【本要約】人事ガチャの秘密
「人事ガチャ」という言葉をみて、苦い記憶がかる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に入社まもない若手ビジネスパーソンにとっては、配属はまさに「ガチャ」ですよね。
自分に合っている(もしくはやりたい仕事の)部署に配属されるかどうか、上司や先輩に恵まれる(もしくは恵まれたと思える)かどうかによって、日々の仕事も今後のキャリアも変わりますよね。
いい上司や先輩に巡り合わないとき、もしくは仕事があってないと感じたとき、転職活動をしますよね。
この人事ガチャの秘密を読めば、配属や異動のからくりを知ることができます。
みなさんは「人事異動」について、あなたはどの程度認識していますか?
次の問いに答えてほしいと思います。
(1)人事異動は誰が決めていますか?
(2) ハイパフォーマー、ローパフォーマー、ミドルパフォーマーのうち、直属上司からの目配りが乏しくなりがちなのはどの階層の人でしょうか?
(3) (2)の人たちにとって、目配りされないことのデメリットは何でしょうか?
いかがでしょうか。
確信をもって答えられない人も多いと思います。
本書は、パーソル総合研究所シンクタンクの上席主任研究員である藤井薫 氏が、人事異動のからくりを明かした一冊です。
純粋に人事異動の裏側を知りたい人、キャリアを明確にしたい方にとっては勉強になるおすすめの一冊です。
ポイント
・あなたの異動のキーパーソンは、人事部ではなく直属上司
もしかするとあなたは「人事部が会社の人事異動案を作っている」と信じているかもしれません。
ですがほとんどの場合、これは間違っています。
パーソル総合研究所のヒアリング調査(2021)によると、人事部が人事異動案を作る会社は全体のわずか3割です。
つまり、7割の会社は各部門で人事異動を決めています。
その理由はシンプルで、各部門との分業になっているケースが多いからです。
課長以上の管理職の人事異動案は人事部が作り、一般社員層は各部門で作るというように、階層によって分担しているケースが多くなっています。
では、人事異動案を考えているのは誰でしょうか。
各部門に人事権がある会社では、実際に人事異動を発案しているのは各部署の管理職です。
ほとんどのケースは、みなさんの人事異動のキーパーソンは課長や部長、ということになります。
ただ、直属上司の一存で人事異動が決まることもほとんどありません。
そもそも異動先の部署との調整や転出者の補充が必要になるため、単独では決めようがない、というのが正確な表現だと思います。
異動検討のプロセスには「適材適所」と「適所適材」の2パターンがあります。
「適材適所」は「人材起点」の異動です。
まず異動する人を決めた後、その人の能力・意欲に合 わせて異動先ポジションを考えます。
異動が行われるのは、現在の職場がミスマッチだと思われる場合や、長期間同じ部署で働いている人がいる場合です。
一方、「適所適材」は「ポジション起点」の異動です。
組織改編やプロジェクト編成、退職などで空いたポジションにマッチしている人材を異動させます。
• 人事異動において、ミドルパフォーマーは目配りされない傾向
人事評価成績「B」の人たち
入社以来おおむね平均的な人事評価成績をとっている人たちのことを「ミドルパフォーマー」と呼びます。
S・A・B・C・Dの5段階評価であれば、「B」をとる人たちのことです。
多くの会社において「B」は「ほぼ期待に応えている」「ほぼ基準を満たしている」と定義されているのではないだろうか。目標をほぼ達成し、自身の等級や役割に求められている能力などをほぼ備えている人に与えられるのが「B」 評価です。
誤解している人もいるかもしれませんが、絶対評価方式における評価 「B」のミドルパフォーマ 一は、決して平均的社員ではありません。会社や上司 の期待にほぼ応えてくれている大切な戦力です。
ミドルパフォーマーが目配りされない理由
続いて、ハイパフォーマー、ローパフォーマ 一、ミドルパフォーマーそれぞれの人事異動についてみてみましょう。
「ミドルパフォーマーは今の仕事をうまくやっているわけだから、そもそも異動する必要があるのか?」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。
パーソル総合研究所の調査によると、同じ部署に5年以上在籍すると、成長志向、学習意欲、 キャリアへの関心が低下することがわかっています。
人事部に人事権がある会社においては、育成のために、若年層のみならず30代半ば以降も同一 部門での長期在籍を避けようという考え方がみられます。
一方、事業部門の人事権が強い会社は、30代半ば以降の社員のローテーションに積極的とはいえません。
同じ部署に所属し続けることのデメリ ットを考慮すると、目配りされないミドルパフ ォーマーの将来が気になるところですよね。
このように、興味深い本ですのでぜひ読んでみてください!
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