オードトワレのラブレター
「いらっしゃい」
彼はそう言うと、私にスリッパを用意してくれた。彼は、私が家に来て最初の30分の間は優しい。映画を見たり、お酒を飲んだり、一通り事が終わると、途端に冷たくなってしまう。私と目を合わせる回数と口数が減ってしまい、私がいつ帰るべきかを何も言わずとも伝えてくる天才である。男って皆こうなのかな。今日も映画を見ようと家に招いてくれた彼であるが、彼と映画を最後まで見たことがない。いつも安っぽい恋愛モノの映画をチョイスし、ベッドシーンで肩をすり寄せ、私の頬にキスをする。なん