呼ばれるジャンルに当たるのだろう。

2001年にJUDY AND MARYが解散した後、SHAKALABBITSに流れていったファンも多くいたと言われているようだ。

バンドは2017年に一度活動を休止したが、2024年、7年ぶりに活動を再開している。

私のSHAKALABBITSとの出会いは、小学六年生の頃読んでいた、「CUTiE」や「Zipper」といった青文字系雑誌がきっかけだった。

実家に当時の「CUTiE」が残っており、この時のカバーガールこそが「SHAKALABBITS」のボーカル「UKI」だった。

Zipper 2005年6月号。MILKのダイアリーが付録だった

「CUTiE」や「Zipper」を読み始めた頃、私は度々表紙や誌面に登場する「UKI」という女の子のことが気になっていた。

調べてみると「SHAKALABBITS」というバンドのボーカルであることが分かり、Tommy february⁶やJUDY AND MARYほどの熱量では全くなかったが、当時よく聴いていた音楽の一つだった。

目次(24p) にもあるようにUKIはモデルとしてよく誌面に登場していた

ちなみに、付録のMILKのダイアリーは今も手元にある。

中学生時代の日記(ほぼ恋愛日記だ)がテンション高めに記されている、かなり黒歴史な一冊だ。

ダイアリーよりも「2006年もバカやろうね」が気になってしまう
頭からっぽな中1の頃のプリ帳。「2006年もバカやろうね」はここで生きている

ヴィレヴァンで出会った『CLUTCH』

初めて聴いたアルバムは、2004年2月18日にリリースされた『CLUTCH』という2ndアルバムだった。

パンク、スカ、メロコアといった要素が絶妙にブレンドされたこのアルバムは、SHAKALABBITSの代表作の一つであり、これは小学生の頃、「ヴィレッジヴァンガード」のCDコーナーで手に入れることができた。

遊べる本屋がコンセプトの「ヴィレッジヴァンガード」は、一見雑貨屋のようだが一応書店という形態のため、店内の商品は図書券(図書カード)を使用して買い物することができた。

お小遣いに限りがあった小学生の私にとって、このシステムは相当ありがたいものだった。

図書券が合計金額に達しそうにない時は、大好きな「MilkyWay」のチョコレートや、外国の派手なペンを買って金額を合わせたりと、買い物をする楽しさがギュッと詰まっていた気がする。

大好きだったアメリカのお菓子「MilkyWay」


ちなみに、『CLUTCH』の付近には、ロックバンド「銀杏BOYZ」のアルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』と『DOOR』(いずれも2005年1月15日発売)も並んでいた。

なぜ覚えているかというと、「銀杏BOYZ」を知った中学三年生の頃、TSUTAYAで手にしたジャケットに物凄く見覚えがあった。
あの時、ヴィレヴァンのCDコーナーで見たものだと思い出したのだ。

こうして二枚を並べてみると、小学生に衝撃を与えるには十分すぎるくらい、インパクトのあるジャケットだったと思う。

左:『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』 右:『DOOR』


SHAKALABBITSの『CLUTCH』に話を戻そう。

このアルバムの中で特に私が好きだったのは、
『G☆S☆G』『「ポビーとディンガン」』『星空の下で』の三曲だった。


『G☆S☆G』

『G☆S☆G』は、私の知る限りでバージョンが2パターンある曲だ。

それぞれ、アコースティックバージョンロックバージョンという、対照的な魅力を持っている。

2ndアルバム『CLUTCH』に収録されている方の『G☆S☆G』は、ゆったりとしたアコースティック調のものだが、この楽曲自体は、2002年発売のシングル『STAND BY YOU!!』のカップリング曲として既にリリースされているものだった。

カップリング曲の方のバージョンは、疾走感あるロック調になっており、私はこのバージョンの存在を、そして、このバージョンこそが本家だということを、中学二年生の頃、YouTubeのライブ動画を観て初めて知った。

ゆったりとしたアコースティックバージョンも好きだが、疾走感あふれるシングルバージョンも捨てがたい。

スピードが速すぎてもう眠たい 少しだけローファイにしよう
手の鳴る方へ ドクロにかみつかれて麻痺
愛しい夢はさめない 気まぐれにうっとりしてるだけ
秘密のガレージやまない 危険なドラッグレース

『G☆S☆G』


「スピードが速すぎてもう眠たい」といったフレーズは、時間と情報に追われる若者たちの心の内を代弁しているかのようだ。
もう若者ではないが、何だか今の自分にも通じるものがある。


『「ポビーとディンガン」』

『「ポビーとディンガン」』は、ベン・ライスの著作「ポビーとディンガン」を題材に作られた楽曲だ。

2003年11月6日に発売された、メジャー4枚目のシングル『星空の下で/「ポビーとディンガン」』の収録曲でもある。

子供から大人へと成長していく過程を描いた曲のようでもあり、はたまた夢を追いかけることの大切さを訴えかける曲のようでもあるこの歌は、様々な解釈ができる曲だった。

終わらない旅に恋して 生きてゆける いつまでも
握りしめたその手 重ねて空に投げる

誰も知らない真実のテリトリー
守ってあげる 疑わないで
寂しさよりも 純粋な心が
僕には見える「ポビーとディンガン」みたいに

目の前の壁にうちのめされた
雲がイライラして無口になるように
言葉よりも甘くて苦い夢
探し続ける この声が消えるまで

どんな道も暗くないの
幾つもの想いが照らしてくれるから
終わらない旅に恋して 生きてゆける いつまでも
握りしめたその手 重ねて空に投げる

静かな心の早さで 全てが動き出したらいいな…

どんな小さな空にだって
想いは届く 足跡残したいから
終わらない旅に恋して 生きてゆける いつまでも
握りしめたその手 重ねて空に投げる

握りしめたその手を 重ねて空に投げる
光を照らしてくれるから

『「ポビーとディンガン」』


当時の私は、幼少期によく観ていた映画『ネバーエンディング・ストーリー』や、学校の課題図書で購入したフィリップ・プルマンの著作『黄金の羅針盤』の物語を重ね合わせていたと思う。

冒険に出かけるようなワクワク感を覚え、優しく背中を押されるのを感じた。

ちなみに、『「ポビーとディンガン」』は当時よくテレビで観ていた『小学生クラス対抗30人31脚 全国大会』の2003年度のテーマソングになっていたらしい。

この曲に薄らと懐かしさを感じていたのは、その記憶が薄らとあったからかもしれない。

↓ 動画は2001年大会のCM ↓


『星空の下で』

『星空の下で』は、失恋の切なさを見事に表現したロックバラードだ。

『「ポビーとディンガン」』と同じく、2003年11月6日に発売されたメジャー4枚目のシングル『星空の下で/「ポビーとディンガン」』の収録曲でもあった。

小学生の頃は、ただ何となくこの曲が気に入っていた。

言葉では説明できない、漠然とした感情がこの曲の中に宿っていたのだろう。
中学生になり、ようやくその感情に言葉を与えられるようになった気がする。

青春時代の甘酸っぱい思い出を呼び起こすこの曲は、私の中学生時代の記憶と深く結びついている。

失恋の切なさを歌い上げたこの楽曲は、「失恋」という出来事を題材にしながら、「別れ」「再生」といったテーマも含んでいた。

失恋の悲しみの中にあっても、UKIは未来への希望も歌っており、青春時代に誰もが経験するであろう「成長の痛み」を、美しいメロディに乗せている。

別れと再生、そして、そこから生まれる未来への希望。

UKIの歌声は、まるで静かな夜空に浮かぶ星のように私の心を照らし、痛みを乗り越え、未来へと進んでいくための力を与えてくれていた。

今まで何度も思った「僕たちはよく似てる」
あの時ふたりで消えてしまえたなら
はじめて描いた不安で刺激的な将来も
とり憑くウサギにかじられたのだろう
きっとこうなる事をわかってて繰り返してた

何も欲しくない 同じ気持ちでいることが愛ってゆうなら
いつかまた笑顔で出会える時がくると信じて歌うよ

新しい映画を観て懐かしい風に乗る
君とならこの場面で同じ涙流しただろう
ただ最後まで欲張りな雫を 君に預けてしまったの

何も欲しくない 同じ気持ちでいることが愛ってゆうなら
いつかまた笑顔で出会える時がくると信じて歌う

迷いはないのに 悲しみが音に響いて離れないから
いつかまた笑顔で出会える時がくると
星空の下で 歌うよ

もう二度と繋がらない 望んでたようには
もう二度と戻れないと 繰り返してた日々に…

今まで何度も思った「僕たちはよく似てる」
あの時ふたりで消えてしまえたなら

『星空の下で』

『FLAPPER』に感じたジュディマリ・バイブス

地元にTSUTAYAがオープンしたことをきっかけに、私はSHAKALABBITSの2ndアルバム以外の過去作をようやく手に入れることができた。

1stアルバム『EXPLORING OF THE SPACE』

1stアルバム『EXPLORING OF THE SPACE』(2002年7月24日発売 ※メジャー盤)

TSUTAYAで初めて『EXPLORING OF THE SPACE』を手にした時、ジャケットと中身のデザインがとても可愛く、興奮したのを覚えている。

このアルバムは、曲の8割くらいが英語詞だったが、中でも一番好きだったのが、日本語詞の『FLAPPER』という曲だった。

どこか初期のJUDY AND MARYを思い出させる曲で、1stアルバムの『J:A:M』の疾走感に、『Hello! Orange Sunshine』や『ラブリーベイベー』、『くじら12号』といった冒険物語的な歌詞が合わさった、可愛らしい曲だった。

シチリアの赤いオレンジジュース
ハードトリップ! ミノーフッキング! 飲みほすわ
しましま波風 小さな体を揺らす
遠くに映るキセキ 一緒にうばいに行こう

『FLAPPER』

3rdアルバムに隠れた宝石『人魚のうた』

3rdアルバム『CRIMSON SQUARE』は、ほとんどが日本語詞で、キャッチーで分かりやすい曲が多かった印象だ。

3rdアルバム『CRIMSON SQUARE』

3rdアルバム『CRIMSON SQUARE』(2005年10月19日発売)

中でも『mommy's back』は、中学一年生の頃、テレビ番組『王様のブランチ』のエンディングテーマにもなっており、耳馴染みのある曲の一つだった。


そして、11曲目に収録された『人魚のうた』は、他の楽曲とは一線を画す独特な魅力を持っていた。

青春のエネルギーに溢れたパンクなイメージが強いSHAKALABBITSの楽曲群の中で、この『人魚のうた』は、まるで水中を漂うような、静謐で幻想的な世界観を描き出す、湿度の高い音作りが印象的だった。

ドリーミーで浮遊感あふれるメロディと、どこか切ない歌詞は静かに心を揺さぶり、いつまでも私の耳に残った。

他の楽曲に比べて派手さはないかもしれないが、聴けば聴くほど、ビートルズの『Dear Prudence』を彷彿とさせるものを感じる、魅惑的な楽曲だ。


最後の青文字系カルチャーブーム

こうして改めて振り返ってみると、SHAKALABBITSを聴いていたのはごく短い期間だった。
アルバムも結局この三枚しか聴いていない。

当時小学六年生だった私は、JUDY AND MARYからYUKIへと続く熱狂的な流れの中にいて、YUKI一筋みたいなものだった。(もちろんTommy february⁶もだ)

そのため、SHAKALABBITSのUKIに対して、正直それほど心を奪われたわけではなかった。

それでも、彼らの音楽が私の心に何かを刻み込んだことは確かだ。
それはきっと、JUDY AND MARYからYUKIへと続く、眩いロックシーンへの憧れと地続きのものだったのだろう。

一年前、実家に帰省した際、古い雑誌の山から小学六年生から中学一年生にかけて夢中になっていた「CUTiE」や「Zipper」、そして当時使っていた文房具を見つけた。

これらのものたちを眺めていると、青文字系カルチャーの影響がいかに強いものだったかを感じずにはいられない。

そして、SHAKALABBITSの音楽も、そうした青文字系カルチャーの延長線上で出会ったものだったということを、心から実感する瞬間だった。

聴いていた期間は短かったが、彼らは私の青文字系ブームの最後のページを飾ってくれた。

「CUTiE」や「Zipper」の表紙を、これまで私が夢中になった三人の歌姫、JUDY AND MARYの「YUKI」Tommy february⁶の「川瀬智子」、そしてSHAKALABBITSの「UKI」が代々飾ってきたことを考えると、このブームを締めくくるフィナーレにふさわしい、素晴らしい出会いだったと思う。

青文字系カルチャーの象徴的な存在である「UKI」と「SHAKALABBITS」の音楽との出会いは、私にとってある意味、必然的な運命だったのかもしれない。


おわり


おまけ:小・中学生の思い出シリーズ

1. 雑誌の可愛いページを集めていたファイル

可愛いなと思う広告ページをこのファイルに集めていた。
これはエテュセの広告の切り抜き。
2005/01/20とあるので、小学校を卒業する前のものだ。


2. 小6から中3にかけて使っていた筆箱・ポーチたち

水色のSWIMMERが小6、ケアベアが中1、右上のピンクのドットが中2、さくらんぼ柄が中3だったと思う。
真ん中のがま口ポーチは、確か雑誌(non-noかSpringだと思う)の付録か何かだったと思うが、全く思い出せない。


3 CUTiEインテリアBOOK

実は、「CUTiE」との出会いは月刊誌の方ではなく、小6の初めに父親に買ってもらった「インテリアBOOK」が最初だった。


4. プリ帳デコり用の雑誌の切り抜き・素材

「CUTiE」や「Zipper」の切り抜きと、当時流行っていた歌詞画の切り抜き。二枚目の画像はいわゆる「古着系」の素材。


以上、今回の記事はSHAKALABBITSの思い出について書きました。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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