最近読んで面白かった本
みなさん、こんにちは。
過ごしやすい季節になり、秋冬の服を予約したり、クリスマスの計画を立て始めたり………今の時代なんでもちょっとせっかちですよね。ということで、秋の読書をフライングして今回は秋だからこそ読みたい「考えさせられる」本を3冊ご紹介します。
身分帳 佐木隆三
身分帳簿とは、被収容者のすべての記録が記されたもの。恵まれない家庭環境で育ち、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた主人公が、刑期を終え出所したところから物語は始まります。曲がったことが嫌いで、すぐに頭に血が昇ってしまう主人公が、社会に出てその困難と問題に向き合っていく内容です。登場人物が暖かく情に溢れていて、主人公の心情の変化が掴みやすく、ノンフィクションノベルですが物語としてとても満足感のある読み口です。しかし、彼の人生について考えてみると、私たちが普段口にする「幸せ」とは何なのか、非常に考えさせられる一冊でした。
教団X 中村文則
主人公は、突然姿を消した女を探し探偵を雇うと、奇妙な老人を中心とした宗教団体に行き着きます。そして、その宗教団体と敵対するもう一つのカルト教団の存在を知り………。主人公が、次々とトラブルに巻き込まれていくスリリングな内容で思わず一気読みしてしまいました。物語の構成が素晴らしい事はさることながら、物語中に出てくる老人の語りが印象に残り、「魂」について考えさせられる一冊でした。脳が指令をすることで、動く私たちの魂は一体どこにあるのでしょうか?ぜひ、この物語のジェットコースターをお楽しみください。
燕は戻ってこない 桐野夏生
主人公は、介護の仕事を辞めた後、憧れの東京で働き始めますが金銭面で困窮していました。そんな時、持ちかけられた「生殖医療ビジネス」。それは、依頼主の子を妊娠し、出産と同時に引き渡すという「代理母出産」でした。そして彼女は、悩んだ末、高額な報酬につられ他人の子を産む決意をしたのですが…………子を望んでもうまくいかない夫婦と、お金に困っている若い女性が、お互いの利益が一致して計画が進んでいきます。しかし、それぞれの視点によって段々と食い違ってゆく描写がリアルで、ドキドキしながら読みました。これからの時代を考えると、これは決してフィクションではなく私たちの知らない場所で既に起こり始めている出来事かと思います。女性として考えさせられる内容でした。
いかがだったでしょうか?
今回は秋の読書にぴったりな「考えれさせられる本」をご紹介しました。普段、あまり考えることのなかった物事たちに出会うと、普段使っていなかった部分の脳を刺激できて新しい発見があるかもしれませんよ。ぜひ、ご体験ください。