忘れられたのは空間なのか、自分なのか
元々ノスタルジックなものに心惹かれてはいたのだけど、完璧な嗜好として決定付けたのは 大学二年になったばかりの頃に、数十年前からほんの数年前まで使われていた旧キャンパスに実習で行ったときだ。
そこは人里離れたうんと山の奥、山の上で、外部の人が一切接触できないような世界が広がっていて、寮があって、朽ちた小さな箱のような、硝子窓に蔦の絡まったプレハブ小屋、今も人が務めていてきちんと機能しているコンクリートの丈夫な建物に銀メッキのアルミサッシが嵌まった現代風の建物、そのすぐ奥に