懐かしさに浸る1日
今日は懐かしさに浸る1日でした。
そうなった理由は2つあって、1つは昨日の書き描き交流会で十数年前の私と同じ仕事(旅行ガイドの編集)をしている若い人と出会ったことです。それで今日は書店を訪ねて久しぶりに旅行ガイドをいろいろと読み、時代の流れを実感したり奥付で懐かしい名前を発見したり、楽しい時間を過ごしました。
もう1つの理由は、将棋棋士の中座真八段の引退です。1997年に中座四段(当時)が初めて採用した「横歩取り△8五飛戦法」はプロ棋界でブームを起こし、翌年大学に入って将棋部に入部した私の得意戦法になりました。大学の1~2年生の頃は時間がありあまっていたので、新しい戦法を学ぶには最適でした。部内でも大会でもよくこの戦法を指したものです。
しかし、記憶をたどっても、重要な対局でこの戦法を使った記憶はほとんど出てきません。関西の学生将棋界ではそこそこ有名な存在になり、得意戦法も知られていたので、ほぼ互角の相手にはこの戦法を避けられることが多かったのです。
ただし、逆側を持って△8五飛戦法と対峙することはしばしばあり、勝率はかなり良かったはずです。培った知識と実戦経験が、対策する側になった際に役立ったのです。
そんなわけで、中座八段が私の青春に大きな影響を及ぼした人物の1人なのは間違いありません(残念ながらお会いしたことはありませんが)。そして、それは中座八段の最後の公式戦の相手だった野月浩貴八段も同様です。中座四段が指した△8五飛戦法の優秀性に気づき、自らも採用してこの戦法を世に広めたのが野月四段(当時)だったのです。
同じ北海道出身で年齢も近く、プライベートでも仲が良かったという両八段。私が△8五飛戦法を指し始めた頃はまだ若手だった2人がいつの間にか50代になり、一方が引退してもう一方が最後の対戦相手になるというのは、とても感慨深いことでした。
もっとも、2人の棋士人生がこれで終わりというわけではありません。中座八段は公式戦を指さなくなりますが、棋士の仕事は他にもたくさんあります。今後のさらなるご活躍を願っています。