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洋の東西を問わない人間の愚かさと、それでも感じざるを得ない愛おしさを物語の中に織り込んで、人の営みの深淵を見せつけてくれる…★劇評★【音楽劇=天保十二年のシェイクスピア(2024)】

 下総での侠客同士の勢力争いをベースに小説、講談、浪曲、歌舞伎と展開した日本人が大好きな物語「天保水滸伝」をベースに、現代に名を遺す稀代の戯作者、井上ひさしが、欧米演劇のルーツのひとつであるシェイクスピア戯曲のせりふやストーリー、要素を遊び心たっぷりに取り込んだ舞台「天保十二年のシェイクスピア」が、若き俊英、藤田俊太郎の演出によって新しく生まれ変わってから4年。待望の再演で、あらためて私たちの胸に迫ったのは、そのあくなきサービス精神と知的探求心の奥深さ。戯曲、音楽、演出、役者の演技が一体となって、洋の東西を問わない人間の愚かさと、それでも感じざるを得ない愛おしさを物語の中に織り込んで、いつまでも鳴りやまない鐘のように時空を超えて変わることのない人の営みの深淵を見せつけてくれる。(写真は音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」とは関係ありません。単なるイメージです)
 音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」は2025年1月25~26日に名古屋市の愛知県芸術劇場 大ホールで上演される。それに先立って2024年12月9~29日に東京・日比谷の日生劇場で上演された東京公演と、2025年1月5~7日に大阪市の梅田芸術劇場で上演された大阪公演、1月11~13日に福岡市の博多座で上演された福岡公演、1月18~19日に富山市のオーバード・ホール 大ホールで上演された富山公演はすべて終了しています。
 
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★音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」公演情報

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