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戦時下次々導入された配給(有料)制度、主要食糧で見てみたらー資源のない国の戦争の実情
1937(昭和12)年7月の日中戦争開始に伴い、まずは軍需に関連した鉄鋼やガソリンが切符配給制になります。これに歩調を合わせてガソリン代用木炭車用の配給制度や、肥料の配給割当制度、ゴム靴の配給と、あらゆるものが配給になっていきます。
当初は軍需物資の配給制度にとどまっていましたが、日中戦争の長期化に伴って、兵隊を大勢出している農村の労力不足や、軍需による圧迫に伴う化学肥料減で、食糧を円滑に人々に回せるかが問題となります。最初は米穀配給統制法で最高価格を1939(昭和14)年8月に設定、同年11月にはコメ全量の政府買い上げによる配給制度が確立し、1940年8月からコメの共同販売制が始まります。しかし、この年長野県では、早くも配給米不足を生じ、うどんやそうめんを配給する羽目に。
1941(昭和16)年4月、生活必需物資統制令が公布され、まずは6大都市で米穀配給通帳制を導入。これが次第に各地に広がり、切符制などと入れ替わります。こちらは愛知県の大塚村役場が発行した1942(昭和17)年用家庭用米穀購入通帳です。
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最初は内地米ですが、外米混合になり、やがては麦混合、代用食の乾麺も姿を見せます。
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ただ、この年はまだ正月用に餅米を配給できたようです。
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次に、静岡市の「家庭用米穀代用食購入通帳」をご紹介します。1944(昭和19)年6月から1945(昭和20)年6月まで使われたものです。最初は夫婦の世帯ですが、夫は応召され、妊婦が一人で過ごしていた家庭への配給状況を見てみますと、まず、米の配給はすべて玄米になっています。玄米の外皮をとって精白するため、瓶などに入れて棒でつくなどして使っています。精米に比べて実質的な減量です。
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玄米の回数も減り、麦やジャガイモ、サツマイモなどが主になり、満州から運んだのであろうコウリャンなども混ざり始めます。こうした変化は、農村部と都市部では多少、違いがあったかもしれません。
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豆、馬鈴薯はともかく、「脱脂」とあるのは大豆かすです。先般、大豆かすやコウリャンばかりの配給で、粉にしてどろどろの汁にして食べたというお話を伺いましたが、まさにそういう状態でした。
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1945(昭和20)年10月5日分娩予定で、6月15日に配給を受けています。この後は出産のため実家に引っ越したのでしょうか。都市部も農村部も、富裕層でなければ、こうした苦しい食糧事情で何とかしなければならなかったのでしょう。ちなみに、平均2合3勺の配給量(有料)は、1945(昭和20)年7月11日から1割減の2合1勺に減らされています。
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米穀配給通帳は、戦後の食糧難時代も含めて使われました。1970年代は自主流通米もあって有名無実化していたとの話もありますが、正式な廃止は1981年の食糧管理法改正時となっています。
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