ノートを出さない子
担任だったころのお話
クラスのある子どもが,
ノートを机に出していませんでした
だからノートを出すように指示をしました
しかし,数分たっても出そうとしませんでした
私は,どうした? 忘れた?
それなら言えばいいのにと思いながら,授業を進めました
これは,一年生を担任したときの話です
結局,その子は,最後までノートを出さなかったのです
まだ一学期だったので,もう指示が通らない?
と,不安になりつつも,忘れたときのためのノート用紙に
書かせました
休み時間になりました
運動場へ遊びにいったその子の机の中を見ると……
ノートがありました
みんなは,まっさらのノートなのに,
その子は,兄の使い古しのノートでした
きっと,みんなは新しいノートなのに,
自分は……という思いがあったのでしょうか……
放課後,保護者に連絡を入れてみました
すると,買い忘れていたので,
兄の使っている途中のノートを持たせたとのことでした
指示を聞かなかったあの時,
頭ごなしに叱らなくて良かったと思いました
他にも……
授業中,教室を自由に歩き回る子どもがいました
特に他へ迷惑をかけるわけではなく,
すうっと立って歩いたのちに,
すうっと戻ってきていました
様々な背景要因があるのかなと想像してみました
・周りが気になって,じっとしていられない
・運動場の音が気になって仕方が無い
・給食の香りが気になってしまう
・大好きな友だちの近くにいたい
など,きっと,自分ではどうしようもなく,
歩いてしまうようでした
これらが分かれば,叱責すること無く,
原因となるきっかけや
その行為を得られる報酬となるものを
取り除いたり,変えてやれば良いのです
これは,応用行動分析の視点を使った,
特別支援教育の視点での構造化とも言えます
ある時,いつも教室を歩いている子どもが,
ダッシュで教室の入口へ!
何!?と思った私は,
あまりに急な行動だったので,
声も出せず,ただその子を見ているだけ……
すると,机の上に置いていた
水筒が落ちそうになっていたのをその子がキャッチ!
思わず,みんなが拍手しました
持ち主の女の子は,驚きつつも笑顔になりました
立った瞬間に怒鳴っていたら,
みんなから拍手を浴びることはなかったんですよね
すかさず,
「大ちゃん,助かったわあ
教室で何かあるかもしれへんから,たのむで!」
と……
教室で何か起こりそうになったら,大ちゃんが,
「どないしたん!」と
声をかけてくれるようになりました
子どもたちから,
たくさん,学ぶことができます……